1章・怠惰の匂いと呪い、立ち上がれ二ート大魔王戦線記
1章・怠惰の匂いと呪い、立ち上がれ二ート大魔王戦線記
1・魔王の朝は遅い
朝やけ、とある洋室
其処の洋室のベットに彼はいた
日光の日差しが…カーテンの隙間から流れ…
その日差しで目を覚ます、燃える様な紅い髪の青年
真っ白なYシャツと、短パンが寝巻の様だ。
左手には黒色の鉄の手錠がされている。
背は180はあるだろうか…
かなりの体躯をした青年、髪は肩まである。
手錠を嵌めた左手でズボンのポケットをまさぐり、一つの紐を取り出し…
鏡のある所に移動し、手際良く髪を後ろに纏め結ぶ。
「時間はまだいいな」
枕の横に置いてあったスマホで時間を確認し
自分の部屋からでる。
開けると、畳の四畳一間で中央には
炬燵とその上には、誰かが食い荒らしたミカンの残骸…皮だが
友達に1000円で買い取ったPS3のコントロラーと
炬燵が有る奥には、今だ四方立体のテレビとPS3
目の前には炬燵に入って、夜通しゲーム三昧をしてコテっと
炬燵のテーブル板に、ほっぺを着けてよだれをだらだら流して爆睡している
黒長髪で、彼と同じ服装をしている…幼女が居た。
それを見た彼は、朝早々額の血管がぶちぎれそうになっている。
なにも言わずに、幼女の背中直ぐ近くに近づき屈み込んで、その幼女の腹を両手でホールドし…。
「こんのォ、起きんかいいい!二ート魔王がぁ!」
叫びをこだましながら、躊躇いも無く、ド本気で
自分の柔らかい体を軸にし、自分の体をエビぞりにしてそれを利用して幼女を炬燵から引きずり、バック・パワーボムを叩きこむ。
ドンと言う音がその部屋に響く。
その数秒後…
「みぎゃあああああああああああ!」
その部屋…アパート全体まで響く、悲鳴が高鳴る。
これがこの部屋の主、羽原儀金治とアパート「デモパン」の恒例行事である。
「キ、キンジ!な、何をする!お陰で良い一時の夢が、全部おじゃんではないか!」
後頭部をおさえつけて涙目になりながら…部屋の主に抗議をする目元を隠すほど
前髪の少女。
「うるさい、もう春先だっつうのに、ぐうたらゲームを夜通ししてる奴が悪い…」
しれっと、居候に抗議を打った斬るキンジ。
「く、クソ!ボクも好きでゲームを…いや趣味だが!
パンデモニウムでもやっていたが!好きでぐうたらしてる
訳じゃないんだぞ!と言うより、前々から思っていたが君は大魔王である、
ボクに敬意を感じられない!」
ビッシっと!人差指でキンジを指差す少女
「敬意?フン!」
が、鼻で笑われまたも斬られ、ガッと幼女の首根っこを掴みブンブンと上下にふる。
「何処の世界に!一日中、パリパリとポテチを食って尻をかきながら
ゴロゴロ、寝ごろがってゲームをする、オタク二ートの華麗なる生活をした。
大魔王がいるんですか!威張るんなら生活習慣改めろ!」
と、ブンブンと上下にシェイクしながら大声で説教をするキンジ
数分後
土下座をした自称大魔王が部屋の主で
自分の唯一のコックに頭を下げてる。
「神様!仏様!救世主様!キンジ様!どうかどうか!
朝ご飯抜きはご勘弁を!」
はぁーと頭をかきながら、少女を見つめる。
自分
羽原儀金治、今年で高校2年になる。
自分は4カ月前、クリスマスイブの日に死んだ。
いや正確には死ぬ筈なのに死ねなかった。
何でも生まれた時から魂の力、魂力が強かったのが原因なのだと言う。
魂力とは其処の幼女曰く、魂は六つの道…輪廻六道の
どれかに繋がっているらしく、普通の人間は人間道に繋がっているが…
俺のように時たま人間道と違う、5つの内のどれかに繋がっているそうだ。
まぁそんな人間少ないらしい。
テレビで見る霊能力者や、いるかどうか眉唾物の超能力者も
道がもう一つ開いている恩啓なのだとか。
そして何でも俺は、更にその中で
更に希少な人間道を入れて三つの道が繋がっているそうだ。
一つは欲望の果てに落ちると言われている、餓鬼道だとか…
後の一つはこの幼女でも解らなく、現在調査中だそうだ。
あのクリスマスイブの日、こいつに出会わなかったら…
両親と同じ命日で死ぬ所だった。
紹介が遅れた彼女の名は、かの悪魔系ゲームのラスボス筆頭
知らない人間はほとんどいない筈の、廚ニ病の登竜門。
傲慢の大罪を掲げる魔王の中の魔王。
【明けの明星・大魔王 ルシフェル】
事ルシルだ。
それが目の前の前髪からちらりと見える目で涙ぐんで…
俺の朝飯抜きを撤回させようと懇願する
幼女の正体だ。
話はあの時のクリスマスイブから始まる。
俺と同じ歳位の背だった騎士甲冑を着たこいつと、契約して。
気がつけば事故が起る数分前の信号待ちまで、巻き戻っていたのだ。
上半身下半身が繋がっている状態で
夢かと思ったが、左手には黒色の鉄の手錠を着けられており…。
その手錠には鎖が繋がれ、先には右手で同じ手錠をした
ぶっ倒れた、翼の生えた騎士のこいつがいて直ぐに夢じゃないと悟り。
そしてこの手錠で繋がった状況が、やばいと判断した自分は彼女を背負い
逃げるように、このアパートデモパンの自分の家に帰ったのだ。
彼女を家に連れ様子をみると、熱が有り弱弱しかったので。
騎士甲冑を脱がせ、そのまま自分のベットに放り込み。
事情を聞きたいが、先ずは看病が先だと思い
徹夜で看病をした。
この手錠の鎖、どう言う原理かは知らないが…勝ってに伸びて物に当たっても
すり抜けるようなので、安心して看病に専念できた。
それから一夜明けて、つい寝てしまった自分が見たのは…
俺の少し下位だが、女性として背の高かく
かなりの福与かな大山の胸と大きく実らせた尻が、背はちっこく、胸は絶壁
お尻は萎んだ、あれほど大きかった6枚の翼も、
ひな鳥の如く小さくなった幼女に早変わりしていたのだ。
ああ、俺のドストライクなアイドルの様なスタイルの女の子は
泡と成って消えたのだ。
起き上がった、彼女から事情を聞くと。
なんでも今この人間道…人間界アルターパラダイスは
危機に瀕してるそうだ、それは原因不明の穴の所為で
天道・天界、地獄道・地獄界、餓鬼道・魔界、
畜生道・霊界、修羅道・高天ヶ原の五つの世界の壁が消え
自由に人間道に出入りができ、その人間界で。
ある秘宝をめぐった戦争が起るらしい。
それを止めるため、自分以外の勢力と戦う事になったが
とある悪魔の攻撃をうけ、力の9割を封じられ
存在を消えそうになりながら、人間界に落ちて来てしまったらしい。
力をセーブしながら、自分が消えないようにある物を探す事になった
ルシルは
それが俺の様な魂力が、規格外に大きい人間だった。
契約を行い、その人間の魂力の一部を糧に存在を繋ぐ
それが彼女が考えた策だ。
だが、非常にその契約も綱渡りだったらしく…
契約は出来たが良いが…自分の力は完全に使いきり。
その代償として幼女の様な姿に落ち、今では人間とは変わらないほどらしい。
この4カ月俺の家で力を取り戻しているのだが…
この4カ月観察してきたが…毎日毎日ダラダラと食っちゃ寝
食っちゃ寝、お前は二ートかと言いたくなるような
生活習慣を送り、約1月で長くは無い俺の沸点と血管がプッツンし
48の殺人技の数々を持って、この部屋の主は誰であるかと解らせるべく
主を決める聖戦が始まり、3分後・大魔王の土下座で聖戦は終息した。
其処から3カ月一人暮らしで磨かれた、手料理で大魔王(笑)胃を掴み。
その事から今は、父の言う事を聞くぐうたら娘の如く、言う事を聞く様になった
そう餌付けに成功したのだ。
「ぶ~ベルフェゴールに怠惰されて無ければ…
今頃こんな事にはならずに済んだのに…」
口いっぱいに朝ご飯をほうばりながら、文句をたれる幼女魔王。
ベルフェゴール、その名は俺は良く解らずネットで知った情報だが
ルシルと同じ、七つの大罪の一つ怠惰を掲げる大悪魔の一柱
【古代神・ベルフェゴール】姿は、雄牛の姿をした悪魔らしく
元々古代モアブの地で信仰されていた、古代神バアル・ペオルと言う神が前身で
キリスト教の聖書世界で卑小化され、悪魔にされて言ったらしい。
ベルフェゴールも自分と同じ堕ちた者だとか。
だが、彼の力は策士家であり、力も強大だそうである。
知恵を巡らせモーセに率いられたイスラエルの民を、モアブの地を訪れた際
自分を崇高していたモアブの娘たちにイスラエルの民たちを色仕掛けにかけ、
自分を筆頭とする神々を礼拝させ食事を一緒に取ったと言う、その後それを見て激怒した。イスラエルの神ヤハウェが災いを振らせたのが、好色をも司ったベルフェゴールのエピソード。
ルシルはどうしても人間界に入れてはならない、もう一柱の大罪の魔王と戦っている時に
その魔王と同盟を組んでいたベルフェゴールに、【怠惰の呪い】を掛けられ。
力、ルシルの魂力の約9割以上封じられ尚且つ自分では
解く事が出来ない呪いをかけられ、かけられたそのまま人間界に落ちるように来たとか…。
あんな姿を見なかったらこいつが堕天使ルシフェルで、悪魔や天使の存在を信じないんだけどな。
と思いながら朝ご飯をくれてやった、目の前の幼女をみる。
夢じゃないんだよなチラッと左手をみる。
悪魔との契約の証しである【罪人の手錠】しかも、悪魔は悪魔でも
大魔王製の手錠だとか…今はルシルが消してるが、今でもこいつの右手に着いてる
俺と同じ罪人の手錠とどうし鎖で繋がっている。
言わば、俺が実感できる唯一の非現実だ。
「そういや…お前ら悪魔たちは何のために、俺達に戦争仕掛けるんだ?」
今頃ふと思った事だ、最初に説明された様な気がしたが
良く覚えてない。
「ん?何を言ってるんだキンジー。僕たちは魔界から来てるから
悪魔ではなく、正確には魔人だぞ!
まぁ魔界と地獄界は、普通に行き来できるから大差ないんだけどね。
コホン、話がそれたね魔人だけじゃないぞ。
恐らく魔人共に触発されて地獄の悪魔、天使、妖怪勢、大怨霊が動いてる。
人間界に落ちたとおもわれる、ある物を巡って戦争を起こそうといるな」
口にご飯粒着け…淡々と解説するルシル
「ある物?それが此処に…」
「そう人間界に落ちた我々外界の者が、喉から手が出るほど欲しい物
その名は【黒の宝物】だ」
「くろのほうもつ?」
「そう、数は八つ在るらしくてな。すべて集めると
とんでも無い事が起る」
「それは?」
「人間界アルターパラダイスを贄として、発動するド○ゴンボールだと
言えば解るかな!?」
ビシッとまたも人差指で指を差すルシル。
「つまり何か?その黒の宝物を集めると、この世界をリリースして…
神龍を召喚すると!?」
「そうそう、某大人気ずっと俺のターン、カードゲーム用語でいえば
そうなるね。一応言っとくけど比喩でも揶揄でもないよ。
これは真実だからね」
それを聞かされた自分は愕然する…こいつは嘘をつかない。
こいつの理論から言えば、人間程度に嘘をついてもメリットが無いのだとか。
その時ふとある事を想う。
「なら、ルシルは何のために来たんだ?止めるとか言っていたよな?」
「ん~?言っても良いけど…キンジー、時間良いのかい?
学校、新学年だろう?」
「えっ」
振り返ると頭上の時計が既に学校に行く時間を差していた。
「やばい!ルシル、昼の弁当とおやつは冷蔵庫にあるから、それを!」
立ち上がり、青い制服の上着とリュックを掴み、駆け足で居候に告げながら…
玄関に去っていく
「はいはい、気をつけてね~お守りも忘れずにね」
手を振りながら、部屋の主の出送りを見送る。
赤いネクタイ、白いシャツその上からの青い制服を着こみ
黒いリュックを背負い、町を駆ける。
俺の住んでいる町、日本新首都・十字京都十区の一つ
第四区帆村山町、17年前に旧首都・東京を襲った謎の大災害をへて
できた新首都である。
十字京都、正式名称十字京島
二十世紀終わりごろから旧東京湾に埋め立て開発を着工してた。
日本最大の人工島でもある。
十七年たっても未だ原因不明である、東京大災害を気に既に
予備として建設されていた国会議事堂をそちらに鞍替えをした日本政府は
災害が起こって半年でこの人工島を新しい日本首都にする事を発表。
旧東京都を合わせて計十区があり
俺の住む帆村山町は十字京都島、島内第四区にありそこから歩いて
五分の本土東京とも繋がっている、モノレールに揺られること二十分でつく
これもまた世界一を誇る、巨大高層ビル【クロスバベル】の近くにある
駅から五分歩いた所にある幼小中高大エレベーター式の学園
十字京都第一区雨空にある学園
雨空十字学園、十字京都島にあり、世界最大のビル、クロスバベルのオーナー
アルフレッド・光悦時・クロスホォードという、財閥の首領が経営している。
マンモス校である。
ここに通う人間は二通りある。
俺のように幼等部からの入学組か、途中編入組の二種類あり
俺の場合は、両親が居なくなっても残してくれた、貯蓄財産のお陰と
財産管理をしてくれる、両親の友人兼アパートデモパンの大家さんの
お陰で、今でもなおこの学園に通う事ができる。
高等部入り口の前に
巨大電子板に高等部のクラスの割り振り表が、映し出されている
やたらハイテクなのも、光悦時グループの力かもしれない
俺は二年のグループの電子板を覗き込み
「俺のクラスは…」
「金のクラスは、4組だ」
唐突に声が聞こえたので、振り向くと…上は帯がついた和服、下はモンペを着た
黒い短髪の天然パーマーで丸メガネをかけた
俺と同じ歳の青年が立っていた。
この青年とは顔見知りで幼馴染だ。
彼の名は、星神矜持
名家の坊ちゃんらしく、幼等部からの付き合い組の一人である。
何故彼が制服ではなく、和服問屋の店主が着てそうな、和服を着てるのかと言うと…
一応この学園は制服は支給されるが、基本服装は自由であり、生徒電子手帳さえあれば
自由に学園を行き来できる。
矜持曰く、こっちのほうが落ち着くだそうだ。
「うす、矜持。ほかの皆は?」
「ふむ、おはよう金
エリナ嬢は、海外の病院、光と変態は俺達と同じ四組だ
金、今日も少し遅いではないか、遅れた理由はやはり…」
「ああ、俺ん所の魔王さんの所為でな」
因みにこいつは、俺の5人いる友人たちの中で、唯一魔王ルシルと俺の関係を知っている。
人物だ。
事はあの時のクリスマスイブ、事故が起る前の俺の後ろ姿を見たらしく
声をかけようとして、あの瞬間を見たらしい。
見た時は友達の悲惨すぎる現状をみて、気が動転した用であるが…
20分後、ルシルの契約で時が戻り世界線で、俺が引かれて死んだ事象を消し
全て世界は20分前に戻った、記憶も全て何もかも…の筈が何故か矜持は
覚えていており、俺が普通に携帯で連絡した時は…
俺かどうか疑われたほどだ。
それでこいつの事と、俺の身に何が起った洗いざらい話した。
『成る程あい解った』と一言で、納得しそれ以上聞こうとはしなかった。
何でも星神の家は、京都から派生し、悪魔と怨霊を使役し帝都を守る事を
生業にした【式神使い】の家系らしくこの手錠の名、
悪魔や魔人と契約した時だけ現れる
罪深き咎人の証にして、霊魂の鎖【罪人の手錠】の名と色を一発で言いあてた。
ルシルのアイテムで手錠は見えなくしていたのだが、矜持曰く
魂力の使い方を覚えれば、契約してなくても霊視位は余裕なのだとか…
『俺の家はこんな事に慣れている。お前の場合は少々極稀なケースだが
何かあったら、相談しろ力になろう』
あの幼女魔王と出会ってから、俺の日常がみしみしと言う音を立てながら、
罅が入り始めている。
一方その頃・ある場所・ある空間にて。
其処は唯白いある人物以外しかない空間。
一つは車いすに乗った、パジャマ姿の銀髪の女の子。
目の前に黒いハイエナの様な猟犬が三匹いる
更に右側にイカのような格好をした巨体の怪物が居る。
そして少女の背後に、巨大で強大な漆黒の色をした巨牛がいた。
その巨牛、猛々しいほどの左一本角を生やし、もう一本は何者かに叩きおられ
更に右目は斬られた傷を負っている。
そして顎には老齢を想わせる髭を生やした。
森羅万象の自然界ではあり得ない程の巨牛が彼女の背後に浮かび上がっている。
『傷ガ疼ク、明ケノ明星ニツケラレタ、傷ガ疼ク』
少女は右目を押さえ呟く
『力ヲ取リ戻ドセネバ成ラナイ、【色欲ノ魔王】ガ動キダス前ニ
黒ノ宝物ヲ手中ニシ、モウ一度、神ニ返リ咲ク夢ノ為ニ』
少女はその言葉を紡ぎ、巨牛とハイエナとイカと共に姿を消す。
全ての始まりは一つの悲劇と切っ掛けである。
魔王・ルシフェルと青年・羽原儀金治のスタートラインにさえ
ついていない。
祝1話目とプロローグを投稿できました
ヒロインは大魔王と書いて二ートのルシルです。
始まりの始まりである1章はVSベルフェゴールまでを描きます
どうかよろしくお願いします