お仕事ですが
客の居ない時間を使って薬の在庫を確認する。
風邪が流行ってきている。多めに調合した方が良さそうだ。
誰かが入口をノックしているのに気付いて慌てて開けると・・・
「ローザ、梯子から落ちて怪我をしたんだ。見てくれ」
大工のホークが頭から血を流した若者を抱えて来た。
「そこの寝台の上に寝かせてちょうだい。父も呼ぶわね」
2階にいる父を呼び、怪我人を見る。
家を建てる作業中に梯子から落ちる途中、どこかに頭をぶつけたらしい。
頭からの出血と、足から落ちたらしいけど多分骨は折れてないようだ。
布で傷口をしっかり押さえて移動してきたようで出血は止まっている。感心感心。
出血が止まっているので、洗って薬を塗り、念のため全身に治癒術をかける。
父親が下りてきて体を見た後に、2日間は安静に過ごす事。
1人にならない事。痛みや感覚に代わりが出たらすぐに来るよう話す。
ホークが若者の隣でうんうんと肯いている。
帰る前に念のために注意点のメモを渡しておく。
「お前ひとり暮らしだよな。2日間うちに泊まって寝てろ」
とホークに言われた若者が微妙な顔をした。
有名なラブラブ夫婦の家に2日間お泊り…お気の毒だが仕方ないよね。
自分で歩こうとする若者を背負って、ホークは帰っていった。
片づけて、シーツを洗って干して、庭の薬草畑を手入れして、
薬を何種類か調合したらもう夕方だ。
父に店を任せて商店街の買い物に向かう。
今日は肉と野菜の煮物にしよう。
エリザさんの洋服屋の前を通る。
店の中でホークが幼い男の子を肩車しているのが見えた。
大きなお腹のエリザさんが朗らかに笑っている。
店頭に綺麗な色のカーディガンが目についた。
今度のヴァルターとのデート、いつものワンピースにカーディガンも良いなあ。