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対戦した結果 S.アルミラ

 街の中、再び光が輝きます。それはフィギュアモードのEDAが、本来の巨体『ライブモード』へ戻る際に発せられるエフェクト――なのですが。


《……なんか、エフェクトが長くね?》


《というか、エフェクトがデカくね?》


《すげぇ巨大な何かが光の中に見えるんですけど》


 一般的なEDAが巨大化する時よりも、遥かに長く大規模な閃光。ようやくそれが消えたかと思えば、都市の一部を押し潰しながら、私の最新作がその姿を現します。


 それは、一言で言うならば、


《戦艦?》


 そう、戦艦。


 EDAを上に乗せて運べるほどに巨大な、機械の船と見える物体です。とにかくデカイ。


 突如として出現した戦艦に、視聴者たちは困惑気味。


《AS01はどこだ?》


《なんで戦艦が?》


《……いやちょっと待て、あの戦艦の艦橋っぽい部分を見ろ!》


 おっと、誰かが気がついた。


 そう、AS01は確かに『そこ』にいます。


 戦艦の艦橋部分に組み込まれる形で、戦場に存在しているのです。まるで戦艦と融合しているかのよう。


 LDOの常識からすると規格外に巨大。人型を大きく外れた奇怪なる機械。それを目の当たりにした者たちの反応は、実に予想通りでした。


《でか……でかすぎないか!?》


《でかすぎて固定資産税かかりそうだな!?》


《なんだ……なにあれ!? デンドロ!? Gなファルコン!?》


 驚きのコメントが心地よい。苦労して作った甲斐があったというもの。


 私はここぞとばかりにテンションあげて、皆にその正体を伝えます。


「あれこそ我が最新作AS01が、専用の超巨大武装『タイタニック・アーセナル・ユナイト・ユニット』、略して『TAUタウユニット』を装備した姿! 名付けてAS01TAU! 武装含めて全長40メートルオーバーの超大型EDAです!」


《超大型EDA……!》


《すげぇな、なんか、色々と!》


《あんなん見たことねぇ!》


《……いやちょっと待て博士! LDOでは20メートル以上のEDAは作れないはずだ!》


《全長40メートルの超大型EDAなど存在し得ない! するとしたらそれはチートか何かだぞ!》


《不正行為だとすれば俺たちは博士を運営に通報しなければならない!》


 ひひひ、それもまた予想通りの反応。種明かしの台本は出来ています。


「ところがどっこい、あの機体は全てLDOの仕様の範囲内で作られたEDAなのですよ」


《マジで!?》


「まじまじ。ご指摘の通り、EDAのサイズは5メートル以上20メートル以下という制限があります。ここから外れた機体は不正ってぇことになりますねぇ。……しかーし! この制限には武装のサイズは含まれていないのです!」


《武装のサイズは含まれない……?》


「例えばですよ、あちこちのLDO配信をよく見る方々。20メートル級のEDAが、機体本体よりもでっかい大剣なんかを装備しているのを見たことはありませんか?」


《言われてみれば……見たことあるな! 20メートル以上ある、超でっかい剣や銃を装備しているやつ!》


《いるいる!》


「それこそAS01TAUに不正がないことの証明! LDOにおいて、機体のサイズ制限と武装のサイズ制限は別物なのですよ!」


《そうなの!?》


《知らんかった》


《ゲーム内ヘルプや攻略Wikiにも書いてないな》


「私の検証でも武装サイズの限界はいまだ不明ですが、まあ武装は20メートル以上にデカくできるってことです。そこで思いつきました、大量の火器に移動用の推進器、稼働のための大量のバッテリーと冷却装置、そのほか諸々まで積み込んだ戦艦の如き『武装』を装備することで、20メートルを越える超大型EDAは実現するのではないか! ……結果はご覧のとおりです」


 ま、アレを作ることになったきっかけはヒノワの好きなロボを聞いたからなんですけどね。


《すげぇな色々と》


《マジででかい。驚くぜ》


《アレ動けるの? ……うわ浮いた!?》


 対戦画面に視線を戻しましょう。


 映し出されているのは、AS01TAUが全身の推進機を起動させ上空へと浮かび上がっていく場面。


 巨体によって日光が遮られ、眼下の都市に影が落ちます。その闇の中で、ストレージは上空を見上げたまま固まっていました。


『わ、私のデータにない機体だと!?』


 そりゃ初陣ですからねぇAS01TAU。


『解析結果……全長40メートル以上!? どうなっている!? フルカスタムEDAにしてもそんな機体は作れないはず……そんな特異な機体を持つパイロットの情報ならデータベースに……やはりない!?』


 そりゃまだまだ無名ですからねヒノワも私も。


『で、データがなければ的確な対応が導き出せん! クッ、ここは汎用戦闘パターンでいくしかない!』


『よくわからないけどがんばって!』


『ああ! がんばるとも!』


 なに敵を応援してんですかあの子。


《ヒノワちゃんまあまあ天然だよな》


《せやな》


《かわいい》


 ともかく、頭上の威容を前に戦意喪失しないとはさすがランカー。いい度胸です。


 ストレージが手に携えたロケットランチャーを頭上に向けて連射。周囲のセントリーガンもバンバンと射撃を開始します。


 しかしそれは所詮対EDA用の装備。AS01TAUはサイズの通りに重装甲で堅牢、その程度で致命傷は喰らいません。


「まさしく豆鉄砲ですねぇ! ネオヒヒイロカネ合金の二重装甲に通じるもんですか! さあさあ防御力の次は攻撃力を見せつけてやりなさいヒノワ!」


 攻撃を弾き返した後、AS01TAUが全身のミサイルポッドを解放しました。狙うは眼下のストレージとその周辺すべて。


 一斉射!


 100を超えるミサイルが撃ち出され、眼下の廃墟を爆撃! 無数の爆発がビルも道路も次々と砕き、都市を崩壊させていきます。


 その辺に撒かれていた浮遊機雷? セントリーガン? 爆発の余波で全滅ですとも。


 巨体ゆえの武装搭載数が可能とした圧倒的な攻撃力。その中をストレージはよく逃げ回りましたが、やがては爆発に巻き込まれ、


「こ、こんなの私のデータにないぞ――――っ!?」


 粉微塵。


 勝者はAS01TAU。


 観戦画面に最後に映っていたのは、都市を焼く炎に照らされながら、黒煙の中を悠々と前進していく規格外の巨体です。まさしくこの世の終わりみたいな光景。


 私は視聴者たちに笑顔で問います。


「ひひひ、どうです、驚いた?」


《そりゃあもう》


《えげつねぇぜ!》


《さすが博士や》


 返答に、私はうんうん頷いて、大満足と笑うのです。

~今日のEDA~

●ストレージ

HP:3800 EN:150

装甲値:800 運動性:100 移動力:5

特殊能力:EMOリアクター(小) ローラーダッシュ

空:不可 陸:A 海:不可 宇:D 機体サイズ:M

操縦者:タクト


●武装

・セントリーガン【ミニオンMk2】

 攻撃力2800 射程2~5 弾数8


・ビームソード【BS-88】

 攻撃力3000 射程1 EN消費10


・ロケットランチャー【ファイヤワークス】

 攻撃力3000 射程1~6 弾数5


・浮遊機雷【UNI-7】

 攻撃力3200 射程1~4 弾数12


・トラップ包囲戦術

 攻撃力4000 射程1~3 EN消費30


操縦者コメント

「トラップを活用し有利に戦う、そういう高度に戦略的な運用を前提としたEDAだよ。ミッションによってはトラップやロケットランチャーを別の装備に換装こともある。なんにしろ十分な戦果を引き出すにはデータが必須だ、さあキミもデータを集めて無敵になろう! あ、それとよければブックマークや評価をくれると嬉しい。データのためにも頼むよ」

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