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114話 女体化させて作戦で優勝なのです。

【毎日昼の12時に更新します】

 

 ……まずい。




 俺は動揺している。

 なので身体から力が抜けてしまっている。

 このままだと騎馬を維持することも難しくなってしまう。




 俺は騎馬が崩れる前に深呼吸を繰り返し気持ちを落ち着けることにした。

 そして慌てずゆっくりと女体化して崩れた三年生騎馬の大将役から、黄色い学年カラーのハチマキを奪い、頭上の新井に手渡したのであった。




 見るとすでに三年生たちは元の男の姿に戻っており、体操着姿だった。

 だがなにが起こったのかまったくわかっていないようで呆然としていた。




「残るは一般参加の騎馬だけだ。行くぞ」




 俺の言葉に新井たちが、おう、と返事を返してくれる。

 そして俺たち一年生騎馬は、一般参加騎馬へと向かうのであった。




 一般参加の騎馬は肉体派だった。

 全員が筋骨隆々としていて身体がデカい。

 そして年齢も二十代半ばと強敵だ。




 服を見ると上下ジャージ姿なのだが、胸に刺繍が入っていて、そこには神武商店街と書かれている。

 どうやら地元商店街のチームで、今回の体育祭のスポンサーも兼ねている商店街からの選抜チームのようだ。




 これは手強いな。




 聞けば商店街は毎年スポンサーになっていて、毎年騎馬戦に参加しているらしい。

 そして優勝歴も多い強豪チームとのことだ。




 つまり騎馬戦に慣れているベテランチームなのである。

 これじゃ通常の戦法では俺たちに勝てる要素がない。




 やはり神力頼みだな。




 俺は控えの場所で待機している恵ちゃんたちにちらりと視線を送る。

 すると恵ちゃんが両手を頭の上に伸ばして大きく輪を作った。

 万事オッケーの合図だろう。




 すると突然地響きがした。

 見ると一般騎馬チームが俺たちに向かって全力疾走して接近して来たのだ。




「俺たちも行くぞ」




 俺の合図で俺たちも突進を開始した。

 場所はグランドのほぼ中央。

 最後に生き残った騎馬二騎の対決が始まるのだ。




「「「「うお~っ!」」」」




 俺たちは吶喊の雄叫びを上げる。

 残り二十メートル、残り十五メートル、残り十メートル、残り五メートル……。




 そして一般騎馬と俺たち一年生騎馬が激突した。




「ぬおおお~っ!」




 俺は必死で歯を食いしばる。

 体格の良い大人の青年たちにぶち当たられたのだ。

 痛みと衝撃で騎馬を組む腕を離してしまいそうだ。




 だが俺も、俺の両脇のチームメイトも必死でそれに耐える。

 ここまで来たのだ。

 そう簡単には負けられない。




「おら~っ! 寄越せっ!」

「ぬおおおっ」




 頭上では一般騎馬の大将役と新井が、ハチマキを巡ってバトルを演じているようだ。

 一般騎馬の大将の青年は、細マッチョと言った感じだった。

 凡の凡、平凡の新井がどこまで対抗できるか疑問だが、今は信じるしかない。




 俺たちは必死こいて力比べを続ける。

 押しくら饅頭みたいに力押しで、少しでも自分たちの騎馬が有利な体勢になるように身体をぶつけ合う。

 額から流れた汗が目に入って痛いし、視界も悪くなる。




 そんなときだった。




「どうしてっ。ねえ、どうしてこうなるのっ」

「イヤよっ。信じられないっ」

「嘘っ。ねえ、嘘よねっ!?」

「あり得ないでしょっ。ねえ、あり得ないよねっ」




 一般参加騎馬が崩れた。

 全員が女体化してしまったことで、慌てて騎馬を組んでいた腕を離してしまったからだ。




 だがそれも仕方ない。

 なんせ四名ともに全裸になってしまって真っ白な柔肌を白日のもとに晒してしまったからだ。




 みんな、たわわな胸を右手で抑え、左手で大事な下の部分を隠すことで大変だ。




 う、ぐぐぐ……。




 これは強烈だ。

 オトナの色香漂う女性たちの全裸。しかも全員美女でナイスバディなのだ。

 なので俺の身体の変な部分が反応してしまわないように、深呼吸を繰り返す。




「はは。……私たち、負けね?」




 大将役で細マッチョだった青年は、明るい茶髪ポニテでスレンダーボディの妙齢女性になっていた。

 そして細身なのに、驚くくらいたわわな胸を右手で隠している。




「……そうですね。ハチマキ、もらいます」




「わかったわ。でも、どちらの手も離せないから、そっちで外してくれる?」




「わかりました」




 俺は茶髪ポニテのグラマラス女性から黒いハチマキを受け取った。




「最後にひとついいかしら?」




「なんですか……?」




「恥ずかしいから、見ないで~~~~っ!!!」




 魂の叫びだった。

 だがそれは神に通じた(?)ようで、茶髪ポニテ女性も他の騎馬役だった女性たちも、元の男性でジャージ姿に戻っていたのであった。




「……優勝したな」




「そうだね。僕たち優勝したんだね?」




 俺がポツリと漏らすと新井がそう答えたのだった。




大吉さんはやっぱりオトナの女性が好きなのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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