三傑は3話に参上する
キャスト
ミカ:まだ幼さの残る少女。混乱中。
ルドラ:カッコつけたい筋肉質の男の子
123:ルドラと共に戦う勇敢な少年達
キチ・トメ:名物夫婦で仲がいい
ディギル:少し訛りのある変態チックな筋肉男
456:若い戦士達
789:避難してきた高齢の住人
デの空気が読めてない雰囲気を存分に
地「ミカは心も体もグチャグチャになりながら広場へと向かった」
《場:広場 住人達がいる》
地「住宅地から少し離れたこの広場は生活に欠かせない木材の倉庫がある。林の入り口に位置しており海岸に近い割に幸い被害も少ない。体力のある多くの若者は敵船から遠くに逃げようと街道に逃げたところを狙い撃ちされ、ここに避難してきた30人程度の住人のほとんどが高齢者とその家族の学生で、数少ない生産人口に属する若者達はそれぞれ戦いのために農具や剣を持ち"防衛"という使命に燃えていた。その中には彼女の同窓生であるルドラの姿もあった」
《ミ走って入る》
ル「マキュローさん!大丈夫?」
地「ルドラは疲弊しきっている彼女が見えるとすぐに駆け寄ってきた。彼女はまださっきの父のことを整理できておらず、学校で見たよりも頼もしくなったルドラの胸に思わず飛び込んでしまった。私が広場にいたなら、ミカちゃんはあんな硬そうな胸ではなく私の愛に満ちた胸に飛び込めていただろうに…誠に遺憾」
ミ「……大、丈夫、じゃな…い」
ル「ハハ…もぉ、困ったなぁ」
地「ルドラは困った顔をしながら胸の中で泣き出した彼女の頭を撫でた」
1「なんだよ色男!」
2「モテてんじゃねーよ!」
地「ソーダソーダ‼︎弱った女の子に頭ポンポンですか。へーへー、ソーですか。モテる男はやっぱり違いマスネー‼︎」
地「戦士達のおかげでこの広場は軽口をとばせるぐらいには落ち着いていた。しかし、その時の彼女にはサリーシュの事を伝える余裕もなく、ただただ泣くことしかできないでいた。そして私もシリアスだった話の流れが変わって嬉しさのあまり泣きだしたい気分である」
キ「マキュローの嬢ちゃん、ここはもう安全だ。泣かんくてもええよ」
ト「ほれ、今日採れたモモだよ。私んとこのモモはめちゃくちゃ美味しいんだから食べて元気になりーよ」
キ「いんや、わしのモモをやろう。」
ト「うっさいね、爺さん!私が先にあげたんだよ!」
キ「いんや、わしのモモの方が甘いんじゃから、わしのモモを食べるに決まっとるわ!」
1「トメさん達またケンカか…」
2「何でマキュローさんにはあげるのに、戦ってる俺達にはくれないのかな」
3「ケンカするくらいなら俺達にモモくれればいいのに…なぁ」
2「まあ、あのバアさん達ケッチケチだから言っても貰えないだろうな」
3「だなー、ケッチケチだもんなー」
123「「「なー」」」
ト・キ「「聞こえてるぞ、ガキ共!!」」
123「「す、すいません!!」」
《楽しそうなBGM》
地「瀕死の街に笑い声が響く。まだこの街は死んでない。」
地「希望に包まれた広場の中でも彼女の顔に笑顔はまだ戻らない。それだけではなく、広場の希望の匂いを嗅ぎつけた獰猛な獣達までもが現れたのだ」
《デと部下達入る BGMoff》
デ「うわぁ、サイアクだぁ。何でまだ生き残りがいんだよ面倒くせぇ。あいつらの面倒みるのも面倒くせぇのに仕事増やしやがってよぉ…ハァー…面倒くせぇ。」
地「もしここが戦場ではなければ、変な奴がやって来ただけの話だが、裸と変わりのないような面積の小さいチョッキとダボダボのズボンを履いた男。いかにも海の男といった日に焼けた肌と筋肉を持つ、私命名"露出男"の言った"生き残り"という言葉をこの広場の中で聞き逃した者はいなかった」
4「あんたは何者だ?」
地「恐いもの知らずで有名な街の男が広場にいる全員の知りたい事を代表して尋ねる。もちろんその手は剣の柄の上にある」
《デにスポット》
デ「俺が何者か…か…。おめぇらが知りてぇんなら教えてやろぉ!」
地「固唾を飲んで返答を待つ広場の民衆に露出男はたっぷりと間をあけて真剣な表情で答えた」
デ「俺はぁ…」
《スポット消す》
デ「…あれ?何者なんだっけなぁ」
一同「「「「はあ?」」」」
地「飲んだ固唾が戻ってきそうなくらい間の抜けた答えに思わず、仲の悪かったトメさん夫婦の息も合う」
デ「ちょっと待て!」
地「少し恥ずかしがりながら部下に何かを頼んだ露出男はその部下が取り出した書簡を読み始めた」
デ「えー、私達はぁ誉れ高きミレーネよりの使者であり、ガンドラ侵攻軍である。、レサリオ閣下からの宣戦布告の命を受けぇ貴国に参上した者であり、あなた方にとっての侵略者である。」
地「カンペを見ながらでもちゃんとしたことを言えて渾身のドヤ顔を披露する露出男の態度とは裏腹にユッルユルだった広場の空気が一気に張り詰めた」
デ「あるれぇ、なんでか皆さん引いてらぁ。おっかしいなぁ」
地「おかしいのは露出男、お前だよ。露出男の手下も含め広場にいる全員が同じことを心の中で囁いた。宣戦布告した後のはずなのだが、私の辞書に緊張感という文字はないと言わんばかりに今度は落ち込み出す露出男。ギャグ要素が増えて私としては嬉しい限りなのだが、こんな奴らが侵攻軍でミレーネは本当に大丈夫なのだろうか」
デ「やっぱりなぁビローの言うことなんざぁ聞くんじゃなかったぁ。なぁにがこれを読みゃあ大丈夫だぁ、恥かいちまったぁ…」
4「…このっ!なめやがって!」
地「戦場で敵に背を向け、しかもしゃがみこんだ露出男に我慢の限界が来た戦士の1人が斬りかかった」
《SE:金属がぶつかる音 一瞬暗転 サス》
地「普段の薪割りで鍛えた全力の一振り、油断しきった男の首を一刀両断することは誰の目にも明らかだが、露出男の手下達の顔には余裕が浮かぶ。そう、その刃は露出男に届いてはいない
露出男がしゃがみこんだまま剣を抜き応戦してきたのである。その体勢キツくないのかなぁと私が心配になるくらいの体勢で戦士の力一杯の剣を受け止めている。力のつり合いの法則をどのように駆使しているのか非常に気になるところである」
《SE:破壊音》
地「体勢を変えることなく乱暴に剣を押し返し戦士の体を吹き飛ばす。勇敢に立ち向かった彼は普通に生きていたら曲がるはずのないところを、力任せに振られた露出男の剣によって細い枯れ枝のように簡単に折り曲げられ、倉庫の壁にもたれかかった姿は最早人間とは思えない」
《デゆっくりと立つ 手下倉庫に火をつける
赤ホリ》
地「その男、超人的な力を持つ露出男もとい『"怪腕"のキャプテン・ディギル』は、これから〈ミレーネの三傑〉と呼ばれるようになる文字通りの怪物である。そして、遠くない未来に出逢うことになるこの三傑との出逢いが"神殺し"ミカエル・マキュローの始まりとなるのだが…まあ、それはまた後々のお話」
デ「宣戦布告の後に剣を抜いたっつうのはよぉ開戦に応じていただけるってことかぃ?」
5「ああ、これが答えだ!!」
地「次々に斬りかかる戦士達、その本領は熟練した連携による多対一の戦闘で発揮される。植物の葦を用いて、人間は"群れる葦"だと譬えられたように1人1人は弱くて頼りないが、団結する事で伝説の龍さえも倒せるとトメさんが言っていた‼︎」
6「いけー!!大将の首を獲れ!!」
地「そして、繰り広げられる剣舞。そう、書き手、地の文である私の腕の見せ所‼︎……なのだが、もうサリーシュ対ミハエル戦で頑張ったしなー。話し合いで平和的かつ省エネに解決してくれないかなー」
5「何人倒れようと貴様の首を獲るまで我々は戦い続ける!!」
戦士一同「「「「うおおおおお!!」」」」
地「もう、火がついちゃってますね………。よし」
【割愛という名の圧倒的仕事放棄】
地「そして、なんやかんやあって何人もの戦士が1人の男の前で散っていった‼︎これ以上は15禁になりそうだから省略しただけだから‼︎べ、別に15歳未満のあんたのために省略したんじゃないんだからね‼︎」
デ「なんでぇ、この街の野郎どもは無駄に熱苦しぃ」
6「そうだ、守るべきものがある限り俺達は燃え続ける!」
《場転:倉庫裏》
地「露出男と戦う戦士達が残り少なくなった頃、ルドラは広場の戦えない人達と共に脱出を試みていた」
ル「マキュローさんこっち!」
ト「私もいるんじゃがのう…。」
ル「マキュローさん俺の後ろに隠れて!」
キ「わしもおるんじゃがのう…。」
ミ「ルドラ君頑張ってね!」
ル「守る人がいる限り死ぬもんか!」
ト・キ「「わしらもいるんじゃがのう!」」
地「勇猛果敢に立ち向かうルドラだったが相手もただの素人ではない一歩進むたびに体には決して浅くない傷が増えていく。右からも左からも斬撃が飛んでくる中、遂に屍を越え行く者が屍になる番になってしまった」
《SE:倒れる男》
ル「マキュローさん、ごめん…」
地「最後の戦士が倒れた。もう後はない、自分も同じようにどうせ死ぬのだと父親のことも写真のことも諦めながら、ミカは人生の最期を覚悟した。露出男の手下達は攻撃することもなく下卑た笑みを浮かべながら、もう手に入れたも同然の商品達を値踏みするように見ていた。さあ、早く斬ればいい…」
地「先頭に立つミカを呼ぶ小さな声が聞こえた」
ト「マキュローちゃんだけでも先に行きな」
7「そうだよ、あたし達より動けるんだから早く逃げて!」
ミ「え?そんなこと…できません。皆さんを置いて行くようなこと…」
9「いや、違うよ、囮だよ、囮」
ト「そうそう、あんたが全速力で注意を引いてる間に私らが逃げるのさ」
7「誰が死んでも文句は言えない状況だからね」
キ「そうじゃそうじゃ、わしらは"あうとろぉ"なんじゃよ」
地「バイクを乗り回すマネをしたり手でモヒカンを表現したり、思い思いのアウトロー(?)を表現する人生の先輩方を見て思わず笑ってしまう。長く生きた分だけ人間は強い」
ミ「じゃあ、"亞鸕翔露ぉ"の皆さん今度会ったらモモをいっぱいご馳走してくださいね。」
一同「「お安い御用じゃ」」
地「先輩方の声援と共に彼女は思いっきり大地を蹴り、さっきまでの悩みを吹き飛ばすように走り出した。
不意を突かれた男達の怒声も捕まえようと伸ばした手も駆け出した彼女には届かない
心地良い風に乗る彼女を邪魔するものはないように思われたが、広場に現れた1人がその前に立ちはだかった」
ミ「どいてー!!」
地「そんなものに構うものかと、また出し抜いてやろうと広場中の視線を集め、軽やかに脱出しようとした彼女の足が突然止まった」
《手当てされたサ入る》
サ「裏切り者‼︎」
地「彼女の瞳には父親を殺した亡霊が映っていた」
スポット:スポットライト、この作品ではフォローピンを指す
サス:バトンに吊るしたライト、取り外し注意
ホリ:背景効果をつける、ホリゾントライト
場転:多くの台本では省略される、場面転換