ルド君の話
ナナカ村で買ってきた薬草で薬を作る。
ナナカ村で私が用立てる薬草は五種類。
この薬草はランバルト国とコルド国の北側の一部にしか自生していない。
ナナカ村では安定供給の為に、自生している薬草の採取だけでなく、薬草畑を作っている。
薬草を購入するのは、2つの国の間を行きかう旅人。
あとは、村長がコルドとメルクの商業ギルド経由で売りに行く。
薬草を育てるのは主に子供達の仕事。
子供達は3年前、子供だけで寄り添ってランバルト国のスラムで生きていた。
彼らの中心にいたのがルド君。
私と彼らの出会いは、教会の炊き出しに並ぶルド君達に、薬草の採取を依頼したのが始まり。
ルド君はいち早く薬草の種類を覚え、薬草を近くの野原に植え変えて薬草畑を作ろうとした。
結局、それらは火事によって失われてしまったのだけど。
住んでいた場所を火事で失ったルド君達を、この村に連れて来たのは村長のマルコムさんだ。
彼らは最初は村の教会に寝泊まりしていた。
2年前に孤児院が出来てようやく人並みの生活を送れるようになった。
ルド君は今年で15歳。
薬草の管理や薬の調合を彼が行っている。
孤児院の子供達の中で、お嫁さんになりたい男性ナンバーワンらしい。
子供達は薬草の採取、薬草畑の管理の他に、
教会に併設された集会所で村の大人達に勉強を習っている。
簡単な読み書き、計算、体の鍛錬等。
しかし、ルド君の興味の範疇、薬草に関する知識や薬の調合については、
昔の古代文字で書かれた資料を見て学ぶのが一般的だ。
私は子供の頃から父母に教えられて資料を見て、学ぶ機会が多かったので身に着いたけど
私が教えるからそれでよいのか、それともルド君に古代文字を勉強してもらい
自分で研究してもらうのが良いのか。
そもそも、ルド君が薬草や薬に対する知識を覚えたのは、生きる事につながるからだ。
時間がかかるし、正確性に欠ける従来の方法を押し付けるのは違うのかな…