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124話 呂姫ちゃんのポカなのです。

【毎日昼の12時に更新します】

 

「そう言えば私、今日調子がいいのかしら? 走ってても、なんだか疲れないわ」




 突然に澤井(さわい)遙香(はるか)さんがそう発言した。

 そう言えば澤井さんは病弱な体質だったはずだ。

 なのにこうして平気で走っているのだから、原因はわからないが体調がいいのだろう。




「そう言えばそうね。私も話しながら走ってても息が上がらないし」




 学級委員の河合(かわい)香菜(かな)さんもそう言う。

 河合さんはスポーツが得意そうだが、それにしたってずっと走りっぱなしなら会話がキツイのはふつうだ。




「……僕も平気だ。不思議だね」




 訊いていない新井(あらい)までもがそう言葉にする。




「なあ、これも神力か?」




「はいっ。そうですっ」




 俺が尋ねると(めぐみ)ちゃんがそう答えてくれた。




「簡単に言うと体重を減らしているのよ」




「……だいたい……半分くらいの……体重になってる……」




「ふぉふぉふぉ。なので走るのが楽なのじゃろうて」




 呂姫(ろき)ちゃんと臥留子(ふせるこ)ちゃん、集子(あつめるこ)ちゃんが補足してくれた。




 なるほど。

 きっとたぶん、俺たち一行は体重が半分になるように神力を使ったんだろう。

 それなら走るのが楽なのも道理だ。




 そして今までの他の選手たちの超絶ビキニ姿にまったく気が付かなかったように、自分たちの体重が半分になったと言うこの会話のやり取りも、澤井さん、河合さん、新井は気づいていないだろうな……。




 なんせ、神力を使った形跡なんてまったく知覚してないし、記憶もしていない。

 そして神々と俺の会話もなんだか他の世間話としか、これまで聞こえていなかったからな……。




 そんなことを思っていると、いよいよ商店街が近づいてきた。

 そして先行している十人くらいの集団にもいよいよ追いついてきた。




 その集団は女子ばかりに見えた。

 少なくとも後方の三人は、すべて神武高校の女子生徒の白い体操着姿である。

 そのもう少し前には、ポニテで走る一般参加の若い女性の自前のジョギングウェア姿もちらほら見えた。




「見たところ女性ばかりね。じゃあ私がやるわ」




 そう発言したのは呂姫ちゃんだ。

 確かに女性相手ならば呂姫ちゃんの水着攻撃が適任だ。

 恵ちゃんの場合は全裸にしてしまうから強力過ぎるのだ。




「これでも喰らえっ!」




 呂姫ちゃんが空中に印を切った。

 すると直前を走る十人程度の集団に一斉に変化が起きる。




「いや~~~ッ!!」

「なにっ!? なにこれっ!?」

「やめて~っ! やめてよ~っ!」

「信じられないっ! どうしてこうなるのっ!」




 四名の女性が悲鳴を上げた。

 もちろん呂姫ちゃんお得意の布地が小さめで胸の谷間を強調する上と、エグい切れ込みの超ハイレグの下の超絶ビキニ姿になったからだ。




 四人の内、三人は二年生だったようで青いハイレグビキニになっている。

 そしてポニテの商店街のお姉さんは黒いハイレグビキニとなっていた。




 みんな走りながら胸をお尻をユルンユルンと揺らしていて、走りづらそうだ。

 そしてそれ以上の恥ずかしく思っているのは顔を真っ赤にしていることでわかる。




「「「「もう、無理~~~っ!!」」」」




 二年女子プラス商店街お姉さんは羞恥のあまり胸と下を隠して座り込んでしまった。

 これで四人を抜いたことになる。




 ところである。




「……なあ、あれ違うんじゃないか?」




「そうですねっ。違いますねっ」




 俺と恵ちゃんが指摘したのは、しゃがみ込んでしまった四名ではなく、その前を走る六名ほどの集団の残りだ。




 その人たちも上も下も超絶ビキニ姿だった。

 座り込んでしまった神武高校二年生女子と同じで青色なので二年生なのだろう。




「……な、なんだか見ているだけで、吐き気を催しそうにキモいんだが……」




「はいっ。ちょっと気持ち悪いですねっ」




 そうなのである。

 先行していた十人程の集団の後方は確かに女性だったんだが、前を走っていたのは男子生徒だったのだ。




 彼らは、まったく平らな胸をすっぽり小さめ布地で隠し、下はエグい超ハイレグを履いていて、もっこりが見えそうで見えない微妙なバランスを保っている。




「うはあ……。ごめん。気が付かなかった」




 呂姫ちゃんが走りながら頭を抱えた。

 まちがいなく先行集団すべてが女性だと勘違いして、全員を超絶ビキニ姿にしてしまったのだ。




 そのため後方にいた女性陣にはうまく作用したが、その前を走っていた男子までビキニ姿にしてしまった訳だ。




「ふぉふぉふぉ。あれは見るのも汚らわしいのお」




 集子ちゃんも嫌そうに言う。顔を見ると心底そう思っているようだ。




「……呂姫ちゃん。……あれ、気持ち悪いから……ワタクシが……なんとかする」




 するとそれまで黙っていた臥留子ちゃんがそう提案するのであった。





 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。

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