151話 対戦相手なのです。
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「対戦相手を用意して欲しいそうですっ」
「対戦相手? なんだそりゃ?」
俺が聞き返すと恵ちゃんがメール内容を詳しく教えてくれる。
「ダイキチーナと対戦できる相手が欲しいそうなんですっ。できればビジュアル的にすぐれている人がいいそうなんですっ」
……ビジュアル的?
「……って、はっきり言えば美少女ってことだよな?」
「そうね。最低でも若い女の子のことを言っているのは間違いないと思うわ」
「……ゲーム……難しい……」
「ふぉふぉふぉ。ワシらは一度、失格になっているからのう」
そうなのである。
ネットにゲーム動画配信しようとして、ダイキチーナの存在を思いつく前に、恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんにスマホゲームをプレイしてもらったんだが、どれもこれも酷いものだったのだ。
「うーん。だけど例えばアクション系ゲームとかシューティング系、パズル系とかの異なるジャンルならどうだ? 例えばシューティングは全くダメだけどパズルは得意とか、誰かいるかもしれないだろ?」
俺はそう説明してみた。
ゲームのあらゆるジャンルが得意である必要はないのだ。
だとしたら、得意なジャンルごとにダイキチーナと対戦してくれるだけでも対応が可能になる。
「まず恵ちゃんからやってみよう」
恵ちゃんにスマホを握らせて、俺はいくつかのゲームをプレイさせた。
すると注目すべき点があった。
アクション系やシューティング系がまったくぜんぜんダメな恵ちゃんなのだが、パズル系はわりかし得意なのがわかったのだ。
「ほお。やればできるじゃないか?」
「飛んだり跳ねたりしたり、銃で撃ったりとかはダメですっ。でもパズルの工夫して組み合わせるのはちょっと楽しいですっ」
これはなんとかできそうだった。
なので、俺は恵ちゃんに店長さんと連絡を取ってもらい、パズル系なら候補がいるが大丈夫ですか? と言う内容をメールで送ってもらった。
するとしばらくして返信があり、まったく問題ないと回答をもらったのだった。
■
その後、動画をアップして時間ができると俺は恵ちゃんを特訓することにした。
最初はスマホ、次はマウスとキーボード、そして最後はコントローラーを使ってパズルゲームの動作を完璧に覚えてもらったのだ。
恵ちゃんも必死で憶えてくれた。
額で切りそろえた姫カットの前髪。後ろは短めにしたおかっぱ風の髪型。
黒髪黒眼で小学生並みの小柄な体型が恵ちゃんだ。
見た目は幼いが、これでも十分美少女と言える。
なのでビジュアル的には問題ないだろう。
現に現役JKだしな。
本当は人間に具現化したときに幼い少女の姿となってしまったので、見た目は幼いが、年相応の体型となったとき、顔も胸の大きさも俺の最高の好みであることは体育祭で確認済みだ。
最初はそっちの体型でゲームのバイトをしようかとの提案もあったのだが、すでに幼いいつもの体型の方で店長さんに憶えられてしまっているので、やめることにした。
そして訓練の甲斐もあって、パズルゲームに関して言えば恵ちゃんはそこそこの腕前となっていたのだ。
■
そしてやって来た次の日曜日。
俺と四女神はいつもの通り、開店前のPCショップにやって来た。
今回も事前告知されていたようで、それなりのお客さんたちが集まっている。
俺たちはその混雑を避けて、通用口からショップに入った。
そして特設ブースの様子を確認する。
今回はパズルゲームという事で大きなゲーミング用チェアとかではなくて、長い平机にノート型のゲーミングPCが二台並べて置かれており、それでパズル対戦を行うようであった。
「今回は恵ちゃんもプレイするので、集子に撮影頼んでいいかしら?」
「ふぉふぉふぉ。構わんよ。ワシがゲーム画面を撮れば良いのだろう?」
いつもの撮影役の呂姫ちゃんが集子ちゃんに撮影を依頼した。
そうなのだ。
いつもは恵ちゃんがダイキチーナのプレイ画面を撮ってくれていたのだが、今回は恵ちゃんもプレイヤーになってしまったので、代わりに誰かが撮影しなくちゃならなかったのだ。
それを集子ちゃんが気軽に引き受けてくれたのであった。
そして、開店時間となったのである。
大吉さんは恵ちゃんの意外な才能に驚いたのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。