Stage2『迷い子をあやす泉の揺蕩い』③
「あちゃー。やっぱり巫女にイタズラするもんじゃないわねー」
何度も弾幕を撃ち込まれたシスターナイアスは、疲れ顔を片手で扇ぐ。
「温まってくれたようでなによりよ。それにしたって、なんで異邦人なんか集めてるのよ?」
「それがね。ある日泉の中から、舟に乗ってあの子たちが来ちゃって」
「はあ!? 泉の中から舟!?」
「最初は泣きっぱなしだったんだけど、そのうち『他にもここに来てるはず。みんなと一緒がいい』って言いだして。それで知り合いの魔法使いに頼んで、同じような子たちを探してもらってたの」
そう話す二人の下に、一隻の舟が近づいてきた。霊夢が見ると舟には数人の異邦人が乗り、警戒しつつも心配そうにシスターナイアスと霊夢を見ていた。異邦人たちはいずれも年端のいかない子どもたちだった。舟は茎か何かで編んだもののようだ。
「これよこれ。出てきた時はびっくりしたわー」
「ちょっと、あんたたちどこから来たのよ? 何者?」
「そんな怖い顔しないでよー。その子たち泣いちゃうじゃない」
確かに霊夢が詰め寄ると、異邦人たちは一様に目を潤わせて震えだした。
「そ、そんなに怖がらなくても……」
うろたえてしまう霊夢をよそに、シスターナイアスは首をかしげる。
「この子たち帰りたがらないのよ。ここに来た理由も話してくれないし」
それから彼女は、思いついたように両手をぱんと合わせる。
「ねえ巫女さん。ちょっとこの舟に乗って、この子たちの故郷に行ってくれない? 何か分かればこの子たちが帰れるようになるかも」
シスターナイアスが手を岸辺の方に向けると、波に揺られて同じ舟がもう一隻やってきた。
「泉の中かあ。息ができるなら綺麗かもしれないわね」
Stage Clear!