おうかがいします凛子さま!
2022年12月1日。そう書かれたカレンダーを見た凛子は首をひねる。
二四六九士。間違いない、前日は11月30日のはず。
しかしこのカレンダーには、2022年11月23日と、大きく大きく、それはそれは大きくドドーンと表記されていた。
「なにこのカレンダー」
凛子がボヤいた瞬間、ぽんっ。
ゲームの効果音みたく可愛らしい音とともに、後ろからよく知る声がかけられる。
「ここは『碧カノ小説メタワールド』だよ凛ちゃん」
「ごめん、なんて?」
振り返ったそこにいたのは、凛子の大親友。未来ちーこと相沢未来。
何やら『メタ発言でほくろを救おう』と書かれた襷をつけていた。
「『碧眼の彼女』作者のさんれんぼくろ氏、もといほくろがね。次の話が出来上がったからストックの最新話を投稿したのに、その後で『やっぱりもう少しこうしたい』が発生して悩みすぎてここ一週間最新話を投稿できなくてああどうしようってなって頭を整理するために私にメタ発言をさせようとかいうわけのわからない思考に陥ったらしく」
「待って未来ちー、もうちょっとわかりやすく説明を……ていうかメタ発言って」
「最後に最新話を投稿したのが11月23日で、その後アイデアの暴走が起きて書けなくなって今日になっちゃったんだって」
困ったねぇと言いたげに未来は手を広げてみせた。
事態を読み込めない凛子は未来へ聞く。
「最新話ってなに?」
「私たちの世界だって」
「余計にわかんないわ」
「それでね」
「待って、ほんとに待って!?」
理解できないまま未来の話は続いていく。要するに、彼女はこう言いたいらしい。
『作者ほくろの思考を整理するために、ヒロイン未来と一緒に執筆アイデアを探しに行こう』と。
ヒロインってなんのこと? と思いつつ、なぜか話が通じない未来に問い返そうという気はもう起きなかった。
「そんなわけで、頼れる凛ちゃんに話を聞きたいと思います。碧カノ本編ではどんな大怪我も一瞬で治してしまう『完治薬』を作っている、最強薬師の凛ちゃん。もしやもしや、アイデアが降ってきて綺麗にカッコよーく纏まるお薬なんて販売していませんか?」
「薬師の意味が違うのよ……まあでも、そういう精神系の薬はアタシは作ってないかな。長谷川薬店で作ってるのは、あくまでも外傷に使える薬だけ。完治薬もそうだし、克復茶や克復軟膏とかも怪我のみ治す薬だからさ」
「なるほど、残念。じゃあ次に行ってみよー」
「傷つくわ……」
残念ってなんだ。次ってなんだ。
いつもの話し方と全然違うけど本当にあなたはどうしたんだ。
諸々の言いたいことを喉の奥に押し込んだ凛子は、機嫌良さげな未来の後ろをついて歩くのだった。
【第1.1回 豆知識の彼女】
普段メタ発言はしていません。
本編はカッコイイ&かわいいを合わせ持つ未来さん。今回限りの可愛い彼女をお楽しみください。
お読みいただきありがとうございました。
《次回 おうかがいします斎くん!》
斎のもとへ向かいましょう。さあさあさあ!




