第六幕 早朝の学校で
「…………」
「ひっ……」
しゅらーばぁー!!
「…………」
「ひっ……ひっ……」
現状確認。
僕の手には小学生アイドルマニアック。
それを真田の机の中へ突っ込んでいる所。
……それを真田が目撃中。
顔が赤くなったり青くなったり、たまに紫になったり。
カラフルだ。
そして目はくるくる。
「あ、ああああんた、な、ななな何を私のつ、つつつ机の中に!?」
テンパってんなぁ……じゃなくて!!
しまった見られたッ!!(まぁ、今更だけど)
「…………」
どうしよう……。
今は黙秘を貫いているが、いつか限界くるぞ。
「あわ……あわわ……」
ちなみに真田の目線は僕の手元、小学生アイドルマニアック。
こんな時でもマニアック!!
僕のムフフとひけを取らない執着心に拍手!
……でもなくて。
「……うおっほん」
このままカラフル真田を見てても僕が殺されるだけなので、真田が正気に戻る前に行動にでよう!!
「わ、わたしはー……か、神様だぁ!」
「……っ!?」
僕、一か八かの賭けにでる!!
「わたしはー……ち、地球人になりすまし、この人間達の行いを見守ってきた、神様なのだー(棒読み)」
「……は?」
いかんッ!
僕のボケのせいか、若干真田が落ち着いてきた!!
真田が正気に戻った瞬間、僕死ぬぞきっと!
「き、君の願いは白犬神社の神様から聞いている。何でも君は学校のクラス委員長らしいじゃないか(棒読み)」
「……い、市沢だよね? 変態市沢だよね?」
「そ、そんな真面目で良い子な君に、神様が1つ願いを叶えてあげよう(焦り)!」
「…………」
いけない!
真田黙り込んだ!
目ぇ鋭くなった!
もしかしてコレ逆効果だった!?
でももう遅い!
「あ、安心したまえ。わたしはー神様だから! いや本当に!」
「…………」
「じゃ、じゃあそろそろ願いを叶えよう!」
「…………」
「た、確か君の願いは……しょ、ショタコンを直した……」
ドカッ!
「痛いッ!!」
突然、グーが飛んできた。
顔に。
「……市沢」
「はっ……!?」
僕の目の前。
そこには鬼がいた。
鬼。
……鬼が。
……鬼。
「死ね変態ッ! 地球の酸素を吸うな変態ッ!」
「ぐはっ……あ……ぁ……」
僕ぼろぼろ。
殴って蹴って叩かれ踏まれ、突かれて弾かれて吹っ飛ばされて、僕の全身アザだらけ。
暴力反対〜!
特にこいつはクラス委員長なのに。
「本当に最低! 社会の底辺ッ!」
「……だ、だま……れ……」
「もう何よ! 人の机にこ、こんな……あ、いやいや、こんないかがわしいもの入れて!」
「今の……一瞬の……恥らいは……何?」
とにかく僕、何かお花畑に行きたい気分。
でも行ったらムフフとお別れって予感が……
「そもそも、私に嫌がらせして、鬱憤晴らそうってつもりなの? 変態最低ッ!」
「……黙れショタコン」
「っ……だ、誰がしょ、ショタコンだ変態ッ! 訴えるわよっ!」
「……お前、小学生男子に欲情してるのに、ショタコン否定すんの?」
「だ、だから誰が……」
「それはお前だっ!」
ビシッと指差し!!
それに真田が一瞬怯む!!
「……言っただろ? 僕は神様だ。お前の性癖くらい、とうにお見とうしなのさ」
「ふ、ふざけるな変態ッ! あんたいい加減に……っ!」
真田が再び攻撃形態に入ったのを見過ごさない。
僕は机に入れ掛けの小学生アイドルマニアックをバサッと開き、真田の目の前にドーン!!
と見せた。
「……っ!」
その瞬間、真田の動きが止まった。
ちなみに見せたページは小学生男子が笑顔でお風呂入ってるページ。
児童ポルノギリギリ。
「……どうした真田穹音?」
ふっふっふ……
勝った……
「……う、うるさいっ! こ、こんな小学生なんかに誰がっ!」
「……鼻血でてるぞ」
「へっ? ……あっ!!」
自らの鼻に触り出血を確認した真田は、カバンからティッシュを取り出し鼻へイン!
「……その鼻血、お前が小学生男子の裸体に興奮したっていう証拠だろ?」
「……うっ」
僕の言葉に俯く真田。
「まさか、クラスで一番真面目な委員長、真田穹音にこんな一面があったとはな……」
「ち、違っ……」
で、焦り出す真田。
そして……トドメ。
「ふっ……なんだ、僕よりお前の方が変態だなッ!」
「なあっ……」
真田玉砕ッ!
ついに……ついに僕はやったよ!!
鬼の真田を撃破したよっ!!
やっほー!!
……ってのが本来の目的ではなくて。
「…………」
ちょっと涙目状態の真田。
少し言い過ぎたな。
さて、ここからが本題。
「……でだ。真田穹音、さっき僕が言った事覚えてる?」
「…………」
「……君の願いを叶える。僕は白犬神社の神様だからね」
「…………」
「……あの、聞いてます?」
「…………」
あー……黙り込んじゃったよこの人。
参ったな……ガチでさっき言い過ぎたかな?
「……あんたさ」
その時、真田の重い口が開いた。
「あんたさ……本当に一体、何者なの……」
その声は涙声。
ガラガラ気味。
「だから言ったでしょ? 白犬神社の神様だって。まぁ、実際は神様もどきなんだけどね」
ちなみに今回、僕が神様もどきだって言う事はバラさないで願いを叶えるつもりだった。
けど、予想外の出来事(真田の涙)により、急遽変更。
バラした方が手っ取り早いと判断。
「……神様もどきって……本当にふざけないでよ……」
真田、ちょっとやけ気味。
「いや本当だって。……お前さ、2週間くらい前に白犬神社でお参りしただろ?」
「……なんで……それを……」
さぁ、ここから先、ちょっとだけ嘘入るぞ!
「その時さ、白犬神社の神様がお前の願いを叶えたいって思ったらしくて、肉体労働派の神様もどきである僕に相談してきたんだ」
「…………」
「どうか、あの純粋な少女の願いを叶えてやるのを、手伝ってくれ、と」
「…………」
まぁ、その神様はぺちゃぱいの犬耳尻尾さんなんですけどね。
「……そんなの」
真田穹音にいつもの覇気なし。
「そんなの、誰が信じるのよ……」
その瞳には未だ涙あり。
「……僕が神様だって証拠。1つはお前が神社でお参りしたのを僕が知っている事。2つ目は誰にも口外していないお前の性癖を知っている事」
「…………」
「白犬神社の神様は言ってたぞ。諭吉ありがとう、これで骨っこクッキー買えるって」
「…………」
「だから僕は……お前の願いを叶える。お前が今悩んでいる事……その性癖を何とかしてやる!」
「……変態市沢」
「……え?」
え?
何で今それ言う?
真面目ムード台無し。
「あんたにどうこう言われる筋合いはないわ。 どうせ私のせ、性癖をみんなに言いつけて、弱み握ろうって魂胆でしょ? 分かってんのよ!」
なんか徐々に復活しつつある真田。
「……そうよ、私は変態よ! 小学生相手にドキドキしちゃう、超変態なのよっ! ……もう、言いふらしたければ言いふらしなさいよ……」
真田は俯いたまま。
……変態が変態に向かって変態を告白。
シュール極まりねぇ。
……全く。
「僕は誰にも言わないよ!!」
「……っ!!」
だから言ってやる。
今日の僕はシリアス担当だコンチキショー!!
「僕は知ってるよ……お前が小学生相手にハァハ……いやドキドキした後にする、あのため息の意味を!」
「………っ」
もうやけだ。
ギャルゲーで鍛えたキザな言葉をくらえ!
「本当は小学生相手にドキドキするその性癖を無くしたいんだろ? そんな自分が嫌なんだろ?」
「そ、それは……」
「お前は本気なんだろ? だったら僕は言ったりしないよ。むしろ応援したい。神様として、人間として!」
「ッ……」
元は自分の株を上げるためだ、コマの言いなりとしてだで関わってきた真田穹音の秘密。
けど、真田の涙を見て……彼女の本気さを知って……なんか、普通に何とかしてあげたくなった自分がいる。
「……だから、僕はお前の願いを叶えてやる。その性癖克服を手伝ってやる!」
これが、僕の気持ちだ!!
「…………ふっ」
その時、真田が吹いた。
……え?
「な、何?」
ちょっとキョドる僕。
「……まさか、変態市沢に私の弱点見破られて、さらにそれを克服させてやる何て……まさか過ぎる展開」
真田は……目に涙を貯めつつも笑っていた。
……え?
「はっきり言って、余計なお世話よ」
「なっ……!!」
なんだと!?
じゃあ何? さっきの黒歴史と化すほどのキザな言葉どうなる?
「でも………」
「でも?」
何だ?
「あんたから言われたとしても、なんかその言葉、嬉しいかも」
「……っ?」
真田さん?
「……実際、まだあんたを信用した訳じゃないけど……」
「じゃないけど?」
真田穹音、クラス委員長。
性格は真面目な子。
「……変態市沢、私の願いを……叶えて……くれないかな?」
そんな彼女が、学校1のムフフ人間の僕を、ちょっとだけ信じてくれた瞬間だった。
「……お、おう!」
フラグ成立!
「こ、このことは……周りには秘密ね」
「わかってるよ!」
「ならよし!」
その時の真田には、若干の明るさが戻ってきていた。
ふぅ……とりあえずこれで一区切り。
やっと本来の目的へ移れる。
コマのためにも、真田のためにも、僕の命のためにも。
真田穹音を普通の人間にしてみせる!
「……まさか、学校1の変態に助けられる日がくるなんて」
「ん? なんか言ったか?」
「いや、なんでも」
こうして、真田穹音普通人間化計画はスタートしたのでした、まる
変態達による変態がための変態グダグダコメディー、いかがでしたでしょうか?
こんにちは!
作者の五円玉です!
たまには後書きらしい後書きでもという事で、今回後書きります。
今回の作品は作者の作品上、生徒会シリーズに次ぐ変態ばかりの小説となってます。
毎日が発情期の主人公市沢くんや、真面目クラス委員長だけど幼い子大好き真田穹音。
出オチ常習の脱衣麻雀界のタイガーマスク、ヒロインなのに出番少ないワガママっ子コマ。
作者の作品の中では類をみない程のぶっ飛びっぷりと自認しております、はい。
でも書いてて楽しいです!
今作は神社や神様をテーマに、参拝客の人には言えないコンプレックス等をどうこうしていく……って感じを目指していたり。
方向としては基本ギャグ&コメディーでいきたいです!
まぁ、たまぁにラブコメっちゃったり……でもまぁ序盤はないな。
とにもかくにも、変態ばっかりでお送りする今作
「私の神社へいらっしゃい!!」
も、いよいよ次回から真田穹音編、後半戦に突入!
相変わらず更新速度は亀並みに遅いですがこれからもよろしくお願いします!
ではまた次回で!
以下おまけ。
コマ
「あれ? なんで今話は私の出番がないのよ! 私一応メインヒロインなのに!」
市沢
「おちけつコマ」
コマ
「けつって何よけつって!!」
市沢
「仕方ないだろ! 僕だってもっとムフフなシーン欲しいよ! ハーレム作りたいんだよ!」
コマ
「私だって……出番や骨っこクッキー欲しい!!」
脱衣麻雀
「俺はギャルのパンティが欲しい!」
コマ
「誰ッ!?」
市沢
「なっ……名前の表記が……脱衣麻雀て……可哀想すぎるぞ脱衣麻雀界のタイガーマスク!」
脱衣麻雀
「神龍よ、ギャルのパンティをおくれ!」
市沢
「どこの悟空だお前……ってか、ついでに僕にもパンティおくれ!!」
コマ
「……不潔っ!」