彼女が勝ちたい眼鏡っ娘 S.宇佐神深月
「やっぱ我が部屋がいちばん落ち着きますねぇ」
さて、歯でも磨いて寝るとしますか。ベッドから起き上がり、うんと体を伸ばしてから部屋の外へ。
と、
「……あっ」
「……」
ちょうど隣の部屋から出てきた眼鏡の女と鉢合わせ。
眼鏡で美人で背が高い、眼鏡で成績優秀で文武両道、オマケに眼鏡で眼鏡な眼鏡の女。
その名は宇佐神歌月。
この私、アルミラこと宇佐神深月のお姉ちゃんであり――LDO世界では『ミカ』というプレイヤーネームで名を馳せるスゴウデライブドライバー。
ようは、さっきヒノワを落とした相手と私は姉妹ってことです。
ただし、私と歌月は仲良くありません。廊下で顔を突き合わせたら、こっちはじろっと相手を睨み、あちらはじーっとこっちを見下す、そんな姉妹。
いつまでもにらみ合うつもりはありません、私は先手で言葉をぶつけます。
「こんばんわ姉さん、あいも変わらず不機嫌そうなツラですねぇ」
「そんなことはありません。至って普通です」
「ちっ、そーですかそーですか。そりゃなによりで。……今日、仮想世界で超巨大なEDAと戦ったでしょう?」
「ええ」
「あれ、私が作ったんですよ。そしてパートナーに乗ってもらっている。ひひひ、いずれ姉さんを落としてみせますから」
「やはり、彼女が呟いた『アルミラ』とはあなたのことでしたか。構いません、是非ともそうしてください」
表情なく、余裕綽々で言いやがる。
どうせ私には……私に負けたりなんかしないと思っているんでしょうに!
ギリリと歯ぎしりした後、私は歌月に背を向けます。
「余裕ぶってられるのもいまのうちですからね!」
木の廊下をギシギシ歩いて洗面所へ。
と、歌月もとことこついてくる。
「……ついてこないでくださいよ。こっちは歯ぁ磨かなきゃならねーんですから」
「私も歯を磨きたいので」
洗面所ふたつ作って欲しいなぁ我が家!
ともかく不機嫌ヅラで歯を磨いて、お風呂は明日の朝に入ることにして!
「ぜってー倒しますからね! ふん!」
自分の部屋に戻ろうとしている歌月に吐き捨ててから、バンっと扉を締めて自室のベッドへ。
夏用の掛け布団の中に潜り込み、とあるロボットアニメのマスコットキャラクターを模したぬいぐるみを抱いて――おやすみなさい!
「勝つんですから。私とヒノワで……」
~今日のEDA~
●AS01TAU
HP:7800 EN:300
装甲値:1500 運動性:50 移動力:4
特殊能力:EMOリアクター(特大) サブEMOリアクター(特大)
空:A 陸:不可 海:不可 宇:不可 機体サイズ:LL
操縦者:日輪
●武装
・ミサイル一斉射
攻撃力5000 射程1~5 弾数4
・ODキャノン
攻撃力6000 射程3~8(MAP兵器) EN消費200
開発者コメント
「これぞ大艦巨砲主義! 超天才的な私の技術とヒノワの好みより生み出されし超大型EDA! TAUユニットに満載されたミサイルとODキャノンで滅びぬ敵はなしですよぉ! ちなみに内装パーツに関してはまず冷却装置にイズミ重工製の大雪山弐型を採用しバッテリーもこれまたイズミ――――(めっちゃ長くなったので省略)――あ、それとよければブクマと評価お願いしますね。ひひひ」
操縦者コメント
「これが私の望んだもの、普通の人でも怪物になれる機体。……負けちゃったけど。ごめんね、アルミラちゃん」