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旧い友人

作者: になり

 たとえばゆったりとコーヒーを楽しんでいるような穏やかな夕方でさえ、彼はにょきっと顔を出すことがある。僕は彼の懐かしい顔をよく見て、こっちへこいと招き寄せる。卑屈な笑みを浮かべた彼は、僕が引いたイスに縮こまって座る。彼はうつむき加減に話を始める。僕はその傷だらけの身体に直面して、黙って彼の話を聞く。

 話が一段落すると、彼はようやく顔を上げる。それで、窓の外のありふれた美しい夕日を目にして、顔を歪める。窓には僕らの姿もうつっていた。

「なあ。」と僕はつぶやく。「僕は、お前のこと、好きだぜ。」

 再びうつむいた彼の顔はよく見えなかったが、彼が僕の言葉を噛み締めていることはわかっていた。僕は黙って珈琲杯をすすった。舌に伝わる苦味と酸味に、なぜだかこの上ない愛情を覚えて、僕はゆっくりと目を閉じた。再び目を開いたときには、その部屋で、僕はひとりだけになっていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 卑屈な笑みで、うつむいて、傷だらけの「彼」は「僕」自身でしょうか。 私も彼の話を聞いたあと、お前のことが好きだと言える自分でありたいものです。 [一言] お帰りなさい!
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