130話 ショタなのです。
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そして更に走り続けたときである。
前方に不審な集団を見つけたのだ。
体操着を着ているので走っているのは間違いなく神武高校の生徒なのだが、その周りに小学五、六年生くらいの女児たちもいっしょに走っているのが見えたのだ。
「神武高校の二年生男子二名と、地元の小学生の女の子五名ですねっ」
恵ちゃんがそう分析した。
「いったいどういう組み合わせだ? なんで小学生も走ってるんだ?」
「イケメンね。……高校生の方は二人ともイケメン男子。それに声でもかけられて女の子たちがいっしょに走り始めたってトコでしょ?」
呂姫ちゃんがそう解説する。
そういうことってあるんだろうか?
俺にはわからんが、イケメンはなにをしても女性に許されるって話を聞いたことがある。
もしかしたら、男の方が遊んでいた女児たちに、いっしょに走らないか? と声をかけてナンパが成立したのかもしれない。
最近の小学生は、小学生のくせにすでに完成された美少女もいるからな。
相手が小学生だとわかっていても、ついつい声をかけてしまったのかもしれん。
なので案外、呂姫ちゃんの推理は正しいかもしれない。
「あれ、どうやった追い抜くんだよ? 道幅いっぱいに走ってるから、このままだと追い抜けないぞ?」
俺はそう言う。
そうなのだ。
この土手の道はサイクリングコースなので道幅がそれほど広くない。
自転車が安全にすれ違える程度にしか幅がないのだ。
なのに、イケメン男子二人とそれを囲む小学生女児たちは幅いっぱいになって走っているのだ。
このまま後ろから追い抜こうにも、それはできない。
「また臥留子ちゃんと呂姫ちゃんの神力でいいんじゃないんですかっ?」
恵ちゃんがそうあっけらかんと言う。
……こいつ、なんにも考えなしで言ってるに違いないな。
「……ん……。わかった……じゃ……」
臥留子ちゃんが空中に向かって印を切る。
するとボフンと白い煙が一瞬、イケメン高校生とその周りを走る小学生女児たちを包んだ。
するとイケメン高校生たちは女体化して、そのイケメンに似合った美少女となった。
ただし体操着はそのままだ。
「うわ~っ。かわいいわっ!」
「嘘っ! これはヤバいかも!」
突然に澤井遙香さんと学級委員の河合香菜さんが叫んだ。
見ると二人の視線はさっきまで女児だった小学生たちに向けられている。
「……なんてこった」
女児たちは男の子になっていた。
髪は短くなっているが服装は小学生女子のままだ。だが明らかに男子児童になっている。
「私、こういうの弱いのよ!」
「私も実は好み」
……どういうことだ?
俺は意味がわからず戸惑う。
しかしそんな俺を見て恵ちゃんが言う。
「ショタですねっ。どうやら澤井さんも河合さんもかわいい男の子が好きみたいですっ」
「げ、マジかよっ!」
俺はのけぞった。
清楚な美少女の澤井さん。健康美少女の河合さん。
この二人にこんな性癖があるとは思わなかった。ううむ。おそるべし。
「ねえ、お姉さんと遊ばない?」
「なにしようか? どんな遊びでもいいよ?」
澤井さんと河合さんは俺たちから先行して、元:女児、つまり現:男児の肩を叩き、背をさすると言ったスキンシップをして、声をかけている。
問題なのはその顔だ。
表情はだらしなく緩み、口からよだれを垂らさんばかりなのだ。
「……見ちゃおれん。呂姫ちゃん、頼む」
「心得たよ。じゃあ、これでも喰らえ」
澤井さん、河合さんのあまりの乱心に見ていられなくなった俺は呂姫ちゃんに依頼し、彼女も了承したのであった。
さすがの大吉さんも二人のショタ好きにはドン引きなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。