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129話 キャッキャウフフなのです。

【毎日昼の12時に更新します】



 

「さすが臥留子ちゃんっ。めちゃくちゃ速いですっ」




 恵ちゃんがそう表現したように、臥留子ちゃんはかなり速かった。

 もはや小走りをする足が残像となってしか見えない。




「……追いついた……。神力……使う……よ……」




 走りながら臥留子ちゃんは空中に手を伸ばし印を切る。

 すると追いついた細マッチョ超絶ビキニ姿のキモい集団が一斉にボフンと白い煙に包まれた。




「い、い、い、いや~~~っ!!」

「み、見ないで~っ!!」

「め、めっちゃハズいんですけどっ!!」

「お、お願い、やめてよ~っ!」

「も、もうお嫁に行けないっ! 誰か私をもらって~っ!!」




 細マッチョのキモい集団が全員美しいお姉さんたちに変わった。

 もちろん着ているのは胸元が強調された少ない布地の黒ビキニ上と切れ込みが超エグい黒ビキニ下である。




 それまでトップスピードで走っていたので胸がユルンユルンと水着から零れそうになっていて、それをあわてて手で押さえている。




 だがそれもほんの数歩だけで、その後は恥ずかしさのあまり立ち止まってしまっていた。



 う、……ぐぐぐ。




 俺は思わず上を向いた。

 なぜならば鼻血が出そうになったからだ。

 キモい兄さん、オッサンたちがいきなり超絶美女たちの色っぽい水着姿になったのだ。

 これに気持ちがどうにかならないほうが健全な男子としておかしい。




「大吉さんっ。大丈夫ですかっ?」




「……な、なに、大丈夫だ。……ただちょっとキモさと色っぽさのギャップがすごかったからな」




 問いかける恵ちゃんに俺は言い訳めいた返事をするのであった。




 そして俺たちは元細マッチョで今はお色気お姉さんたちの集団を追い抜いた。




 ■




 それからしばらくすると長かった商店街を通り抜けた。

 すると道は大きな川の土手に出る。

 この土手付近は景色も良いこともあって、市民の憩いの場ともなっている場所だ。




 川は広く緩やかに流れていて、河原にはコンクリート製で仕切られた水遊びスポットが備えられているのがわかる。

 真夏になれば川遊びをする親子連れで賑わうのだろう。




 すると土手に設けられているサイクリングコースの先に俺たちを先行する集団が見えた。男女四名ほどの集団と思える。

 服装からして一般参加の商店街の人たちだ。




 ただし先行していると言っても四女神の神力で走る速度が制限されているので、俺たちが追いつくのは容易だ。




 そしてだいぶ追いついたときだった。

 もう先行する集団の内訳ははっきりとわかり、男性が二人、女性が二人の集団だ。




「ふぉふぉふぉ。これだけの人数ならワシが男女に分ける必要はなかろう?」




「そうですねっ。臥留子ちゃん、男の人だけ女体化してもらえますかっ?」




 集子ちゃんが適正に判断し、恵ちゃんが臥留子ちゃんに提案したときだった。




「待って。この人数なら私ひとりで十分よ。だから任せて」




 そう呂姫ちゃんが提案したのだ。




 ……いや、それはマズイだろう。




「……いいですけどっ。また男の人をビキニ姿にするのはどうかと思いますよっ」




 俺が危惧したことと同じことを恵ちゃんも思ったようだ。

 まさに俺が言おうとしたことと同じ内容の質問を呂姫ちゃんにする。




「もうミスしないわよ。大丈夫だから」




 そう断言した呂姫ちゃんは空中に手を伸ばし印を切る。




「「うお~っ! な、なんだっ?」」

「「いや~っ! 恥ずかしいっ!」」




 男はちゃんと下だけの男性用水着になっていた。

 そして女性は、……やっぱり上は黒色ビキニで胸の谷間を強調した布地少量タイプ。そして下はエグい切れ込みの黒色ビキニになっている。




「……うまく男女別に分けたが、女性はたぶん恥ずかしがって走るのを止めるだろうけど、男の方はそのまま走り続けそうだぞ?」




 俺は呂姫ちゃんにそう問うた。

 だが呂姫ちゃんは自信満々の笑顔で答える。




「そうはならないわ。なぜならばここは水遊びの場所だからよ」




 そう言って呂姫ちゃんは追加で印を切った。




「……なあ、あそこで遊んで行かないか?」

「おお。それは名案だな」

「ウフフ。それもいいわね」

「じゃあ、行きましょうよ」




 驚いたことに先行していた男女四人は河原の方へと降りて行き、今は誰もいない水遊び用の浅い川へと入ってしまったのだ。




「そら~っ」

「冷た~いっ」

「これでどうだっ」

「きゃ。やったわね!」




 なんてことだ。

 男女四人は水を両手ですくい、お互いにかけ合って遊び始めたのだ。

 まさに健全なキャッキャウフフな展開である。




「……言いたいことはあるんだが、……まあ、良しとしようか」




 俺がそう言うと呂姫ちゃんを除く全員が頷いた。

 そして俺たちはその場を走り去ったのであった。





大吉さんはキャッキャウフフにちょっと嫉妬してしまったのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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