生まれ変わり
ある宗教の教祖が、信者達を前に言った。
「私は神の生まれ変わりである。よって、私には不思議な力があるのだ」
教祖の言葉を、信者達はただ静かに聞いている。そんな中、突然一人の若い信者が、凶器を片手に教祖に襲いかかった。教われた教祖はひとたまりもなく、その場に倒れ、息絶えた。
まさにあっという間の凶行だった。事態が飲み込めないでいる信者達に、襲った若い信者が叫ぶ。
「見ろ、何が神の生まれ変わりだ!! 何が不思議な力があるだ!! 神の生まれ変わりなら、これぐらい防げるはずだろう!! こいつはペテン師だ!! 神の生まれ変わりなどではない事を俺が証明したぞ!!」
若い信者の言葉を唖然と聞いていた他の信者達は、
「おい、とんでもない事になったぞ」 「あいつの言う通り、教祖は神の生まれ変わりではなかったんじゃないか」
と、口々に話す。
騒然とする場内を、突如発生した巨大な地震が襲い、地震によって引き起こされた地割れに、その場にいた信者達全員が飲み込まれた。
生まれ変わりだったのだ。