表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/29

番外幕 狛犬と河童とエロ魔神の物語

こんにちは!


今回はミスターさんの小説「人間社会へようこそ!」とのコラボ番外編です!!


一応、「人間社会」未読でもある程度分かるよう配慮して書いたつもりです。


が、やっぱり皆さん!

未読の方はミスターさんの「人間社会へようこそ!」を読みましょう!


そしてからこっちを読んだ方が、多分楽しめますよ!

「なあエロ魔神、俺は近々ロリータ愛護団体って言う自警団を作ろうって思ってるんだけどよ」


「ロリータ愛護団体か……じゃあ僕はその参謀の地位にでも立候補しようかな」


「お、なんだ? お姉さん派のお前にしちゃあ珍しい!」


「ふふっ、あくまで僕はオールラウンドだから!」


何が悲しくて男同士、ロリータの話に花を咲かせているのだろうか……




僕の名前は市沢和也。


ムフフに生きたい(希望)花の中学三年生。


隣にいるのは自称脱衣麻雀界のタイガーマスク、木原徹君(15)


佐薙中学校ロリコン保護団体の創設者にして、佐薙中学校旧型スクール水着愛好会の宣伝部長を勤めている、ロリコン界のスペシャリストだ。


「しかしタイガー、なんでまた突然、ロリータ愛護団体なんかを創設しようと?」


今は学校終わりの下校道。


お空には少女の笑顔よろしく、橙に染まる夕日がさようなら状態。


「……実はなエロ魔神、最近ここいらにめっちゃ可愛い子供が出没しているという情報が入ってな」


「おいおいタイガー、お前がいくらロリコンだからって、未成年をお持ち帰りは如何なモノかと思うぞ?」


合法、なにそれ美味しいの?

美味しくねぇよ、危ないよ!!


「バッキャヤローエロ魔神! お持ち帰りはしねぇよ、ただただ眺めるんだよ!」


今日のタイガーの顔は昨日ニュースで放送していた、児童ワイセツで捕まった田中一郎容疑者(仮名)の顔にそっくりだ。


「だからいいかエロ魔神! 可愛い子供見つけたら、俺に報告よろしく!」


「分かったよ、とりあえず警察に報告するよ」


自称ピンクのスナイパーこと市沢和也、さすがに犯罪はダメです。










「さてと、とりあえず神社に顔出さないとな」


あれからタイガーと別れた僕は、1人町外れの白犬神社へとやって来ていた。


「可愛い子供か……子供……子供……ん?」


10年後に期待。

ってか女だよね?


「はぁ……しかし」



僕は神社の階段を登りながら、つくづく思う。


……階段しんどい。


結構な段差あります。


「毎回毎回来る度に思うけど、段差と段差の間が地味に高いっ」


かなりの大股で階段を上がる僕。


運動音痴の僕にはかなり辛く、いつしか息が荒くなる。


はぁ……はぁ……


……疲れる。






そして、何とか神社の境内にご到着。

ちなみに階段はほんの数段しかありません。


「はぁ……はぁ……や、やっと着いた……」


僕は地味に疲労している体を引きずって、例のゾクゾクするベンチに腰掛ける。


相変わらずお尻がゾクゾクするベンチだな。


冷える意味で。


しかしこのベンチ、佐薙中学校Mっ子布教協会の連中に提供したら、結構な謝礼を期待出来そうな。


そんだけゾクゾクする。


「はぁ……疲れた」


僕は座りながらグイッと伸びをし、あくびも漏らす。


ちなみに目の前の神社の境内では、なにやら子供が二人で遊んでいる模様。


鬼ごっこなのか、缶けりなのかは分からないけど、仲良く子供達は遊んでいた。


「……これはタイガーに報告すべきなのか、もしくは真田に報告すべきなのか?」


ここからじゃ分からないけど……多分女の子だと思う。


「やっぱりタイガーに報告か? もしくは僕らのEnemyポリスメン?」


そんな事を考えながら、僕はとにかくボケェ……っとする。


境内に子供がいるんじゃ、コマは多分出て来れないだろうし。


まぁ、幸いもうすぐ夜。

子供はそろそろ佐薙中学校ロリコン保護団体を恐れてお家へ帰る頃だ。


お父さんお母さん、お子さんの外出には気を付けて。


ここいらにはロリコンタイガーとか、ショタコン真田なんかがいるんだから。


喰われるぞ?


あ、でもねお父さんお母さん、お子さんが成長して10年くらいたったのなら、是非外に……


ってな事を考え、ニヤニヤしていた僕。


その時、


「あ、危ないっ!」


「……へ?」



上から、缶が降って来た。


え、缶?


で、


カコーンっ!


「痛いっ!」


脳天直撃。


「だ、大丈夫ですか……って、なんだアンタか」


そして、恐らく缶を飛ばした張本人であろう犬耳さんがこっちにやって来て……って、


「な、コマお前かっ!?」


そいつはこの白犬神社のぺちゃぱい神様でした。


「ってかアンタいたんだ。全然気付かなかった」


って言って缶を探すコマ(推測12〜15)


「気付かなかったってな……」


僕は缶が直撃した脳天をポリポリ。


……ん?


アレ?


「なぁコマ?」


「何?」


ちなみにコマはそこいらに落ちたと思われる缶を未だに捜索中。


「お前、あの子と遊んでたの?」


僕の指差す先、そこにはもう1人の女の子。


「そうよ」


さらっと答え、缶を探すコマ。


ちなみに缶は僕の脳天に直撃した拍子に思わず手で潰してしまい、今更言えずに背中の後ろに隠している事は秘密で。


「お前、その耳や尻尾見られてもいいのか?」


「ああ、別に大丈夫よ。もうあたし神力ないし、あの子そもそも人間じゃないし」


「ああ、そっか」


ならいいや。

それより缶、どうしよう……ん?


「なぁコマ、さっきの言葉をりぴーとあふたみー?」


「……え?」


「いやだから、もう一回言って」


「……だから、もう神力ないし、あの子人間じゃないし」


「……人間じゃない?」


「うん」


頭の中で何かが繋がらない。


「人間じゃないって……もしかして神獣?」


「でもないと思う」


「思うってお前、あいつ人間じゃないの? ってか神獣だったら僕に見られて神力無くすぞ!?」


神様の化身、神獣。


それは神通力(神力)を持つ、神社の主。


その神獣は自らの姿を「人間」に見られると、その神力を失う(弱化)。


実際コマも僕に見られて神力を失っている。


すなわち、今僕の視界にはあの子が入っているので……


神獣だったらアウト。


「大丈夫だと思う。あの子からは神様の波動を感じないし、かと言って人間な感じもしない」


コマ、何を勘づいたのか、僕の背中に回り込む。


僕、缶をベンチに座るお尻の下に。


「神様の波動って……じゃあ何者なんだよ?」


「多分だけど……妖怪とか、獣怪、半獣、人妖何かだと思う」


「もうこの世界なんでもアリだな」


その時、その少女がゆっくりとだが近寄ってきた。


……やっぱり女の子だ。


これはまた……タイガーの好きそうな……


「あ、ゴメンねリオナちゃん。なんか缶はコイツが潰しちゃったみたい」


「なっ、お前事の真相を知ってたのかっ!!」


思わずツッコミ。

コヤツ……侮れん。


一方の少女は


「あ、いや、大丈夫だから……」


ちょっと残念そうだ。

缶けり……子供は好きだもんな。

大人になると缶じゃなくて蹴りつ蹴られつの関係になるのに。


「あ、そうだ。まだアンタには言ってなかったね」


そう言うとコマは少女の横に立ち、


「この子はリオナちゃん。此度の参拝客なのである、えっへん!」


何がえっへんだぺちゃぱい。

無い胸張っても猫の威嚇程度にしかならん。


「ってか参拝客? 何かお願いでもあんのか?」


僕は副神様もどき(自称ピンクのイエス)。


この神社に来た願いを、神力ではなく主に肉体労働で解決する、ある意味凄い神様なのだ!


その時、さっきから黙っていたリオナが口を開いた。


「私……実とはぐれちゃって、今その実を探してるの」


「実? もしかして仲間か何か?」


「ま、まぁ……一応多分そんな所かな?」


「曖昧だー!!」


つ、つまりはだ。


「コマさんコマさん、もしかしてこの子の願い、お叶えに?」


僕はコマに耳打ち。


「うん。この子お賽銭無かったんだけど、代わりにあたしと缶けりで遊んでくれたし」


「あら安い!」


「ってなわけだから、リオナちゃんの仲間の実って人を見つけてきて!」


「結局肉体労働は僕の仕事ですか!?」


ふざけるな。

今日は早く帰って、タイガーから借りた女の子ビデオを見るって予定が。


「どうせアンタが家帰ったって、いかがわしいビデオ鑑賞くらいしかやる事ないんでしょ?」


「いかがわしい言うな! 僕は善良な人間だから、裏で襲われている女の子達の実態を把握しなくちゃいけないんだ!」


「いいから叶えてあげなさいよ、あの子実って人とはぐれて、今1人なのよ?」


「僕だって1人裏で男達に襲われている女の子の実態を把握しなくちゃ……」


「もう遊びって言うお供え物代わりの事してもらったから、今更叶えないとかダメなの!」


「じゃあお前が実探せよ!」


「じゃあその人探しの神力をあたしから奪ったの誰!?」


「ぐあっ……」


完敗。


僕はそっとコマの耳元から離れ、頭いっぱいに?マークを浮かべているリオナの前へ。


「分かったよ、リオナだっけ? 今からその実おじさんって人を探しに行こう(棒読み)」


「え、まだ実はおじさんじゃ……」


「さー行こうどんどん探そう。僕のムフフの代償はおじさん探しなのか。そーかそーか(棒読み半分涙声)」


「もしかして……泣いてる?」


「泣いてないよ。あ、ちなみに僕の名前はピンクのイエス。宜しくね」


「本名市沢和也」


「あ、コマっ! 個人情報流失の発端を僕は今目撃したぞ!」


とにもかくにも、人間じゃないらしい可愛い子供リオナの仲間(って事はそいつも人間じゃないのかな?)の捜索に、レッツ出発。










「でね、私、実に江戸城連れて行ってもらったんだ!」


「ふーん」


「そんでね、その後カラオケ行ってね!」


「カラオケかぁ……最近行ってねぇなぁ」


「あとはね、実の学校にも行ったんだぁ!」


「学校か……」


現在、コマから託されたリオナの仲間、実捜索のため、町のあちこちをリオナと一緒に回っている僕。


もう空は若干暗く、月がこんにちは。


「そう言えば、実と天の川見たっけ……」


空を見上げ、物思いにふけるリオナ。


……やっぱり、どう見ても人間の女の子にしか見えない。


「実はね、学校では卓球部に入ってるんだよ」


「卓球部か……玉打ちか……男は気持ち的に痛いスポーツか……」


「あとはね……実のお母さんからちんすこうもらった事もあって」


「ちんすこうか……何となくだけど、名前の語呂がとても良い響きの食べ物だよね」


「あとね、ちょっと前だけど……お風呂覗かれた事もあって……」


「お風呂かぁ……って、え!? もしかして犯罪行為!? 事件把握のため詳しく!!」


僕は善良な市民。

今後の犯罪防止のため、過去の事件については詳しく知る必要がある!


「く、詳しくって言われても……」


困るリオナ。


……何か僕、変態さんみたいだね。


自分に負けたらダメよ和也!!




……ってか


「なぁリオナ、そもそもお前、実とどこで離れたの?」


「え、えーっと……」


そもそもの話だ。


「近所のスーパーだったと思う。確か、いらないって言ったのに実がキュウリ買うって言って、私暇だから外で待ってて……」


「待ってて?」


「そしたら、何か変な男の人に襲われて……」


「何っ!?」


何故だろう?

まだ根拠すらないのに、僕の頭の中ではタイガーの顔がこんにちは。


「そして逃げて、とにかく逃げて、気付いたらさっきの神社に……」


その言葉を口にするリオナの顔は、どこか寂しげで、切なかった。


とにかくタイガーには後で何となく手錠をプレゼントする事にして。


「……分かった。じゃあまずはそのスーパーにでも行ってみるか」


「……うん」


僕達はまず、そのスーパーへ行ってみる事にした。










「……あ」


「……げ」


案の定すぐ近くにあったスーパー。


そして僕が入店しようと自動ドアを通ったその時、向こうから見知った顔が。


「……真田?」


「最悪、まさかエロ市沢に会っちゃうなんて……死にたい」


そこにいたのは、日本ショタコンの会に会員登録する寸前まで行った事のあるレジェンド、真田穹音だった。


そして彼女の手には買い物袋。

中にはニンジン、じゃがいも、お肉、カレーのルー。


僕は甘口派です。


「エロ市沢とは失礼な。桃色紳士とお呼び!」


「変態紳士、あんたもしかして強姦中?」


僕のネーミングの件をガン無視して、彼女の興味は僕の隣のリオナに。


「ごう……かん?」


リオナの頭には無邪気な?マークがいっぱい。


「違うよ真田、僕は君とは違って幼い子供なんかには手出ししないよ痛い痛い痛いニンジンを目に突っ込まないでゴメンなさいぃ」


「アンタ最低っ! 本当デリカシー無さすぎ!!」


「確かに僕はデリカシーが無いかもしれないけど、君は幼い子に対する欲求を制御するメンタルが無さすぎ痛い痛い痛いじゃがいもは目に入りませんよ真田さぁん」



「っ! アンタ一回マジで刑務所行って来なさいッ!!」


そう言うと、顔を真っ赤にした真田はスタスタと帰って行ってしまった。


「なんだよ……僕は事実を言ったまでなのに」


「……ねぇねぇ」


「ん? なんだいリオナ?」


「ごうかんって何?」


「それはね、実おじさんに聞きなさい」


「だから実はまだおじさんじゃ……」










それから僕達はスーパーの中をくまなく探した。


お惣菜コーナー、お菓子コーナー、野菜コーナー、肉魚コーナー、飲み物コーナー、はたまたレジ近くまで。


しかし、リオナの言う実おじさんは見つからない。


「まさか、実って人はこんな娘(脳内設定)を忘れて帰っちゃうくらいボケてんのか?」


「…………」


「あとはやっぱり、僕らのEnemy警察とか行ってみる?」


「…………」


「ねぇリオナ……ん? リオナ?」


リオナは黙って俯いていた。

凄く寂しそうに……


「……実、本当に私を置いて帰っちゃったのかな」


空はもう真っ暗。

頼りになるのは街灯の明かりだけ。


「リオナ……」


夜道で女の子が1人だと、佐薙中学校性的夜行散歩愛好会の奴らに捕まるぞ?


「……実はね、約束してくれたんだ」


彼女の口から出る言葉は、どこか弱々しい。


「約束?」


「うん、約束……」


その時のリオナの瞳には、少しだが光るものがあった。


「私を……河童の世界に帰してくれるって……」


「……河童?」


河童?

遠野?

妖怪?


でも見た目普通の女の子。


「あのね、言っても信じて貰えないだろうけど、私河童なんだ……」


「河童ねぇ……」


見た所お皿ねぇし、甲羅ねぇし、水掻きねぇし。


見た目本当にタイガー好みの可愛い女の子。


「……普通はみんな信じてくれないんだ。でもね、実だけは信じてくれた」


「…………」


「そしてね、河童の世界へ帰れない私に、河童の世界へ帰してやるって、約束してくれたの」


「……へぇ」


その時、リオナの声のトーンが少し下がった。


「でも……やっぱりそれは嘘で……実は私を置いて帰っちゃったのかな……」


そのリオナの顔はとても寂しげで、切なげで、孤独を感じた。


……やっぱり女の子のこういう顔は反則だ。


コマの時も、真田の時も。


女の子には笑顔でいてほしい。

男みんなの願いだ。


だからコマの時には副神様、真田の時には協力者として、暗い女の子に笑顔を咲かせてあげたいと思ったんだ。


やっぱり女の子は笑顔。


「……大丈夫だよ。実おじさんはリオナの事、忘れてはないさ」


「えっ……」


僕は自信を持って言う。


「だって実おじさんとの沢山の思い出があるんだろ?」


「沢山の……思い出?」


「さっき言ってたじゃないか。実おじさんと江戸城行ったんだろ? カラオケ行ったんだろ? 天の川見たんだろ?」


「……うん」


リオナは小さく頷いた。


「普通は嫌いな人やどうでもいい人となんか天の川は見ないよ。お互い友達同士だとか、仲間同士とかとしか見ないよ」


僕は空を見上げる。


夜空いっぱいに広がるは、沢山の星達。


「だからきっと、実おじさんもリオナの事、大事に思ってるよ」


「……本当?」


「ああ、本当だとも」


だからきっと、向こうも必死でリオナを探しているはず。


だとしたら、向こうはどうやってリオナを探す?

きっと、必死に向こうも探し回ってるハズだ。


手当たり次第に、今日行った場所とかを……


「……そうだ!」


僕は咄嗟に思い出す。


そう言えば、今日タイガーが言っていた。




『お持ち帰りはしねぇよ、ただただ眺めるんだよ』




「ただただ、眺める……」


もしかして、これは簡単な話だったんじゃねぇか?


タイガーが前に言っていだ。


向こうが動いた時、それを追って動くと大抵見失う。


だから、見失わないように、体は動かさず目だけを動す。


そうする事によって、ノーリスクで女の子を眺める事が出来ると。


それを『眺める』と言う。


不思議と心踊る解釈だな。


これだけ『動いて』探しても実おじさんは見つからない。


それはつまり、向こうも『動いて』探している可能性が高く、入れ違いになってるかもしれない。


ならば……




「なぁリオナ」


「何?」


「もう一回スーパーへ行こう。今度は入口で、動かずに待つ」


「……え?」


「向こうも必死に探しているんだ。だったら、同じ所を二度三度探してもおかしくはない」


正直、これが決め手だった。










「あ、リオナ! お前どこ行ってたんだよ!」


「実っ!!」


スーパー入口に張ってから僅か10分たらず。


まさかのスピーディー解決を果たした。


やっぱり向こうも結構探していたらしく、汗だくだ。


「全く……なんでキュウリをレジに通す間くらい、じっと待っていられなかったんだよ」


「だって……知らない人に襲われて、逃げてたから……」


……そうだ、後でタイガーにはパトカーの玩具を贈呈しよう。


ちなみに今僕はスーパーの入口にある自販機の後ろ。

二人の邪魔しちゃ悪いから、ここに隠れてます。


そろそろ退散の時か……


「襲われたって……もしかしてナンパか?」


「いや違う。なんか、二次元みたいな可愛い子がいた! って、小柄な男に……」


二次元?

小柄な男?


……あ、それタイガーじゃねぇ!


達知太智だ!

18禁書目録の方だ!


そういやタイガーは眺めるだけで、襲うとは言って無かったし。


パトカー玩具は太智行きに変更。


「ん? ……まぁとりあえず帰ろうぜ。サミも待ってる事だし」


「うん!」


そう言ってスーパーを後にする二人。


リオナには、しっかりと笑顔が戻っていた。


なんか……暖かい終わりかたで本当に良かった。










しかし、実際そうでも無かった。




「ただいまコマ。なんとかリオナの仲間を探して来ましたよ……ん?」


もう夜分遅く。


一応神社に来てみた僕。


それが過ちだった事に気付いたのが、約1分後。


「あ、お帰り! リオナちゃんの仲間、見つかったんだ!」


コマはぞくぞくベンチに腰掛け、足をバタバタ。


「ああ、すげぇ大変だったよ。まさにスーパー往復祭りでさ……」


スーパー


この言葉が命取りになろうとは。


「え? スーパー行って来たの?」


何故か犬耳をピンと立てて。

しっぽフリフリさせちゃって。


「え、まあ、行ってきたけど……」


「じゃあお土産ちょうだい!」


速答。


「は? お土産って何? あれか? 人の股みたいに先割れした大根とか?」


スーパー唯一のエロス。


「違う違う! クッキーだよ、骨っこクッキー!!」


コマの瞳はギンギラギン。


「骨っこクッキー!? 聞いてないぞ、そんなモン!」


「気をきかせて買ってきてよ!!」


「何故だ!?」


何故、コマはクッキーが無いと分かるや否や、急に怒りだした?


理不尽すぎる!


「いいから、今すぐ買ってきてよ!」


コマは結構ご機嫌ななめ。


「え、今から? 僕はもう帰ってビデオ鑑賞のお時間なんだけど……」


「いいから買ってこい!!」


うおっ、今日のコマはなんか機嫌悪すぎ!


いつもはもうちょいマシなのに……ん?


今日だけ不機嫌?


「……コマ、もしかしてだけどさ」


「な、なにっ!?」


突然の問いかけに、ベンチの上で固まるコマ。


「今日1日僕はリオナに付きっきりで、コマに構ってやれなかったから……寂しかったのか?」


「ッ!!?」


その時、一瞬で真っ赤になるコマの顔。


「ははーん、当たりだな?」


「だ、だだ誰がアンタなんかっ、べっ別に……!!」


めちゃくちゃ動揺してますね。


へっ、たまに可愛いヤツだ。


「……顔、真っ赤だぞ?」


「え……あ、これは違うっ! ただ今日は暑かったから……」


コマさん、目が泳いでますよ。


思わず僕、ニヤニヤしちゃう。


「……コマ、今クッキー買ってきてあげるからな、もうちょっと我慢しててな(にこっ)」


「……ッ!!!」




その日はなんだか、暖かい1日だった。


最後、コマに思いっきりグーで殴られた事以外は。



ミスターさんの方を見てからこっち見ると、キャラ崩壊気味ですね。


ミスターさんファンの方、申し訳ない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ