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は部屋に戻り、エアコンの暖房をつけベッドに寝転ぶ。手を伸ばし枕元に置いてある読みかけのラノベをとり読み始める。
そして暫く経つと控えめなノックが聞こえた。
「ん? どうした? 入ってこいよ」
いつもなら遠慮なく入ってくる美咲にしては珍しい。
「う、うん……」
ガチャっとドアが開き美咲が中に入ってくる。入ってきた美咲の姿を見て俺は慌ててベッドから飛び起きる!
「へ、変かな……?」
美咲首からタオルを掛け何故か俺がいつも着ているグレーのワイシャツに袖を通していた。長い袖は美咲の手をスッポリと納め、裾は股下ギリギリのラインで見えそうで見えない。
しかしそこが良い! このギリギリのラインこそ男のリビドーを掻き立てる。見えてしまえばそれはただの下着……あくまでも、もう少しで見えそうというところが大事なのだ!
そして風呂上りの火照った身体は体温が上昇し頬を桜色に染め、湿った長い髪からは水滴がたれる。そこには間違いなく男を狼に豹変させてしまうであろう要素がそろっていた……。
ゴクリっ、と思わず生唾をのんでしまったが、落ち着け俺! 美咲は家族みたいなもんだろ! と、自分に言い聞かす。そう考えないと理性がもたない……。
俺だって男だ! そういう事に興味がないわけじゃない! むしろビンビン……もとい興味津々だ!
「お、お前なんて格好してんだよ!」
「脱いだほうが良いかな?」
「いや、そりゃあまだ寒いし、風邪引くかもしれないし……」
「でも、志雄の部屋あったかいし、もう少ししたら着替えるから今はこのままでもいい?」
コイツなに考えてんだ!
どうすんの? どうすんの? どうすんのよー! 詳しくはググレ!
って答え出るか! 一人でボケて一人で突っ込んでしまった……。そして俺の脳内に三つの選択案が浮かんだ!
『①美咲の好きにさせる』 『②美咲を襲う』 『③美咲を押し倒す』って、まてぇやコラっ! 俺はなに考えてんだ! しかも②と③大差ねぇーだろ!
「……まぁ好きにしろ」
幼馴染とはいえ、妹みたいなコイツを襲うなんて馬鹿な選択を俺が選ぶわけない! 断じて俺がヘタレなわけじゃないからな! って俺は一体誰に言い訳してんだか……。
「うん」
美咲は笑顔で俺の隣に座る。
「な、なんだよ?」
「ねぇ、お願いがあるんだけど……」
美咲は上目遣いで俺を見つめてくる。
ヤバイ可愛いじゃなイカ! でも落ち着くでゲソ! テンパって語尾が侵略者みたくなってしまったが、気にしないでほしい……って、だから誰に言ってんだ俺は……。
「お、おう……」
「髪、ブラシかけてもらってもいい?」
「あ、ああ。それくらいなら……」
「ありがとう」
美咲は立ち上がり、部屋の隅にある収納棚の下段からドライヤーやブラシ、それに髪に塗るトリートメントを取るため四つん這いになる。美咲の私物が部屋のあちらこちらにあるのはコイツが俺の部屋に居る率が高いためだ。
「おい、美咲みえ……」
「あれ? おかしいな……ブラシ見当たらない……」
美咲は四つん這いのまま片手で棚の中を漁る。そのせいでワイシャツは今にも捲れそうになっている。俺が目を逸らせば良いだけのことだが、どうにも見えそうで見えないこのギリギリ感はたまらない……。しかしいつまでも見ている訳にはいかないよな……。
「おい美咲!」
「あっ! あった! ん? なあに?」
「そ、その……気をつけないと見えるぞ……」
「え? あっ! 志雄のえっち……」
美咲は裾を下に引っ張る。
「ち、ちげぇよ! 見えそうだったから言っただけで見てないぞ!」
「でも、見えそうなところは見てたんだよね……目を逸らしてくれればいいのに……」
「……」
言い訳思い浮かばねぇ――!
「い、いや、そ、その……すまん目がそらせなくて……」
「……ううん。そ、そうだよね……志雄も男の子だもんね……」
沈黙……。うう……気まずい……俺はこの雰囲気には耐えられそうもない。
「ねぇ志雄……その、見たい……」