116話 ポロリもあるのです。
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……物々交換で勝利とは、あんまりキレイな勝ち方じゃないな。
俺はそう思ったのだが、考えてみれば元々神力を使っている時点でフェアじゃない。
だから悩むのは止めにした。
どうせ今更なのだ。
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「――神子恵。三年生たちが来るわ」
「――ホントですねっ。二チームいっしょに来るようですっ」
「――……一対二は……不利……」
「――ふぉふぉふぉ。挟み撃ちは避けたいものじゃ」
四女神の言葉の通り、今度は三年生騎馬が来た。
しかも二チーム合同での攻撃だ。
騎馬の配置からして前後から四女神騎馬を挟み撃ちをするつもりらしい。
じわりじわりと前と後ろから包囲網を作ろうと移動を開始している。
「――……後ろはワタクシが……やる……。前は呂姫、やって……」
珍しく臥留子ちゃんがそう指示を出した。
その言葉に恵ちゃん、呂姫ちゃん、集子ちゃんたちは頷く。
ダダダッと四女神の前方と後方から足音がした。
三年生チームたちがタイミングを合わせて一斉に行動を開始したのだ。
そのときだった。
四女神騎馬まであと十メートルの距離まで迫っていた後方からの攻撃騎馬がいきなり崩れたのだ。
かなりの勢いで進んではいたものの、躓くような大きな石などないグランドでいきなりバランスを崩して、倒れたのだ。
見れば崩れた騎馬の中に妙に大きい女子と妙に小柄な女子が含まれている。
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……ははあ。さては臥留子ちゃんの神力だな。
俺はそう思った。
騎馬戦の騎馬を構成する三人はバランスを考慮して、それほど体格差がない人物たちが集められる。
だが崩れた三年生女子騎馬チームを見ると、ひとりは身長三メートル近く、もうひとりは身長一メートル以下の女子生徒が含まれていたのだ。
おそらく、いや絶対に間違いなく臥留子ちゃんの神力で肉体の大きさをいきなり変化させたに違いない。
だがこれで後方から襲いかかろうとしていた三年生女子の一チームは棄権となった。
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「臥留子ちゃん、やりましたねっ」
「ワタクシの……得意技……ですもの」
これで後方への憂いはなくなったので、四女神騎馬は前方から迫りくる残り一チームとなった三年生女子騎馬へ集中できる。
「じゃあ、また行くわよ」
馬頭役の呂姫ちゃんがそう宣言した。
するとやっぱり変化が三年女子騎馬に起こる。
「うわっ。なによこれっ?」
「ちょっと、困るよっ」
「やだ。恥ずかしいよっ」
「マジ? マジなのっ?」
三年女子騎馬チーム四名全員が水着姿になっていた。
先程の二年生騎馬と同じで胸の谷間を強調する超ハイレグビキニである。
色は三年生の学年カラーである黄色で、強い日差しによく映えている。
そしてそのまま四女神騎馬と三年女子騎馬は激突した。
ただでさえ布地が少なく露出度が高い水着姿だ。
戦いの衝撃が来る度にユルンユルンとたわわが揺れる。
頭上では胸を揺らして身を乗り出しながら恵ちゃんから赤いハチマキを取ろうとする三年女子と、それを素早く防ぎながら、隙を伺って黄色いハチマキを三年生から奪おうとする恵ちゃんが争っている。
「あ……っ!!」
そのときだった。
三年女子が叫んだのだ。
ちょうとそのとき騎馬から身を乗り出して右手で恵ちゃんの頭に手を伸ばしたのだが、体勢に無理があって身を捻ったことで……、水着から右の胸がポロンと露出してしまったのだ。
「イヤ~~~~ッ!! 見ないでっ!!」
これはハプニングだ。
世にいう、ポロリもあるよ、のポロリが発生してしまったのだ。
三年女子はそのたわわな右の乳房を白日の元にさらしてしまったのである。
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「う、……ぐぐぐ……」
俺は目が釘付けになってしまった。
ふたつ年上のお姉様の恥ずかしい姿に劣情を催してしまったのだ。
……いかん、いかん。
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「今がチャンスですっ」
そう宣言した恵ちゃんは左右の手でそれぞれの乳房を隠したままの状態の三年女子大将から、苦もなく黄色いハチマキを奪ったのであった。
水着はその服装からしてすでにハンデなのです。(`・ω・´)∩
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「夢見るように夢見たい」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。