165話 セーフティゾーンなのです。
更新遅れました。すみません。
あれこれ所用があり、明日もお休みさせていただきます。
週後半からは通常どおりに更新できる予定です。
「あれが良さそうね」
呂姫ちゃん(警察官)が前方を指さした。
するとそこは車道と歩道の境目で、放置された自転車と蓋の付いた大型のゴミ箱が電柱脇にあった。
……ははあ、自転車を使うのか? ん? それともゴミ箱の方か?
大きさからしてその二つのうちのどちらかだろうと俺は予想した。
「自転車? それともゴミ箱?」
そして質問する。
すると意外な返答があった。
「違うわよ。そのどっちでもない」
「へ?」
訳がわからん。
他にはなにも落ちてないだろうが。
俺はそう思い、混乱した。
「あの電柱よ」
「ええっ?」
俺は驚いてしまった。
そんなことが可能なんだろうか?
すると俺の疑問に応えるかのように呂姫ちゃんは電柱へとツカツカと進み、その根本を抱え込んだ。
「よいしょっと」
驚いた。
ズルリと音がすると電柱が根本から抜けたのだ。
そして電柱を小脇に抱えるとゾンビたちがいるショッピングモールの方へと進んで行く。俺はドロップした弾丸をアサルトライフルに補充しながら、それに着いていくのであった。
■
「とりゃ~っ!!」
呂姫ちゃんが抱えた電柱でゾンビたちをなぎ倒す。
「すげえーっ」
「やるなあ」
「破壊力抜群だな」
「恐れ入ったよ」
そのド派手な攻撃シーンを見て、観客の方々から感嘆の声が漏れる。
……ホント、すげーな。
俺も自分でもアサルトライフルで攻撃しながらも、思わず呂姫ちゃんの戦いを見てしまう。
……これも神力なんだろうな。
そうなのである。
俺はこのゲームを相当やり込んだし、攻略動画なんかもかなり観た。
だが電柱を武器にできるのなんて初めて知った。
だからこれは前例のないことに違いなく、それはつまり呂姫ちゃんの神力だと言うことだ。
そして先の角を曲がると、このゲームのラスボスである巨大ゾンビが待ち構えている場所へと到着した。
「この先にラスボスがいるんだけど、その前に休憩するよ」
俺がそう提案した。
「いいけど。どこで休憩するの?」
俺(主人公の彼女役)は右手を指さした。
そこにはホームセンターがあり、自動ドアが開いていた。
「ここはセーフティゾーン、つまり安全地帯なのよ」
「ふーん。ここなら安全って訳ね」
呂姫ちゃんの問いに俺は頷くと二人してホームセンターへと入った。
中は照明が灯されてはいるが、営業はしていない。
なので客の姿はないし、当然ゾンビの姿もない。
「ここで武器の交換とか弾丸の補充とかができるのよ」
俺はそう説明した。
「ラスボスを相手にする準備ができるってことね?」
「そう」
俺たちは店の内部へと進んだ。
すると銃砲などを取り扱うコーナーがあり(もちろんゲームだからである)、俺は棚に並べられた銃器を見比べるのであった。
ゲームのいよいよ佳境なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。