10話 若杉先生です。
【毎日昼の12時と夕方の18時に更新します】
この物語は毎話毎話が短いです。
それは4コマ漫画のようなテンポの良さ、余韻を全面に打ち出しているからです。
……決して、私の手抜きではありません。
……きっと。(´・ω・`)ショボーン。
「どうして、
ここにいるんだよっ?」
俺は仰天たまげた声で、
恵ちゃんに尋ねていた。
「それは私が神様だからです。
ちゃんといろんな意味の都合はつけてあるので、
問題はないですよっ」
「そんなことはわかってる!
例の神力とか言う能力でだろう?
それはわかる。
だがな、俺が訊きたいのは、そんなことじゃない!」
俺は叫び続けたので、声がぜいぜいしていた。
そして気がつくと俺のクラス、つまり一年二組だけじゃなくて、
一組や三組の両隣の連中まで廊下に顔を出して、こっちを見ていやがるのがわかった。
「……ま、
ちょっと冷静になろうか」
「冷静じゃないのは、
大吉さんだけじゃないですかっ?」
「ああ、わかったっ。
確かに俺だけが混乱しているよっ」
俺は恵ちゃんを廊下の奥、
つまり階段の方へと引っ張った。
ここならとりあえず誰の目にも触れないからだ。
そして恵ちゃんの肩を叩き真っ直ぐに立たせた。
「あのな、俺が訊きたいのは、
なぜ学校にまで、お前が来る必要があったかなんだ。
確かに恵ちゃんは俺を幸せにしてくれると約束をしてくれた。
それはわかる。
だがな、学校まで押しかける必要があったのか?」
「ああ、
そう言う意味の質問だったんですね?」
ようやく恵ちゃんは、
納得してくれたようだった。
「私は同じクラスに入ったのは、もちろん大吉さんのためですよっ。
大吉さんが一刻も早く幸せになるためには、なるべく側にいた方がいいですからね。
なんたってチャンスが増えます」
「なんのチャンスだ?」
「……それは、
まだ内緒です」
「なんのことかわからんが……。
ま、もう過ぎた話だ。クラスに戻ろう」
俺は納得はいかなかったが、
いつまでもここで立ち話をしている訳にもいかないので、
教室へと戻ることにした。
そして担任がやって来た。
担任の先生は若杉桜と言う新任の女性の先生で、
俺たちと年も近いせいかお姉さんと言った感じだ。
そして、美人だった。
長い髪を後ろでまとめていて、スーツ姿がまぶしい。
そして俺は正直言うとちょっと見とれてしまった。
こんなお姉さんがいたらいいな、なんて考えていたのだ。
「若杉桜です。
みなさん、これから宜しくお願いします」
まるで生徒のような挨拶だった。
クラス中が拍手に包まれた。みんな先生を受け入れた様子だった。
「では、
まず入学初日に必ず行う儀式があります。なにかわかりますか?」
若杉先生が俺たちに質問した。
みな首を傾げたが俺には答えがわかっていた。
「そうです。
自己紹介です」
すると、一同、おおっ、っと声が上がる。
そして緊張した雰囲気が広まった。
「まずは私から始めます。
そうした方がみんな緊張しなくなりますよね」
そう言って若杉先生は自己紹介を始めた。
「私は生まれも育ちも東京です。
そして小学校から大学まで、ずっと東京でした。
そしてすべて女子校出身なので彼氏はいません。ですから絶賛募集中です」
半分はジョークだろうが、
男子生徒たちは大いに盛り上がった。
そして先生は小さいときから犬好きで、
今も一人暮らしの部屋にポメラニアンがいることや、
本当は英語の教師になりたかったのだが、
英語がどうにも克服できず、国語の教師になった話などを紹介したのであった。
「では出席番号一番の人から順に自己紹介してください。
時間はだいたい二、三分くらいです」
そして新井慎一なる孤独そうな男子が立ち上がり、
ぼそぼそと平凡な自己紹介をした。
そして次、次と進んでいくのであった。
よろしければなのですが、評価などしてくださると嬉しいです。
私の別作品
「生忌物倶楽部」連載中
「四季の四姉妹、そしてぼくの関わり方。」完結済み
「固茹卵は南洋でもマヨネーズによく似合う」完結済み
「甚だ不本意ながら女人と暮らすことに相成りました」完結済み
「墓場でdabada」完結済み
「甚だ遺憾ながら、ぼくたちは彼の地へ飛ばされることに相成りました」完結済み
「使命ある異形たちには深い森が相応しい」完結済み
「空から来たりて杖を振る」完結済み
「その身にまとうは鬼子姫神」完結済み
「こころのこりエンドレス」完結済み
「沈黙のシスターとその戒律」完結済み
も、よろしくお願いいたします。