118話 あぶなかったのです。
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それもそのはずである。
大将役のお姉さんの下のビキニがいきなりなんの前触れもなく消えてしまったのだ。
上のビキニで半分ポロリしていても気丈にもがんばっていたお姉さんだったが、大事で恥ずかしい下の部分の露出にはさすがに耐えられなかったようだった。
「やめて~っ! これはさすがに恥ずかし過ぎるよ~っ」
お姉さんは左手で下の部分を隠した。
そうなるとさすがに片手だけでの攻防となるので、恵ちゃんには敵わず黒いハチマキを取られてしまったのであった。
「ハチマキ、ゲットですっ」
意気揚々と戦果の黒ハチマキを頭上高く掲げる恵ちゃんだった。
だが、その間にも最後の刺客がひたひたと忍び寄っていた。
最後に残った一般参加の商店街騎馬チームだ。
背後から静かに忍び寄っていたその商店街騎馬チームは勝利の雄叫びを上げている恵ちゃんの赤いハチマキを伸ばした右手で奪おうとしたのだ。
あと十センチほどの距離だった。
そこでいきなり商店街騎馬チームの大将の腕が止まった。
いや、止まったのではない。
大将役の女性が恵ちゃんを見失ったのだ。
なぜならばその眼前には大量の一万円札が乱れ飛んでいたからだ。
「み、見えないっ……!」
大将役の女性はそう言って舌打ちをする。
その間に恵ちゃんたち四女神の騎馬は距離を取り、方向転換して一般参加の商店街騎馬を向き合う形を取っていた。
「……あ、あぶなかったのですっ」
「ふぉふぉふぉ。たまには仕事をせんとな」
一万円札乱舞はもちろん集子ちゃんの神力だ。
高利貸しの神の能力でお札を呼び出して視界を奪ったのだ。
■
……危なかったな。
俺はそう思い、安堵した。
眼の前の勝利に酔いしれてうかうかしている隙を伺って、もうひとつの商店街騎馬チームは忍び寄っていたのだ。
仲間の犠牲を利用しての作戦。
かなりできるチームに違いない。
それにしてもすごいのが集子ちゃんの一万円札乱舞だ。
前フリも予備動作もなく、いきなり出現させていた。
ポロリなどのいやらしさがないので地味なんだが、威力自体は最強かもしれない。
■
「ふいをつかれちゃいましたけど、今度はこっちがやりますよっ」
「当然ね。これでも喰らえっ」
恵ちゃんの言葉に返事した呂姫ちゃんが能力を発動する。
すると大将役の女性を含め、敵の商店街騎馬チーム四名全員が超絶黒ビキニ姿へと変化した。
もちろん下はエグいくらい切れ込んでいて、上は谷間を主張するタイプの色っぽいヤツだ。
「ちょっと~。これヤバすぎよ~っ」
「こんなエグいの着たことないわっ。恥ずかしいよっ」
「やめて~。お嫁に行けなくなっちゃう~っ」
「じょ、冗談でしょ? こ、これ冗談だよねっ?」
いくら妙齢のお姉さんたちと言っても、ここまでエロいビキニは着たことがなかったようで、動揺がすごい。
白日の元に晒された真っ白な柔肌と黒いビキニの色の対比が刺激的だ。
そして豊かな胸は思いっきり寄せて上げられて強調されているので、お姉さんたちは動かず呼吸をしているだけなのに、たわわはユルンユルンと上下に揺れている。
これは見ているだけでも目に毒だ。
「じゃあ、行きますよっ」
「当然ね。攻撃あるのみ」
「……先手……必勝……」
「ふぉふぉふぉ。やるからには勝つのじゃ」
恵ちゃん、呂姫ちゃん、臥留子ちゃん、集子ちゃんたちが口々にそう言うと、一年女子騎馬チームは最後の敵を倒すために動くのであった。
女子騎馬戦。いよいよ最終決戦なのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。