Stage2『迷い子をあやす泉の揺蕩い』②
木々の暗がりを抜けた。すると霊夢の視界に見渡す限りの泉が広がる。泉の水面には空高く登った月が映っていた。
先ほどから追う明かりは、ちょうど反対側の岸辺にあった。そしてその周囲には十数人ほどの人影が並び、灯を囲んでいるようだった。
「やっと見つけた!」
霊夢は人影の下へ飛んで行く。しかし突然泉から飛沫が上がり、霊夢の進路を遮った。咄嗟のことに霊夢は思わず空中で止まる。そして飛沫の上がった水面へ目をやると、そこには白い清廉な衣服を着た妖精が佇んでいた。
「こんばんわ博麗の巫女さん。私の家に何かご用ですか?」
彼女は泉に住む妖精、シスターナイアス。霊夢を見上げて柔和な笑みを浮かべていた。一方で霊夢は服が濡れたことに腹を立てている。
「泉の精如きが結構な挨拶じゃない。あんたが私の調査を邪魔する理由は何よ?」
「理由も何も。せっかくのお客様だから、よく冷えた水でおもてなしをしようと思って。主に頭へ」
シスターナイアスは舌のぞかせる。そんな彼女に霊夢はお祓い棒を突きつけた。
「あーそうかい! じゃああんたに手土産渡して、ゆっくり調査の続きと行くわ!」
「今夜はたくさんのお客さんがいるもの。心ゆくまでお話ししたいわ」
静かな妖精と、騒がしい巫女。二人の弾幕が重なり合う。