ぷろろーぐ
僕、川村 竜二は二十二歳、私立の大学四年生の就活生であった。
少しでも都会に出て、自分のやりたい仕事を探す!
と、親を半ば無理矢理に説得し、兄貴に家業を継いでもらう約束をして、名古屋の私大に入学した。
そして気がついたら四年生。
希望進路は空白。
い、いや、あれだよ?色々バイトもして多くの職業も見てきたんだよ?
でもこの仕事をしたい!というのを見つけることはできなかったのだ。
就職活動もダラダラ続けていたが、受けたくない会社への志望動機はやはり薄っぺらく、目立った資格もない僕は、企業を受け、落ちるの日々…。
内定の二文字は、存在しない幻なのではないか、とも考えていた。
ある日、友人が苦笑しつつも心配して勧めてくれた、企業説明会で転機が訪れた。
桜ヶ坂自動車学校という車校が参加していた。
今の時代に自動車学校に就職して未来があるのか?
とも思ったが、このままじゃ職を持たぬニートへとまっしぐらだったので、いくつかあるうちの一つとして受験してみることにした。
後日、採用試験として、面接官達と面接。
緊張して余り覚えてないけれど、
なんで実家の家業を継がないの?
自動車学校ってどんな所か知ってる?
みたいな質問を余り言葉を飾り過ぎず答えた気がする。
後日、内定を貰った。
いよっしゃああぁぁぉ!内定貰った!これで就職浪人は回避成功じゃあ!
と喜び、僕はこの後就活をやめ、大学を卒業した。
けれど、この時は知らなかったのだ。
自動車学校が、若者が少ないとか、車離れの時代だ、と騒がれているのに潰れていかない理由なんて…
車校というのは方言で自動車学校の意味です