表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【打ち切り】Byte(バイト)!!!!!!!!   作者: ゆぴた
第二章   わが庵は 都のたつみ しかぞ住む 世をうぢ山と 人はいふなり   
17/19

016話:病院長は空白を埋める その1

何者かに襲われて、俺は病院に運び込まれていた。しかし、その病院は日本のモノではなく、アメリカにあるニューヨーク中央病院だった!!


そこで出会った院長のドライク。

彼は俺に話すことがたくさんある、と言っていたが……


さぁさぁ16話始まり始まり~!!

「じゃあまず秋野君がここに運び込まれたときについてから話すとするか……

じゃあそこに座ってよ」


受け取ったスマホをポケットに入れて椅子に座る。

机の上は書類の山がどん!どん!どん!と豪快に置かれていた。


「そんなかしこまらなくていいよ~ 俺はただ夜渡橋から聞いたことをそのまま話すだけだから」


「はい」

少し背もたれに体重をかける。


「さて 今日は4月9日だ。君が運び込まれてから一日しか経っていないんだ」


俺的には結構長い間眠っていた気がするから11日ぐらいだと思っていたが……

気のせいだったか。


「秋野君は自宅前で誰かに襲われて意識不明かつ重体だったんだよ

第一発見者は夜渡橋だった。彼は秋野君の家から111番通報があったのを聞いて、現場に向かい、応急処置をした」


「夜渡橋さんが!」


「そしてあいつは君を一秒でも早く治療するためにここに超高速ジェットで送り込んだんだ」

「え? どういうことですか?」


「ん!? 俺、変なことと言ったけ?」


「だって日本にも病院がありますよ? だったらそこに送ればいいじゃないですか!」


「ふむ……  情報庁と医療庁って知ってる?」


「情報庁なら存在は知っています」


「究極の情報化のなか

ぐいぐい力を伸ばした情報修復機関は“情報庁”を、

衰えた世界中の医療関係組織は団結して医療庁を作ったんだ」


「? 情報庁は分かります。 でもなんで医療庁を作ったんですか?」


「彼らが庁を作ったのは表向きには“万が一に備えて”としているな」


「万が一……」


「情報庁の核、メインコンピュータがエラーを起こす可能性は0じゃないからね。

そんなとき、病院が無かったらえらいことになるだろ?」


「ああ、なるほど!」


「でも内面はちがう。

医療庁は情報庁に対抗するために作られたんだ」


「自分たちを追いやった情報庁を敵視しているんですね……」


「うん。2%まで削られたんだ 怒りの矛先は情報庁に向けられてる

まあ、情報庁も敵視されてることに気づいているんだけどな」


「……ドライクさんはどっちですか?」


「ん?」


「医療庁側の人間なのか 情報庁側の人間なのか……」


「ははは!

そうだね 情報庁のトップと親しいのに身に着けているのは白衣だもんな

そりゃ混乱するわ!」


「どっちなんですか?」


「どっちでもないよ。俺の病院はヒトはヒトの手で治療するし、この病院は医療庁から独立してる 

自分で言うのもなんだけど、うちは世界屈指レベルの病院でさ。

医療庁に入ってほしい、って話があったけど断ったよ」


「そうなんですか……」



「さて! 寄り道しまくったけど本題に入ろう!

もう察しはついていると思うけど、君がここにいるのはその2庁の対立が原因なんだ」


「え!? じゃあ、まさか……」


「そう。アイツは日本中の病院にこの子の手術をしてくれ、と頭を下げた。

だが、門前払いだったそうだ 情報庁の人間だ、というだけでね……」


「酷い話ですね……」


「だからアイツは世界でたった一つの独立病院である、ここに君を送ったんだ」


「なるほど!そういう事だったんですか!」


「んで、俺は血まみれ重体の君を手術したんだ ああ、大丈夫!手術はうまくいったから」


「本当に、いろいろありがとうございます」


「いいよ、いいよ。俺は手術しただけだし」


「ところで……」


「ん? また腑に落ちないところでもあった?」


「はい そもそもヒトをIブレスレットで治療する時代なのに、僕はなぜ手術によって治されたのでしょう?」


「…………」


「え? だってそうですよね? しかもこうしてブレスレットも着けているのに……」


「ああ、うん…… そうだね」


ドライクさんの雰囲気が少し変わった気がした。

さっきまでの軽かった口調が、今の質問を境に明らかに重くなった。


そして目をつむったまま、続ける。


「わかった 話すよ いつか伝えなきゃって思ってたし」


「お願いします」


「その前にちょっと席外すよ」


「何かあったんですか? 急患とかですか?」


「いや、喉渇いちゃったからコーヒー飲もうかなーって

秋野君も飲む?」


「ありがとうございます、頂きます!」


「ブラックでOK?」


「イ、イェス!」

************************

部屋がコーヒーのお洒落なにおいでふんわりと満たされていく。


ピ―――!


コーヒーができたらしくドライクさんからマグを受け取る。


熱っ! 


彼はコーヒーに口を付け、マグを机にゆっくり置いた。


「それじゃあ……

右腕をこちらに出してくれ」


「? わかりました」

すると彼は俺の入院着の袖をくるくると巻き上げた。

隠れていた腕をあらわになる。


「じっとしててな」

両手の指を、袖と皮膚の間に入れ込んでそこでモゾモゾと手を動かす。


「えーっと……何やっているんですか? ドライクさん?」

急に不安になってきた。

「よいしょっと!!」


ピピピピ… ガシャン!(電子音兼金属音)


袖からすぅぅぅぅ……と指が出てきた。



ただし、俺の右腕とともに、だ!!!!!!!



生々しい右腕はゴトリ、と鈍い音を立てて机に置かれる。


「え?ええぇ!?」


「落ち着くんだ……」


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁァアアアアアっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」


「落ち着け秋野白露君っ!! 大丈夫だからっ!」

両手で肩をつかまれた。


「深呼吸するんだ」


************************

「落ち着いた?」


「さっきよりはまぁ、はい」


「説明を始めるよ」


「ドライクさん

……僕の腕……ち、ちぎったんですか!?」


「違うよ、それは義手だ」


「義手…………

なら、僕の右腕は?どこに行ったんです!?」


「すまないがそれは分からない

今、夜渡橋が情報庁をあげて血眼で探しまわっているよ」


「うぅ……」


「ここに来た君は既に右の腕が無かったんだ


うん……ちょっとまだ動揺しているみたいだな 屋上に出て空気を吸おう ついてきて」


ドライクさんに義手を装着してもらい、二人で院長室を出た。


階段を上り重そうな扉に彼は鍵を差し込んで開ける。

ギギギギギギ……


************************


続く

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ