134話 四女神の共同作業なのです。
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「わかりましたっ。じゃあ、ちゃっちゃとやっちゃいますよっ! 行きますっ!」
恵ちゃんが空中に印を切った。
すると宙に霞のようなものが浮かび、それが徐々に降下して早乙女さんを包む。
その霞はふんわりとしているようで、腰まで伸ばしている早乙女さんの黒髪をフワリと持ち上げる。
「おおっ! うまい具合に行きそうだぞ」
俺は確信を持つ。
恵ちゃんが神力でポカするとは思えないからだ。
そしてそれはその通りとなった。
「キャ、キャ、キャ~~~ッ!?」
すさまじい悲鳴が響いた。
それもそのはずで、わずかばかりに身体を覆っていた上ビキニ、下ビキニが一瞬にして消失したからだ。
早乙女さんは走りを止めて、思わず立ち止まる。
素っ裸なのでそれは当たり前。
今は右手で胸を隠して、左手で下を隠している。
う、……ぐぐぐ。
生で見て思ったが、確かに早乙女さんの胸は控えめだ。
ほんのりとしか膨らんでいなくて右手ですっかり隠せるほどの大きさしかない。
だが、それもイイ。
ひっそりとした膨らみが逆に清楚感を醸し出していて、細身の早乙女さんにとても似合っているのだ。
そしてその早乙女さんだが、顔を真っ赤にして体中をモジモジとよじって恥辱に耐えていた。
俺は清楚な早乙女さんが恥辱に塗れる様を見て、興奮してしまい、その背徳感から身体の別の部分が反応してしまいそうで気持ちを落ち着かせるのが大変だ。
「い、いや~~~っ! な、なんで裸なのっ? どうして服がなくなっちゃったのよ~っ!」
そして近くにいる俺たちを怪訝な目で見ている。
「あ、あなたたちの仕業ね? あ、あなたたち、何者なのっ?」
恥ずかしさで今にも卒倒しそうだが、冷静に判断して俺たちに質問する。
「……なあ、神力、効いてないんじゃないか?」
「みたいですっ。きっと早乙女さんは効きづらい体質なんですねっ」
なんてこったい。
俺たち、と言うか四女神は神力で摩訶不思議な現象を起こしても、それを記憶から削除していることで行いがバレないことを前提にしている。
だがここに神力の効き目が少ない早乙女有朱と言う少女が現れたのだ。
「目的はなに? どうして私を裸にしたの? これって、あなたたち女性四人よね? このことは、女の子にとって、とても酷い行為ってわかってる?」
困った。
彼女は自分が今全裸にされていることを完全にわかっている。
そしてその原因が四女神であることもわかっているようだ。
「……面倒になってきた。神子恵、いい?」
「わ、わかりましたっ。臥留子ちゃんも集子ちゃんもいいですねっ?」
「……ん……わかった……」
「ふぉふぉふぉ。仕方ないのう」
呂姫ちゃんの提案で四女神がなにやら合意した。
「「「「これでも喰らえっ!」」」」
四女神が声を合わせて印を切った。
すると宙に雲のような物体が現れて、それが早乙女さんを包み込んだ。
やがて雲が晴れた。
するとそこには体操着姿の早乙女有朱さんがいた。
「……あ、あれ? 私、なにを……???」
キョロキョロと辺りを見回して俺たちと一瞬目があったが、すぐに学校の方角へと視線を動かした早乙女さんは走り出した。
そう。まるでなにごともなかったかのように……。
「神力か?」
「そうですっ。早乙女さんには効きづらいみたいなので四人で力を合わせましたっ」
「大変なのよ。息を合わせるのって」
「……難しい……ホントに……」
「ふぉふぉふぉ。終わり良ければ全て良しじゃわい」
四女神がそれぞれ感想を述べて俺たちは走りを再開した。
その際、先行していた早乙女さんはすぐに追い抜けた。
再び神力にかかった早乙女さんの走りは通常の半分なので、簡単に追い抜くことができるからだ。
そして川沿いのコースもそろそろ終わりとなる。
はるか前方には先行する集団の後ろ姿が見えていた。
大吉さんは、ほのかな胸も大好物なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。