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何も見えない月夜に  作者: HAg
顔寄せ
2/9

ガンドラの日常と始まりの1話

キャスト

サリーシュ:知性的なのだろうが今回は変な人

マキュロー:清楚系天使。優しさが溢れている

トメ:元気な農家のお婆ちゃん

キチ:トメの夫。人の話をたまに聞いてない

マキュロー(母):快活でサッパリとした性格

デ:男臭い、田舎臭い、なんか臭い

12:船員、男臭い

セ:無邪気

ビ:インテリ美女

3456:生徒

ルドラ:背が高く明るい。憎めない性格。

ミハエル:ダンディーなおじさん。焦燥気味

襲撃前後で雰囲気を変える

サリの気持ち悪さを前面に出す

《場:早朝の民家 明転 サリ出てくる SE:朝》

サ「いってきまーす。」


地「小声で我が家に旅立ちを告げ、彼は扉を静かに閉めた」


《サの移動に合わせて場面移動 BGM on》

地「太陽がまだ山の向こうで準備をしている頃、早起き鶏より早く、慌ただしく家を出て彼女の待つ隣街の丘へと向かう。


 彼の名はサリーシュ。信徒の国ガンドラ南端で生まれた彼は、生まれた時から計算ができた、首がすわる前に聖典の全ての章を理解したなどの噂を持つことになる天才的な頭脳を持ち、剣術の腕も一流の“神童”だ。

 しかし、領主の家に生まれ知恵の神の“生まれ変わり”とも言われた彼も、わざわざ朝早くに起きて普通に行けば10秒もかからない登校を丘の上にあるガールフレンドの家まで走って迎えに行きたくなる多感なお年頃になった。そのガールフレンドとはつい2ヶ月前に仲良くなったばかりではあるが、お互いの距離は近く、いつ告白してもおかしくない関係になっていると彼は信じている」



サ「今日こそ告白するんだ‼︎」



地「丘に向かう彼を一言で形容すれば“絡んでくる系の酔っ払い”、“幼い変質者”、“ただの変態”、“いきなり着ているロングコートを開いて下半身を露出しそう”、“マジきもい”などなど。デレデレした顔に挙動不審、人が少ない時間帯で本当に良かったと思う。いや、いっその事補導されてしまえと思っている」


ト「ほれ爺さん、またサリーシュ」

キ「ホホッ若いのぉ」


地「だが、世界は憎たらしいほどに恋する男の子に優しくできているようで何事もなく丘の上、彼女の住む白い教会に着いてしまった」



《マいる ピンで照らす BGM変更》


マ「サリー君、おはよう。」


地「輝く太陽は彼女のために昇っているのであろうか。彼の体から、この世界から疲れが追い出されていく。そう、そこには教会のガラス細工にも劣らない現世の天使がいた」


サ「マキュローさん…おはよう」



地「(舌打ち)もっとこう気の利いた言葉はないのか。彼女を見ればどんなに貧しい乞食でも どんなに気難しい職人でも 建国王でさえも詩人になり彼女の美しさを言の葉にのせ、彼女のように美しい旋律を奏でるだろうに、この男ときたら、挨拶を挨拶で返すだけとは…そこ代わr今後に期待しましょう」


《サぎこちなく歩きながら下手にはけ、マ

 着いて行く 場転:道 2人上手から入る》




地「そういえばさっき、"今後に期待"とは言ったものの、彼女との登校が始まってからちゃんとした会話がないまますでに40分が経過している。この男は50分もない登校時間を今日もムダにしてしまうつもりのようだ。彼には天使と登校できるという神話を現在進行形で体感している奇跡をムダにするよりも、ウーでもアーでもいいから会話をする努力をしてもらいたいものだ......できないなら、ちょっとそこ代わー」


サ「ウー‼︎」


地「…この野郎|(小声)」


マ「サリー君何か言った?」

サ「ああ、ごめん‼︎いい天気だからさ‼︎」


地「どこの文化圏の方がいい天気だったらウーって言うんですか?言い訳もまとめにできないなんて男として最低レベルですね。サリー、後で体育館裏な」


ミ「確かにそうですね。〈我は神々の住む青い城の、傷一つない見事な塀しか見たことがない〉。」

地「そんな男のセリフを馬鹿にすることもなく微笑む天使。何言ってるのかは、ちょっと分からないけどカワイイから問題はない」


サ「〈その塀の中を想い描くことだけが真の創造である〉新訳聖典第4章67条ですね‼︎」


地「サリーシュ、お前もか……会話としか言わなかったのがいけないのか、いや言わなくても分かるはずだと思うのですが、分かりやすい話題をしてもらえないでしょうか」


マ「ええ、建国王様は神についてとても見識のあるお人です」


地「アノー、違ウ話題ヲー」


サ「卓越した創造力を持ちながらも謙虚で寡黙。常に国民の事を考えていたそうです。まさに我が国の最高の隣人と呼ばれるに相応しいお方です‼︎」


《暗転》

地「………説明しよう‼︎(迅速かつスピーディーな話題転換‼︎)


 現在、新大陸には大きく3つの国が存在する。その勢力図は、カブトムシの背中に例えると分かりにくいと思う。文明の父であり英雄とも呼ばれるファウンドラ王が建国した北の『キングダム』(角に近い殻の部分)、キングダムと同盟を結んでいる神の治める南東の『ガンドラ』(右の羽の部分)、国賊レサリオが治める反旗の国、西南の『ミレーネ』(左の羽の部分)。

 マキュローさんやサリーシュの住むガンドラは先の戦乱の時代以降大きな戦いもなく平和な日々を過ごせていたのだが、キングダム南端の小さな街のペロポリソの領主レサリオが蜂起したことで、再び混乱と惨劇の足跡が近づいていた。

 と言っても、このマキュローさんやサリーシュの住む地域はこの大陸のほぼ南東の端に位置し、新大陸を東西に二分するクロー山脈とその隣にある対西大陸用の海の軍事都市クリ、そして果てしない大洋に囲まれた古来からの守られた土地柄のおかげで先の戦乱から今まで侵攻されたことはなく、老人達は呑気に今回の戦いで勝つのはどっちか賭けをしているほど呑気な、言い換えると恵まれた土地である。しかし、東には神の象徴である神石が採れる霊峰コルーマがあったり、南の海洋には“地獄”とも言われるムコウ諸島があったりと割とガンドラの中でも最も重要な地域の1つだと言える。

 そこはまあ別に重要でもないのでそろそろ物語に戻ろう」

《明転》


マ「では、第2章14条の〈退屈な楽園〉についてはどう思われますか?」

サ「本文は"人が目指すべき道"を説いているだけなのですが、そこに加えられた詩の優美な響きが印象的でした‼︎」

マ「サリー君ったら、神の教えを"だけ"なんて言ったら怒られちゃいますよ。」

サ「あ、ははは、そうですよね‼︎」


《暗転》

地「………秀才(よく分からない人)達は一旦置いといて、説明を続けよう‼︎(パワフルかつ力強い話題転換‼︎)

 だが、もう話すネタがない…という事で、今朝のマキュロー家‼︎」


《場転:マキュリー家 明転 マ・母いる》


母「ほら起きて、今日もサリーシュ君が家まで来てくれるんでしょ」

マ「あ、そうだった!ありがとうお母さん」


母「朝ご飯残さないようにね」

マ「もう子供じゃないんだから残さないよ、言わなくても大丈夫だって」

母「お父さんが採ってきた昨日のキノコ…」

マ「アレレー、そのお父さんハまだ寝てるのカナー?」

母「お父さんは大事な用事があるからってもう出たわ」

マ「珍しいこともあるものですねー。」

母「はいはい話題を逸らそうとしてもムダよー、ほら、昨日の余りもあるから全部食べちゃってね」

マ「ウッ……これはこれはキノコさん、お久し振りです…」

母「今日はちゃんと食べてネー(裏声)」

マ「お母さんの意地悪…」

母「はいはい、手伝ってあげるから口を開けて」

マ「いや、大丈夫だから、本当に、やめて、嫌だ!離してー!!」


【中略 母は強し】


マ「ウー、鬼ぃ…」

母「よく頑張ったわね。ご褒美のよしよし」

マ「嬉しくない、お腹痛い、学校休む。」

母「今日は家政の時間もあるんでしょう。クッキー作るんだっけ?本当に休むの?」

マ「行くぅ…」


母「はい、それじゃあ、忘れ物が無いようにいってらっしゃい!」

マ「あ、エプロン!」

母「机の上の物は鞄に全部入れといたわよ」

マ「…ありがとう」

母「いってらっしゃい。こけちゃダメよ」

マ「こけないよ!では、行ってきます」

《暗転》


地「はぁぁぁ。和むわぁぁぁぁん」


地「…コホン。失礼しました。以上今朝のマキュロー家でした。物語に戻ります」


《場転:船上 明転》


デ「様子はどうよぉ?」

1「順調です、キャプテン。」

デ「合図はぁ?」

2「ハッキリと見えます、キャプテン。」


セ「ワクワクするな、ビロー!!」

ビ「ちょっと、引っ張らないでよ。」

デ「二人共、はしゃぎ過ぎて落ちんじゃねぇぞぉ…って聞いちゃいねぇやぁ。」


地「盛大に間違えた。こっちですね」


《場面転:学園アトフ廊下 SE:生徒たち マ・

 サ入る》


マ「おはようございます。」


3「おはようございます、マキュローさん」

4「おはよう、ミス・マキュロー。今日も綺麗だね」

5「マキュローさん、おはよう。」

6「おはようございます。マ、マキュローさん今度お食事でもどうですか。」


地「隣にいるのにサリーシュの存在感が面白いほどない。愉快。」


《ル入る》

ル「よっサリー朝からお熱いね」


サ「お前こそ本当の友だ‼︎」

ル「はぁ?!なんだよ!朝から男に抱きつくなよ、気持ち悪りぃな」

マ「おはようございます。ルドラ君」

ル「おう、マキュローさんもおはよう。んでさー、早速で悪いんだけどサリー、エプロン貸してくれよ」

サ「物が目当てか‼︎ 見損なったぞルー‼︎ お前は友ではない‼︎」

ル「だから、お前どうしたんだよ、本当に気持ち悪りぃぞ」

サ「忘れても点引かれるだけなんだから、勝手に引かれとけよ‼︎」

ル「いやぁ、そろそろ俺ヤバいんだって、頼む!もう木刀折らないからよ」

サ「ツンッ‼︎」

ル「いや、キモいわ」


マ「では、私のを使ってください」

ル「え?マキュローさんいいの?」

マ「もちろん。はいどうぞ」

ル「ありがとう!…んでも、これエプロンじゃないけど」

マ「あぁすいません! 運動着でした、ちょっと待っててくださいね」


ル「慌てる姿もカワイイなぁ。どっかの誰かさんとは違って見た目もいいし、中身もいいし最高だよ」

サ「見た目も中身も悪くて残念だったな‼︎」

ル「ハハ、誰とは言ってないだろうよ」


マ「あれーどこにしまったのかな?こっち?あれ?違うなぁ…」



サ「ほら。貸すよ。」

ル「えー、俺はマキュローさんから借りる予定なんだけどー」

サ「時間を考えろ、お前は教室が遠いんだから遅刻になるぞ。点数ヤバいんじゃないのか?」

ル「むぅ…しょうがないな。じゃあ、これらマキュローさんに返しといて、これもマキュローさんのかな?んじゃぁよろしくな」

サ「おう、俺のあんまり汚すなよ」

ル「分かってるって友よ、愛してるぜ」

サ「ああ、俺も愛してる」

ル「いや、キモいわ」

サ「サッサッと自分の教室に帰れ‼︎」

《ル走ってはける》


マ「あれ、行っちゃいました?」

サ「大丈夫、僕のを貸しといたよ。あとマキュローさんの体操服、どうぞ。」

マ「ありがとうございます…面目ないです」

サ「気にしなくていいよ。じゃあ、また帰りにね」

マ「そうですね。では、また。」

サ「ああ、また。」

《サはける》


地「校舎のあちらこちらで聞こえる笑い声、若い男女の青春、そんなありふれた日常、しかし荷物の中にこの世界にはない非日常の一枚が紛れ込んでいた」


◉「(あれ、この絵は珍しいな…誰のだろう…。)」


地「どこかの世界で"写真"と呼ばれる一枚を、新しい世界を開いた」


《マの教室に先生はいる》


先「皆さん、おはよう!」


地「いつものように先生が教室に入ってきて、いつものように挨拶をして、いつものように1日が始まった。


 ただ、いつもと違ったのは途中大きな揺れがこの地域を襲った事だ」


《場転:船上 SE:カモメ》

ビ「指揮官殿、準備はよろしいかしら。」

セ「うむ!」

ビ「各員!目標定め!放ちなさい!!」


《SE:砲撃 場転:教室 SE:家屋倒壊》



生徒たち「「「キャー!!!」」」

マ「地震⁈」

先「皆、落ち着いて!頭を隠しなさい!」


地「揺れは1回だけではなく、間をあけて2回街を襲った。森の木々を踏み倒し、民家を突き抜けたそれが地震とは全く違うものであると気付いている人は未だ少ない。気付いた者は全て人間の形状をとどめてないからだ」



セ「ワクワクが止まらない!これがワクワクなのさ!キャプテン!!」

ビ「はぁ…指揮官様にはまだまだ落ち着きが足りないわ」

デ「いんやぁ!今からだぜぇ 二人共!」



地「そして、3個目の丸い悪夢はサリーシュ達の学校を襲った。“あ”という間もなくどこかへと消えていった築2年の白い校舎と学友と先生。その時ルドラが振り返ると隣の教室のマキュローもこちらを見ていた、生徒達は否応もなくひどく無機質な鈍い色の現実を見せられたのだ」




ル「戦いだ!!」



地「校内に広がる混乱と悲観を打ち破り誰かが叫んだ。その意味を介した者はいない」


サ「逃げろ!賊が来る!」


地「本能的に少年の指した先に全員の眼が向き、思わず息を呑んだ


 いる‼︎


 よく見ると確かに戦意を持った獣の群れが海岸から住人達を襲いながら此方に向かって来ている。学校の隣は領主の館で、あの群れは確実にそこに向かって来ている。ココに到達するのも時間の問題だ」


ル「早く逃げろ!!広場に逃げるんだ!」


地「彼は武器を持って自分の言葉とは反対方向に走り出した。彼の父親はこの街の数少ない戦士をまとめる長だ」


ル「人は神の為に、戦士は人の為にあらん!両の扉から我を照覧あれ!!」


地「もちろん、その血を継ぐ彼もまたこの街の戦士である」


ル「お前らは広場へ行く者の守護を!その他勇気ある者は俺に続け!!」


地「武器を手に彼に続く者、彼の言葉に従い逃げる者、もう動く事も叶わない者……」

《暗転》


地「そして、新たな事実に動かされ始めた者」


《場転:領主館廊下 サ入る》


地「揺れが収まって少し経った領主の部屋の前で、息を切らした少年が部屋から出てきた中年の男にぶつかった。街だけではなくこの国全体を襲う新たな揺れの発端である」


サ「あ‼︎申し訳ございません‼︎」

ミ「いえいえ、大丈夫です。って御子息様!学校はどうなさったんですか?」

サ「一大事です‼︎ミハエル殿、敵襲です‼︎」


ミ「今の揺れのことですか?敵襲なんて大袈裟な…なんて事はないただの地震ですよ。では私は用がありますので失礼します。」

サ「ちゃんと窓の外を見てください‼︎」

ミ「急いでおりますので!!」

《ミ、サに腕を掴まれ引き剥がせない》



サ「少しお待ちください、ミハエル殿……その大きな荷物は何ですか?」


ミ「……これは、今から...先程の地震の調査に行こうと思いまして…。」

サ「戦士を引退なさったただの鉱夫である貴方が、なんて事はない地震の調査ですか?」


ミ「……。」


サ「…ミハエル・マキュロー、質問に答えなさい、その荷物の中身は何ですか‼︎」



ミ「…道をあけなさい、私は先を急いでいる…」

サ「質問に答えろ‼︎ "それ"は何なのか‼︎」


ミ「これは…………領主様…"あなたの母君"ですよ!御子息様!」


地「ミハエルが剣を抜いた。位置的に体育館裏、対峙する(おとこ)が2人…うん、青春だね」


《場転:丘の上 オレンジホリ》




◉「走った。誰かが来たら隠れて、また走った」


◉「この一枚について知っているのは、多分、最近"何か"を始めた父だ!今朝からどこかに行ってるのにも何か訳があるはずだ!」










◉「丘の上でひどい人の哀しみの臭いがして振り向くと馴れ親しんだ故郷は黒くて、赤くて、緑で、とても悲惨な色をしていた」




地「故郷の襲撃。これが、あの悪名高いミカエル・マキュローの人生を大きく変えた出来事である」



____I_____ N

IキングダムI⬆︎

I ーーーー I

I ミ I ガ東 I

I レ I ンの I

I ー I ド国 I

I ネ I ラ★ I

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

★サリーシュ達の現在地


注意:上の図は誰が何と言おうと確かにカブトムシでしかありません。嘘です。挿絵難しいです。



SE:演技だけで表現する為、多用は避ける

上手:観客から見て右側、外国ではL

下手:上手の反対側、日本独特の言い方

場転:場面転換の略、工夫の見せ所

ホリ:舞台後方の壁を照らす照明


◉:ミカ

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