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133/513

133話 スレンダーボディは無敵なのです。

【毎日昼の12時に更新します】

 

 そう言った臥留子(ふせるこ)ちゃんはまたもや空中に向かって印を切る。

 すると早乙女(さおとめ)有朱(ありす)さんを中心にボフンと白い煙が立ち上りオッサンたちも包まれた。




「……ちょっと待てっ! 早乙女さんも巻き込まれたぞ!」




 俺はそう叫んだ。

 そして俺の危惧通りのことが俺の眼前で展開されたのだ。




「「「「な、なんなのよ~っ!」」」」




 オッサンたちが妙齢の美女に変化した。

 着ているジョギングウェアは男性用なので胸がユルユル揺れているのが色っぽいが、露出はないので俺へのダメージは少ない。




 ちなみに早乙女さんはキリッとした美少年になっていて、なにごともなかったかのように無言で走り続けている。




 だが、この肉体変化は成功とは言えなかった。

 なぜならば互いの関係自体は変化がなかったからだ。




「ちょっと、イケメンじゃない?」

「やだ、ちょっとイイじゃない」

「うーん。悪くないわね」

「私、年下好きなのよ~」




 なんてことはない。美少女をナンパしていたオッサンたちが、イケメン少年をナンパする女性たちになっただけだった。




「これじゃ、あんま意味ないぞ? まあ、オッサンにストーカーされていた美少女って構図よりは、マシになったけどな」




「やはり性別だけじゃダメね。服も変えるわ」




 俺の言葉を受けて、呂姫(ろき)ちゃんが返事をした。

 得意のアレを仕掛けるのだろう。




「これでも喰らえ」




 呂姫ちゃんが印を切った。

 すると一瞬で先行する五人の服装が超絶ビキニ姿へと変化した。




 中心にいる元:女子の早乙女さんは男性の身体のまま青色ビキニという姿だが、取り巻きの妙齢美女たちは黒いビキニ姿へと変わったのだ。




 そしてビキニは定番の上は谷間を強調した布地が少ないタイプで、下は切れ込みがエグすぎるハイレグになっている。




「「「「キャ、キャ~~~ッ!!」」」」




 美女たちは一斉に悲鳴をあげた。




「だめ、これ恥ずかしいっ!」

「いや、いやよっ!」

「嘘でしょっ。ねえ、これ嘘よねっ!?」

「お願いっ。やめてよ~っ!」




 今まで走っていたのだ。

 だから胸がユルンユルンと揺れて少ない布地から零れそうである。




「「「「無理~~~っ!!」」」」




 最後にそう絶叫すると、恥ずかしさのあまりか胸を隠してしゃがみ込んでしまった。




 ちょっといい気味だと思った。

 これまでさんざん早乙女さんに迷惑をかけていたのだ。

 これくらい罪滅ぼしとしてちょうどいい。




 だが事態はこれで終わりじゃなかった。




「大変ですっ。早乙女さんに神力が効きづらくなっていますっ。スピードがアップしていますっ」




「なんだって?」




「ホントだ。……あの子に神力を使って走る速度を半分に押さえていたんだけど、それが効果がなくなってしまったのよ!」




 慌てたように呂姫ちゃんが解説してくれる。




 見るとそれらは本当のようで、イケメン美少年でビキニ姿になっている早乙女さんとの距離が、みるみる開いて行く。




「まずいな。……なあ、臥留子ちゃん。とりあえず早乙女さんを女性に戻せるか?」




「……ん……。可能……」




 そう答えると臥留子ちゃんは、またしても着物の裾を乱しながら残像しか見えない超高速小走りを行い、早乙女さんとの距離を詰める。




「……ん……やる……」




 するとボフンと煙が立ち上り、それが晴れるとイケメン少年だった早乙女さんは元の長髪の美少女へと戻っていた。




 だが……。




「……まずい。速度が落ちないな。……どうしてだ?」




「言いづらいんだけど……。あの子、貧乳だから走ってても胸がほとんど揺れないんで、ビキニ姿でもハズくないのかも……」




 呂姫ちゃんがそう解決してくれた。




 なるほどである。

 早乙女さんは学年一とも言われる超絶美少女だが、決して()()()ではない。

 むしろそのスレンダーボディぶりの儚さが魅力の少女と言えるのだ。




 なので走っていても胸がユルンユルンと揺れないので、恥ずかしくないのかもしれない。



 そうこうしている間にも早乙女さんとの距離はぐんぐん開いて行く。

 このままでは追いつくことは不可能かもしれない。




「き、緊急事態だ。恵ちゃん、ぶちかませっ」




 俺はこのマラソン競技では、半ば禁じ手となっていた能力を使うように恵ちゃんに指示したのであった。




大吉さんはスレンダーボディも、もちろん好きなのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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