148話 注目度が高いのです。
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初日はこんな感じで終わった。
「ゲームしかしていないのに、なんか疲れたな」
「注目されてるからですよっ。見られてのゲームだと緊張しますしっ」
「そんなもんかな」
帰宅途中である。
俺は呂姫ちゃんたちと分かれ、恵ちゃんと神武寮へと向かっている。
ちなみに本日投稿分の動画だが、PCショップで撮影後、店の高性能PCで編集したので一時間少々で終わってしまった。
さすが俺のポンコツPCとは性能が桁違いである。
「店の売上は伸びたのか?」
「店長さんに聞きましたっ。いつもの倍以上売れたそうですっ」
「そんなに売れたのか? びっくりだな」
「はいっ。特にゲーミング関係が爆売れだったそうですっ。ダイキチーナちゃん、感謝されてましたっ」
「なるほどなあ……」
俺としては驚く以外に反応は出なかった。
撮影したり店内の様子を見たりしていた恵ちゃんと違って、俺はダイキチーナとしてひたすらゲームプレイに専念していたのだ。
店内の様子がわからなかったのも無理ないだろう。
そして恵ちゃんなのだが、ダイキチーナのマネージャー的な仕事もしてくれたようで、今後のPCショップでの活動の話もまとめていた。
「今後も休みの日に来てくれると嬉しいそうですっ。でも毎週じゃなくても構わなくて、来られるときで構わないとのことですっ」
「いいのか? そんな気分次第みたいな感覚で」
「いいそうですっ。でも来られるときは三日前くらいには連絡が欲しいそうですっ。準備があるからだそうですっ」
「ブースを作ったりする必要あるからな……」
「入荷量を増やすためもあるそうですよっ。今日、品切れになっちゃった商品もあったそうですっ」
「わかった。じゃあ行くときは事前連絡しよう」
「そうですねっ」
そんな感じで俺たちは今後の方針を話し合ったのであった。
■
PCショップでの撮影動画は反響があった。
ただ自宅でプレイしているだけじゃなく、実際の販売現場でも認められたからだろうなのか、いつもに増して再生数が高めだった。
書き込みの方にも、店に行きますので、今後の日程を教えて欲しい、との内容のものが多数あった。
そして次の次の日曜日の午前中に再びPCショップでのデモプレイが行われることになったのである。
その日の朝も恵ちゃん以外の三女神も俺の神武寮の部屋に集まった。
軽い打ち合わせもあるのだが、この部屋で大吉からダイキチーナへと女体化させる意味もあるのだ。
大概のことは神力でどうとでもごまかせるが、念には念を入れて店に向かう前からダイキチーナの姿になっておいた方が安全である。
「さすがに水着はまずいよね? 前回は清楚なワンピースだったけど、今回はどうする?」
女体化した俺の前で呂姫ちゃんが服装の相談をする。
「……ゲーマーは……Tシャツ姿が……多い……」
「ふぉふぉふぉ。そうじゃのう。黒のTシャツで白字でひらがなで『だいきち~な』と文字入れしとけば良かろうて」
「それ、いいですねっ。集子ちゃんの意見に賛成ですっ」
「じゃあ、それでやってみるわね」
そう言った呂姫ちゃんは手をゆらゆらと揺らし宙に印を切る。
すると俺の上半身の服装が黒いTシャツ姿となった。
胸には大きな白字の毛筆調で『だいきち~な』とプリントされてある。
「いいじゃないですかっ。まさにゲーマーって感じですっ」
「そうか? ま、俺は構わないんだが、下はどうするんだ? まさかこのジャージって訳にはいかないだろう?」
そうなのだ。俺は部屋着としてジャージ姿だったのだ。
「……下は……ショートパンツ……が定番っぽい……でも……不満……」
「ふぉふぉふぉ。ならいっそミニスカート姿で良かろうて。男性ファンが多いのじゃ」
集子ちゃんのスカート推しでミニスカートに決まった。
だが、どんなスカートにするかでちょっと揉めた。
そして決まったのが、ダイキチーナの清楚な印象から白いプリーツのミニスカートに決定したのであった。
う、……ぐぐぐ。
下着は見えないように長さを調節したにも関わらず、姿見で真っ白な生足姿を見てしまうと、自分自身の身体だとわかっていても変な気分になってしまう。
■
そして俺たちはPCショップの開店時間に間に合うように神武寮を出る。
「……慣れてきたとは言え、やっぱり女の身体と服装は恥ずかしいな……」
「大丈夫ですよっ。女の私から見ても十分にかわいいですよっ」
恵ちゃんがニコニコ笑顔でそう言ってくれる。
「問題なし。いつもより私に向けられる視線が減っている。間違いなくダイキチーナに魅力がある証拠よ」
金髪碧眼の超絶美少女である呂姫ちゃんは、どの場所でも注目の的だったのだが、ダイキチーナといると注目度が下がってストレスが減るそうだ。
「……でも……全体的に見ると……美少女五人組なので……注目度は……変わらない」
臥留子ちゃんが言うのはもっともだ。
元々が美少女女神四人組だったのだ。それが五人組になっても注目度自体は変わらない。
「ふぉふぉふぉ。命短し恋せよ乙女。少女は目立ってナンボじゃわい」
なんか開き直ったと言うか達観したと言うか、そういうテンションで締めくくるのは集子ちゃんだった。
やがて俺たちは神武商店街へと到着し、PCショップへと近づいたのであった。
ダイキチーナちゃんの服装も重要な問題なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。