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143/514

143話 再生数アップの原因は? なのです。

【毎日昼の12時に更新します】



 

「ん? いったいどうしたんだ?」




「どうもこうもないわよ! 大変なのよ!」




 俺が問うと呂姫ちゃんが叫ぶように返事を返す。




「百聞は一見にしかずよ! まずは見て!」




 そう言って呂姫ちゃんはスマホの画面を俺たちに見せたのだった。




「げげっ! なんだこれっ!」




「たった二時間で十万、いや十五万近くアクセスがあるじゃないですかっ!」




「……正直……びっくり……」




「ふぉふぉふぉ。世の反応は正直じゃのう」




 そうなのだ。

 俺、……正確にはダイキチーナで撮影したゲーム攻略動画の再生数が十五万近くもあった。

 撮影してアップしたのがお昼くらい。つまりまだ二時間も経過していないのにだ。




「やっぱりゲーム配信っていうジャンル自体は間違っていなかったのよ」




「でも驚きましたっ。大吉さんのときは全然再生数伸びなかったですよねっ?」




「……内容は……まったく……同じなのに……」




「ふぉふぉふぉ。結果の違いは歴然じゃのう」




 呂姫ちゃん、恵ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんの順で会話が進む。




「……やっぱり何を撮るかじゃなくて、大事なのは誰を撮るかってことなのか?」




 俺は驚愕を感じながら言う。




 だってそうだろう?

 内容はまったく同じなのだ。なのにこれだけ再生数が違う理由は、大吉じゃなくて、ダイキチーナが映っていることだ。




「世間はやっぱり美少女を求めているってことですっ! これではっきりしましたっ」




 恵ちゃんが腕組みしてウンウンと納得している。




「……ちなみにどのシーンの再生数がいちばん伸びたかと言うと……」




「ゲーム攻略の肝の部分だろ? そこがこの動画のいちばん肝心な部分なんだから」




 呂姫ちゃんの言葉を遮るように俺が発言する。




「……それが違うのよ。アクセスがいちばん多かった場面は開始から六分四十秒辺りのシーン。……これなのよね」




 その画面を呂姫ちゃんが俺たちに表示してくれた。

 それを見て、俺も恵ちゃんも臥留子ちゃんも集子ちゃんも一斉にドン引きした。




「……こ、これって? う、……ぐぐぐ」




 俺は唸らざるを得なかった。




「これがいちばんの理由なんですかっ?」




「……奇々怪々……」




「ふぉふぉふぉ。世の中、助平ばかりじゃのう」




 そうなのである。

 いちばんアクセス数が上昇したシーンは、俺、つまりダイキチーナが解説の途中で無意識に左胸を掻いた場面だった。




 痒かったのか違和感があったのかはまるで憶えていないが、俺はスマホから左手を離して自分の左胸を掻いたのだ。




 そして、たわわな胸がユルンユルンと揺れて、小さなビキニの布から中身が零れ落ちそうになる。

 ただそれだけのシーンである。だがこれが今回の動画の中でいちばんアクセス数が伸びた、繰り返し再生された場面だったのである。




「方向性は見えましたっ。ゲーム攻略を疎かにする訳には行きませんが、お色気と言うかお楽しみと言うか、とにかくダイキチーナちゃんの魅力を感じさせる場面を必ず入れる必要がありそうですっ」




「そうね。その方向で間違ってなさそうね」




 恵ちゃんと呂姫ちゃんがそう解説した。




 その後、コメント欄をざっと見てみた。

 するとやっぱり多かったのが胸の()()()に触れた書き込みが多い。




 更にいくつか同じ意見だったものがあり、古い和室なのに超絶ビキニ姿で登場したミスマッチが背徳感を呼び起こさせていて、それがたまらないと言うものだった。




 つまり、……ゲーム攻略の役にたった。と言う本来の目的の感想はほぼなかったのである。




「なんかがっかり感があるな……」




「そう言わないでくださいっ。本来の目的はお金稼ぎですよっ」




「そうよ。再生数こそが正義なのよ」




「……勝つことこそ……正義……」




「ふぉふぉふぉ。お金を稼げれば良いのじゃろう? ならそれに精進すべきじゃのう」




 四女神にそう諭されて慰められて、俺はなんとか納得するのであった。




 ■




 そして再び俺の部屋へと戻っている。

 せっかくダイキチーナの再生数が伸びたのだから、すぐに次回作を作ってアップしなければならないからだ。




「いちおう私の意見。今回はビキニ姿はやめるわよ」




「意外だな? むしろ呂姫ちゃんは率先して俺にそれをさせようとするかと思ったんだが?」




「そうですねっ? 私も意外に思いましたっ」




 驚く俺と恵ちゃんに対して、呂姫ちゃんがゆっくりと説明を始めたのであった。




大吉さんはやる気を出してきたのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中



「夢見るように夢見たい」完結済み


「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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