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G・R・L! S.ヒノワ

 アルミラちゃんは、まずはタクトさんに貰った本をパラパラとめくっていく。


「……なるほど、火星圏のマステマが運用する無人兵器の情報、敵の行動パターン、そしてゲブラーのEDA『カマエル』の性能表。くやしいですがガチで有用なデータを渡されましたねぇ。こいつを元にスパイダーユニットの装備を少し調整するとしましょう」


《どんな装備にするんです?》


《火星圏の敵が相手なら大型武装はいらんのでは?》


「そうですねぇ。設定上、火星圏の人類が主力としているEDAはTW系。対する火星のマステマも小型が多く――」


《あのー、質問なんですけど、TW系ってなんですか?》


《各惑星はそれぞれ文化や環境が違うんスよ。だから惑星ごとに主力として使われているEDAにも違いがあるんス》


《火星圏で使われているのは小型の作業用機体を戦闘用に改良したって設定の『タクティカルワーカー』系EDA。TW系とも呼ばれるッス》


《サイズは5メートル級の機種がほとんど、小型EDAに分類されるッスね》


《小さいので小回りが利いて操縦しやすい、狭いところにも侵入可能、隠密性も高い。そして何よりパーツが安くコストパフォーマンスが最高!》


《引き換えに全体的な性能は中型や大型のEDAと比べれば控えめッスけどね。生産性重視の量産機オブ量産機ッス》


《TW乗りはそんな安物に命を預ける自分たちを『サイテー野郎』と自称しているとかいないとか》


「さんきゅー有識者。ちなみに私たちの『鴉』は地球で使われる10メートル級の中型EDA『ウォークファイター』系の魔改造機です。豆知識~。……さて、そういうわけでTW系のサイズにあわせ、火星圏のマステマも小型ですばしっこい敵が多い。ここで問題、それほど小型な敵を相手に山をも貫く大型レールキャノンは適切か?」


《いらんでしょ》


《オーバーキルッスねぇ》


「そう、小型相手にこの手の単発高火力武器はちょっと大袈裟すぎる。なので背中のレールキャノンは取り外しまして、代わりにこいつを着けてやるのですよ。ひひひ」


 そう言ってアルミラちゃんが白衣の下から取り出した武装パーツ。それは6つの銃身が円に並んだ、いわゆる、


《ガトリングガン?》


「半分正解。ぐるぐる回転する銃身から高速で弾丸を連射するガトリング系武器です」


《だいぶでかいパーツだなぁ。通常のEDAじゃ装備できん。ということはTAUユニット用のパーツだろ?》


《キャノン砲みたいなガトリングでガトリングキャノン、とか?》


「ガトリングキャノン? 惜しいですねぇ。正解は――ガトリング・ロケットランチャー! 略してG・R・L!」


《ガトリングロケットランチャー!?》


《G・R・Lだと!?》


《……って、どゆこと?》


「着弾点で大爆発する弾を高速連射する銃火器ってことです。毎秒5発のロケット弾を前方にばらまくわけですからね、こいつを装備したアトラクナクアは一瞬で目の前を焦土に変えますよぉ! ひひひひひ!」


《TAUユニットならデカイ武装を積めるからってまたとんでもないもん作ってきてる……》


《連射できるロケランとかこわいよー》


《1発でも至近距離に着弾したら致命傷って武器種なのに!》


《連射が効かないから高威力が許される武器なのに!》


「この子を使って押し寄せる大軍を一瞬で殲滅してみせましょう! それとミサイルランチャーに装填する弾を威力重視から誘導性重視、小型な敵にも当てやすいものに変更しまして――――」


 楽しそうに語りながら、アルミラちゃんはスパイダーユニットの装備をどんどん組み替えていく。本当に、楽しそうに。


 そのちょっと意地悪で子供っぽい笑顔は、見ているだけでこちらも嬉しくなるほど。彼女が私よりも人を惹きつけた理由、それがまたひとつ理解できてきた。


 楽しそうにLDOを遊ぶアルミラちゃんの姿は、惚れ惚れするほど魅力的なのである。

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