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103話 実は好みだったのです。

【毎日昼の12時に更新します】

 

 そしていよいよ最終走者となる俺と子宝の神:神子(かみこ)(めぐみ)ちゃんの順番がやって来た。

 校舎に掲げてある各学年の得点を見ると三年生と一年生がほぼ同点。

 この二人三脚では金尾集子ちゃん、山井臥留子ちゃん、辻神呂姫ちゃんたちがそれぞれ一位になっているので、おそらくたぶん一年生が首位になれるだろう。




「いよいよ私たちですねっ」




「ああ。まあ、がんばるか」




「はいっ。相当に気合いを入れてがんばりますよっ。だから大吉さん。一位になりましょうっ」




 恵ちゃんはかなり気合いがはいっていた。

 これはやらかすつもりなのだろう。




 ……まあ、ほどほどにな。




 そして俺たちはスタート位置につく。

 二年生、三年生のチームの女子たちは、それぞれそれなりに背が高く、パートナーの男子と身長差があまりない。




 それに対して俺たちのチームは身長差がある。

 俺が特に背が高いという訳じゃないんだが、恵ちゃんが低い。

 小学生並みの身長しかないんだから、それは仕方がない。




 なので歩幅も小柄な恵ちゃんに合わせて小さめで行くしかないだろうな……。




 俺なりにそう作戦を考えたのだった。




「位置について。よーい――」




 ――ダーンッ!――




 スタートはやはり団子状態。

 二人三脚でロケットダッシュを決められる者などいないのだから、これは仕方ない。




 だがやはり体格差が出てしまい、俺と恵ちゃんは遅れ始めた。

 二人の息が合ってない訳じゃないんだが、やっぱり恵ちゃんのストロークに合わせるとどうしても二年生、三年生チームとの間に差が出てしまうのだ。




「もう少し歩幅を増やすのは無理か?」




「この身体じゃ無理ですっ。転んじゃいますよっ」




 ……仕方ないな。




 二年生、三年生チームが焦って転んで自滅するのを待つしかないようだ。




 そんなときだった。




「でも、行きますよっ。これで大丈夫ですっ」




 驚いた。

 いきなり恵ちゃんのストロークが増したのだ。

 俺のいつもの歩幅に合わせても平気になっていた。




 俺はびっくりして左横の恵ちゃんを見てしまった。




「……な、……なんだって……!?」




 驚愕だった。

 恵ちゃんがいつのまにか俺とほぼ同じ身長になっていたのだ。

 よく見ると顔つきもちょっと大人びた感じだった。

 つややかな黒髪も伸びており、腰近くまであって風にたなびいている。




「ど、どうなっているんだっ?」




「背を伸ばしましたっ。正確に言えば成長させたのですっ」




「成長させた? どういうことだ?」




「いつもの身体は小学生の姿なんですっ。で、今の姿がこの肉体が高校生になったときの本来の姿なんですっ」




「……つまり高校生に身体を成長させたってことか?」




「はいっ。大吉さんと出会ったときに小学生サイズで具現化してしまったので、そのままでいたんですっ。で、今は姿を高校生にしてみましたっ」




 そう言った恵ちゃんは右横を俺の顔を見る。

 その笑顔に俺はドキッとしてしまう。




 ……なんてことだ。

 やべえ。……好みじゃねえかよ。




 そうなのだ。

 成長した恵ちゃんの顔は俺好みの顔だったのだ。

 目元や小さな鼻、造りの良い唇辺りに少女の部分を残しながら、ちょっとオトナの女が混じった感じ……。




 しかもである……。

 いっしょに肩を組んで二人三脚をしているのだから、視界の下の方には……たわわが見えるのである。




 いつもは真っ平らの恵ちゃんなのに、今はユルンユルンと歩みに合わせて弾む胸が見えてしまうのだ。

 すげえ柔らかそう……。




「……はああ。大吉さん。……さては私に見惚れちゃいましたっ?」




「な、な、な、なに言ってんだ。……競技に集中しろっ」




 俺は説得力のない言葉しか言えない。




「へへえ。……でも私のこと好きになっちゃ駄目ですよっ? 私と大吉さんは神と氏子の関係なんですからっ」




「し、知るかっ!」




 俺たちはそんな言葉を交わしながら競技を進める。

 すると今まで距離が開いていたトップにいる三年生チーム、そして二位の二年生チームがかなり近づいているのがわかる。

 間違いなく俺たち二人のペースが今はいちばん速い。




 だが行程はすでに半分以上過ぎていて残りは十メートルと少しくらいになってしまっていた。




「仕方ないですっ。神力、使いますっ!!」




 恵ちゃんは高らかにそう宣言した。





実は恵ちゃんは大吉さんの好みだったのです。(`・ω・´)∩



 


よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。



私の別作品


「生忌物倶楽部」連載中


「夢見るように夢見たい」連載中



「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み


「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み


「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み


「墓場でdabada」完結済み 


「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み


「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み


「空から来たりて杖を振る」完結済み


「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み


「こころのこりエンドレス」完結済み


「沈黙のシスターとその戒律」完結済み



 も、よろしくお願いいたします。


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