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いのちの詩(仮題)

内向的思考

作者: 浮き雲

絶対の正義はないと思うけど、人の社会に消ゆることなし


永遠の愛はないとは思うけど、いつも誰かが求め続ける





「正義」に絶対の正義がないように、「愛」にも永遠の愛など存在しない


叶えば「夢」ではなくなるように、昨日の「希望」は、とどまらず更新される




社会が、新たな価値感を値踏みするたびに


「正義」の天秤は、新たな錘でバランスを取り直す


「奴隷」が人に、「女性」が社会的存在になったように


「国」が「国」を侵略する大義名分を必要とするように


正義は、常に揺れながら、その姿を変えていく


「生命」を飼育した「人間」は、自己を飼育する者を許すのか


「生命」を搾取した「人間」は、理不尽な死を受け入れるのか


生きるための「理論」は、死を受け入れるための「理論」になり得るのか




誰かの「愛」が散っても


誰かの内に、素知らぬ顔で「愛」は生まれてくる


生まれきた「愛」を育てながら、人は、報われる「愛」を探し続ける


叶わぬ「愛」に絶望することなく、縋り続ける


やがて、叶わぬ「愛」に疲れ果て、叶う「愛」が安売りされる


「愛」は生まれ、死に絶えて復活する


有限の「生命」の中を「愛」は輪廻する


飽くことなく「愛」を求める


まるで求め続けることが、人であることの「証明」のように




「夢」の向こうに、さらなる「夢」をみる人は


けして「夢」をみることを忘れない


叶えた「夢」は、「日常」にストックする「思い出」で


叶わぬ「夢」だけが、新たな「夢」として更新される


「夢」を捨てた人は、埋もれた「夢」を掘り出そうとはしない


拾える「夢」に満足しない


「夢」を捨てた人は、叶わぬ「夢」を夢みる人なのだ




若き「希望」は、自身の大きさを誇り


年老いた「希望」は消え残ることを誇る


昨日の「希望」は、今日の「願い」となり、明日の「絶望」となる


拾い上げられる新たな「希望」は、顧みなかったものだから


「希望」は「絶望」するたびに小さくなる


身の丈の貝殻は、手に入れた「希望」の回数だけ小さくなる


「希望」は進化しない、退化するのだ


「希望」は生きる力であり、「死」を宣告する恋人だ


「希望」を奪われた者は「絶望」を伴侶として、生きることを苦しむ




「絶対の正義」なんてなくても、人は「正義」を求める


だから「正義」は消えることはない



「永遠の愛」なんてなくても、人は誰かを愛さずにはいられない


だから「愛」は消えることはない



人は叶う「夢」を捨て去り、叶わない「夢」を願う


そして、叶わない「夢」を見限り、新たな「夢」を探し始める



人は「希望」に「絶望」し、「絶望」の中、「希望」へと縋り付く


そして「希望」をなくし、「絶望」する


たぶん「希望」は「絶望」の前提条件で


「絶望」は「希望」のベッド(なえどこ)なのだ




絶対なんてないのに


永遠なんてないのに


人は、絶対に「永遠」を求め続ける


人は、永遠に「絶対」を求め続ける


それは、もしかすると


人が人として生まれ、人として生きることへの罰なのかもしれない




正義というものは、社会が変化する限り、絶対の正義とはなりません。でも、社会が変化する限り必要とされ消えることもありません。概念としては絶対ではありませんが、存在としては絶対です。

当たり前と言えば、当たり前で、つまらないことですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 『有限の「生命」の中を「愛」は輪廻する』の部分が好きです。タイトルの通り、哲学的なことを考えるのが好きな人の思考を覗いている気分になりました。
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