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147話 プレミアム価格なのです。

【毎日昼の12時に更新します】

 

 ダイキチーナのデモプレイは事前告知した訳じゃない。

 なので通常の開店だった。




 ただ昔と違って今はPC専門店はあまりないので、開店と同時に入ってきたお客さんはそれなりにいた。




 しかし別に皆が皆、ゲーム用PCなりゲームPCグッズを買いに来た訳でもない。ケーブル類を買いに来たお客さんや、プリント用紙を買いに来た普通のお客さんばかりだ。




 そもそもゲーム用の機器はどれも高価なので、ポンポン売れるものではない。




 そんな中、おれは縦スクロールのシューティングゲームをPCでデモプレイしていた。

 戦闘機を操縦して、敵の飛行機とか空飛ぶ要塞とかを攻撃するアレだ。




 そして俺の周りにはサクラと言う訳じゃないが、四女神がいる。

 プレイしているダイキチーナが美少女で、四女神も美少女なので、気がつくとそれなりの人たちが集まっていた。




「あの()、すげー上手だな」

「ああ、それにすげー美少女だ」

「外国人なのかな?」

「ハーフとかじゃないのか? 日本語話してるし」




 プレイの様子は恵ちゃん、呂姫ちゃんによって撮影されている。

 恵ちゃんはプレイ画面を、呂姫ちゃんはダイキチーナをだ。

 もちろんBeeeTubeにアップするための動画撮影である。




 そんなこともあって更に人が多く集まってきた。

 中には特にこのPCショップに用事がないのに、通りを歩いていたら店内に人混みがあったので興味が湧いて入店してきた人もいるようだった。




 そんなこんなでデモプレイが一時間くらい経過したころだった。




「あの娘、ダイキチーナちゃんじゃないか?」

「え? あのネット動画の?」

「金髪に緑の目。間違いないんじゃないか?」

「ホントだ。後でサインもらえないかな?」




 そんな声もちらほら聞こえてきた。

 どうやら知ってる人は知っているダイキチーナの動画を見ている人たちも集まっていたようだ。

 考えてみればPCショップなのだから、ゲーム配信に興味がある客層がいるのは当然だろう。




 そしてそんなときだった。

 少し離れて様子を見ている店長さんに話しかけるお客さんがいた。




「あの~。あのダイキチーナちゃんが使っているゲーミングPCが欲しいんですけど」




「ありがとうございます。さっそく在庫から準備します」




「違います。あのダイキチーナちゃんが実際に使っているPCが欲しいんですけど……」




「え……。は、はい。わかりました。それでも構いませんのでプレイが終了するまで少々お待ちいただけますか?」




 そんなやり取りが聞こえてきたのである。




 そしてそれはなにもゲーミングPCだけじゃなかった。

 ダイキチーナが現在使用中のゲーミングマウス、ゲーミングキーボード、ゲーミングヘッドセットから始まり、座っているゲーミングチェアまで欲しがる人たちが申し出てきたのだった。




「六分四十秒後にも使ったキーボードは絶対に欲しい」

「あ、待ってくれ。それ僕も欲しいです。譲ってくれますか?」

「いちばん高い金額を出す。それで俺に譲ってくれ」




 そうなのだ。

 ここでも俺は無意識に左手でたわわな胸を揺らすように大きく掻いてしまったのだ。

 そしてそのまま使用したキーボードにプレミアム価格が付いてしまったようだ。




「販売価格より高く売ることはできません。……すみませんが()()()()()とかでお一人に決めてもらえませんか?」




 キーボードを巡って三名の男性が競っているので店長さんが困っている。




「……いちばん高い金額を出せる人に売ればいいじゃない? で、販売価格を超えた部分の金額は、あそこに寄付するって形で」




 助け舟を出したのは辻神呂姫ちゃんだった。

 呂姫ちゃんが指さした先にはレジがあり、そこには災害義援金を募る募金箱が置いてあったのである。




 ダイキチーナに負けないくらいの美貌の呂姫ちゃんに、そう提案されたことでお客さん三人は納得し、即興のオークションが行われたのであった。




 結局、販売価格三万円のキーボードに五万八千円の値がついて決着した。

 落札した中年の男性は三万円を店に払い、二万八千円を募金箱に寄付して帰って行った。



 キーボードが落札できなかった残りの男性たちもダイキチーナが使用したヘッドセットなり、マウスなりを買えたのでそれなりに満足できた様子だった。





プレミアムが付いて大吉さんはびっくりしているのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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