152話 順次対戦するのです。
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俺たちは特設ブースで左右に並んで座った。
眼の前にはノート型のゲーミングPCと、それに接続したゲームコントローラーがある。
そして俺たちの服装だが前回の反省を踏まえて改善してある。
俺は『ダイキチーナ』と毛筆体で書かれた黒いTシャツはそのままだが、下は白のショートパンツ姿になっている。
もちろんパンチラ対策だ。
そして恵ちゃんも黒いTシャツとショートパンツ姿だが、Tシャツに名前は入っていない。これはあくまで臨時の対戦相手だと言うことと、恵ちゃんの名前を全国区に広めないためだ。
ダイキチーナのように実在しない女性は虚像なので、名前を公開しても問題ないが、恵ちゃんはそのままの姿で生活している実在女性なので名前は非公開としたのだ。
そしてお客さんの入りだが多かった。
前回同様、ネット動画でも店頭ポスターでも告知しているからだろう。
そのほとんどが若い男性なのだが、中にはちらほら女性客も混じっていた。
「じゃあ、始めるよ」
俺の合図でゲームが開始された。
ゲームはもちろん落ちもののパズルゲームで、恵ちゃんが特訓したものが採用されている。
最初は俺と恵ちゃんは、ほぼ互角だったが、やがて年季の差が出始めた。
「はわわ……。ミスっちゃいましたっ」
パズルゲームはテンポに乗っている状態だと、どんどんクリアできるが、一度ミスるとなかなか挽回するのが難しい。
結局、恵ちゃんは途中のミスが致命的になり、俺の勝利でゲームを終えたのだった。
だが勝負は一回だけじゃない。
この後も時間が続く限り再戦を繰り返した。
その結果、俺の十勝一敗となった。
さすがの俺も全勝は難しく、途中でミスを犯したゲームを落としてしまったのだ。
「へっへっへ。一勝でも嬉しいですっ」
恵ちゃんはとても嬉しそうな笑顔を見せた。
「まあ、ダイキチーナから勝ちを奪ったのは確かにすごいわね」
「……一勝でも……十分に……健闘した……」
「ふぉふぉふぉ。一回でも勝てれば十分じゃろう」
呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんたちも恵ちゃんの健闘を称えていた。
それでである。
この日もゲーミングPCと関連機器はたくさん売れた。
特に開始後六分四十秒辺りで俺はまたしても、左胸を無意識に掻いたようで(それがミスの原因なのだが……)、そのとき手にしていたゲームコントローラーが高値が付いてしまったのだ。
またしてもオークションとなり、結果、二万五千円となったので売価との差額は寄付金となったのであった。
■
「ほかの皆さんも特訓してダイキチーナさんに挑戦してもらえませんか? バイト料はずみますよ?」
店長さんからいきなりそんな提案があった。
「バイト料が出るなら挑戦してもいいかな?」
「……お金もらえるなら……やってみても……いい……」
「ふぉふぉふぉ。給料が出るのなら話は別じゃのう」
呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんの三女神はやる気十分のようだった。
■
その後、中間テストがあったりして、PCショップに行くのがちょっと延びた。
だがその間、俺たちはゲーム自体をやめていた訳じゃなくて、部屋で少しずつプレイして各人の適正を確かめていたのだった。
今度のPCショップでもデモプレイは集子ちゃんに決まった。
集子ちゃんはアクション系、シューティング系、パズル系、すべてダメだったが、なぜかカーレースのゲームに適正があった。
それで今度はカーレースゲームをPCショップでデモプレイすることになったのである。
もちろんこれは動画でも配信する予定だ。
「でさ、私ちょっと思ったんだけど、もうTシャツはやめない?」
突然に呂姫ちゃんが言い出した。
「あ、私もそう思いましたっ。ずっとおんなじだと変化がないですっ」
恵ちゃんも同意を得たりと言わんばかりに発言する。
「……そうかも……もっと……かわいいのが……いい……」
「ふぉふぉふぉ。ワシも着るんじゃから無関心ではいられんのう」
そんな感じの話となったので、どんな服装がいいのか相談することになったのである。
大吉さんもミスはするのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。