136話 プライドの問題なのです。
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「……なあ、神力で女にできなくても走るスピードは遅いんだから、この元:オッサンたちは無視して追い抜いちゃえばいいんじゃないか?」
俺は説得力ある提案をしてみた。
目的は追い抜くことなのだ。別に女体化うんぬんはどうでもいいはずだ。
だがである。
「ダメですっ。それは認められませんっ」
「イヤ。それは却下よ」
「……それ無理。……許されない……」
「ふぉふぉふぉ。矜持の問題なのじゃ」
なんてこった。
恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんの四女神に全否定されてしまった。
どうやらこういうことなのだろう。
プライドの問題なのだ。
仮にも神である。
その神力が人間ごときに通用しないことが認められないし、許したくないのだろう。
「じゃあ、どうすんだ?」
「「「「共同で、やる!」」」」
そう返事が来たのである。
そしてからが見ものだった。
走りながら、そろって四女神が空中に手を伸ばし印を切った。
するとひときわ大きな白い煙が元:オッサンたちの頭上に巻き起こり、それがゆっくり降下して全員を包み込んだのだ。
ボフンと大きな音がしてかと思うと、煙は一瞬で晴れて、そこには超絶ビキニ姿の元:オッサンたちが変わらずいるのであった。
いや、違った。
反応が違った。
「い、いや~~~っ!」
「ちょ、ちょっとなによこれっ!」
「嘘でしょ? い、いつの間に~っ!」
「ゆ、揺れて……。は、走れないっ!」
「やめてよ~っ! 貰い手がいなくなる~っ!」
一斉に元:オッサンたちから悲鳴があがった。
見ると下半身のもっこりはなくなっているので、身も心も女性になってしまったようだ。
それまで全力疾走していたので、たわわの揺れ方が半端ない。
ユルンユルンと上下左右に揺れまくって、今にも小さな布地から零れ落ちそうになっている。
う……ぐぐぐ。
俺は上を向いた。
若いお姉さんたちのあられもない姿、そして乱れ揺れるたわわに鼻血が出そうになってしまったのだ。
「「「「「無理~~~っ!! も、もう走れないよ~~~っ!!」」」」」
元:オッサンたち改め現:妙齢のお姉さんたちは揺れる巨乳を押さえ、恥ずかしさのあまり蹲ってしまった。
俺たちはそれを横目にゆうゆうと追い抜くのであった。
「……成功したってことだな」
「はいっ。四人で力を合わせましたので成功しましたっ」
「やっぱり神力の効きづらい連中ってのは一定数いるのよね」
「……先頭集団に……なればなるど……効きづらい……イメージ……」
「ふぉふぉふぉ。残るのは正真正銘のトップ集団じゃな。これは難敵になるじゃろうな」
四女神がそれぞれ言葉を発したのであった。
そのとき俺は俺たちの集団をちらりと見る。
俺たちは俺、四女神、澤井さん、河合さん、新井の八名で走っているのだが、今確認したところ全員そろっている。
さっきのショタ騒ぎのときに澤井さんと河合さんは存在感を示したが、新井なぞ最初から無言で黙々と走っているので、今の今までいるのを忘れていたくらいだ。
だがまあ、もともと競技中なのだ。
走りながら会話する俺や四女神がおかしいのであって、新井のように黙って走るのが本来の姿だろう。
そんなこんなを思いながら走り続けていると、住宅街を抜けいよいよゴールである神武高校の姿が見えてきた。
高校の門を潜っても、そこがすぐにゴールじゃなくて、グランドのトラックを一周してのゴールとなる。
そのため俺たちは正門ではなくグランド門へと走り続ける。
すると最後の敵、つまり正真正銘のトップ集団へと近づいた。
トップ集団はすでにグランド門を潜り校庭へと入った。
そして俺たち八人も門を潜りグランドへと入ったのであった。
トップ集団と俺たちがトラックへと入ると観客席からは大歓声が上がる。
いよいよ最後の戦いが始まるのだ。
四女神にも意地があるのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」完結済み
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。