127話 アルバイトのお誘いなのです。
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「目標発見ですっ。距離二十メートル。男性、二。女性、三。……いや、男性、三、女性、二かもですっ!」
「どっちなのよ?」
恵ちゃんが今度のターゲットの詳細を伝えると、呂姫ちゃんが問い返す。
「たぶん男性が三人です。ひとり髪を伸ばしているので見間違えたようですっ。……あ、でも、もしかしたら女性かもしれませんっ」
どうやら後方からだと、男にも女にも見える髪の長い選手がいるようだ。
着ている体操着は男女共通なので区別がつきにくい。
「……なら、……まとめて……やる……。……やれば……わかる……」
臥留子ちゃんが空中に印を切る。
お得意の肉体変換だろう。
「なら、私もやるわ。これでも喰らえっ!」
呂姫ちゃんも宙に印を切った。
すると変化が一瞬で起こった。
ボフンと白い煙が瞬間巻き起こり、すぐに消える。
「いや~~~っ! やめてよ~っ!」
「嘘よっ! 嘘と言ってえ~っ!」
悲鳴をあげたのは元男性の二人だった。
二人とも胸の谷間を強調するために布地が小さめのビキニ上と、切れ込みがエグい超ハイレグビキニ姿になってしまったのだ。
色は三年生の学年カラーである鮮やかな黄色で、たわわな胸と豊かなお尻をユルンユルンと揺らせて走っていたが、やがて羞恥に負けてしまい、しゃがみ込んでしまう。
「どうやら男性は二人だけだったみたいですねっ。髪の長い人は女性だったようですっ」
見ると筋骨隆々のマッチョマン少年三人が超絶ビキニ姿で走りを継続していた。
これは元女性で、臥留子ちゃんの神力で男体化したのである。
なので今度の恵ちゃんの分析は正しいようだ。
「今度は元女性を女体化してくださいっ」
恵ちゃんが臥留子ちゃんにそうお願いをする。
つまり、元々の女性に戻せと言うことだろう。
「……ん……。わかった……」
臥留子ちゃんが再び空中に印を切る。
するとボフンと一瞬だけ白い煙がもうもうと立ち上り、すぐさま収まる。
「やだ~~~っ! これはなし~っ!!」
「やめてよ~っ! ハズいよ~っ!!」
「揺れるし、……恥ずかしい~っ!!」
元マッチョマン少年三人組が一瞬で元の女の子に戻った。
そして谷間を強調した布地の少ない黄色いビキニ上と、切れ込みがエグすぎる超ハイレグのビキニ下になってしまったのだ。
豊満な胸と豊かなお尻がユルンユルンと波打つ。
「「「無理~~~っ!! もうダメ~~~!!」」」
女の子三人組も恥ずかしさのあまり走れなくなり、胸と下を押さえて蹲ってしまった。
俺たちはそれを横目に追い越す。
もう五十人くらい追い越しただろう。先行する残りもだいたい五十人くらいだろうな。
「お、最新型のヤツだ……」
俺はPCショップの前に到着すると足を緩めた。
ここは最近では珍しいPC専門店でメーカ製のものだけじゃなく、ショップオリジナルのモデルや自作PC用のパーツ類などを取り扱っているなかなかコアな店なのだ。
「欲しいパソコンでもあるんですかっ?」
恵ちゃんがそう尋ねてきた。
「ああ。ゲーミングPCって言うゲーム用のハイエンドモデルが欲しいんだ。それもノート型のヤツなんだ」
「高いんですかっ?」
「ああ。さすがに今回の体育祭の商品券じゃ手が届かないな。……バイトしてお金を貯めるしかないな」
「バイトですかっ? そのときは声をかけてくださいっ。私も手伝いますよっ!」
「ホントか? それはありがたい」
俺は恵ちゃんの厚意を嬉しく感じたのであった。
■
それからしばらく走ったときである。
「前方に目標発見。男女混在で多数いるものと思われますっ!」
商店街の中を走る先行集団を恵ちゃんが発見したのであった。
大吉さんはオンラインゲームが大好きなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。




