第五幕 幼さは性的に捉えてOKなのか?
人類にとって、最も賛否両論が分かれるモノ。
それは幼さだ。
幼き事が良きなのか、幼さ故に悪いのか。
ある人は言った。
『人間の本来の可愛さ、それは幼き日々の人生にある!!』
……と。
また、ある人は言った。
『まだ幼く、未熟な人間に欲情するなど、不潔極まりない事だ!!』
……と。
人類永遠の課題。
それは、幼き子供の可愛さを、性的に受け入れるのか、単純に愛くるしいと受け入れるのか。
こればかりは、自分一人では解決出来ない課題なのだ。
―――木原徹(あ、脱衣麻雀界のタイガーマスクの本名ねコレ)脳内持論第一説、幼き人に恋して何が悪い!! より抜粋。
……いや悪いだろ。
現在僕は真田穹音の自宅前の電柱の陰にいる。
そう、目の前の小学生を見てニヤニヤしているあの女こそ、ターゲットの真田穹音本人!!
あ、ちなみに僕にロリコン耐性なんてないからね?
まぁ、ターゲットはロリコンではなくてショタコ……
げふんげふん。
男の妄想妨害だ。
とにかく、今僕はこの目で見ている。
真田穹音が小学生相手にハァハァしているのを!!
……ふっふっふ!
チェックメイトだ!!
その後、僕はしばらく張り込みをしてみたのだが……
真田穹音は自宅に入り、私服(ピンク色のラブリー的なカジュアルバリバリの……)に着替え、庭にあるテラスに腰掛け、何故かそこで勉強。
室内ではなく、屋外のテラスで。
まぁ、ターゲットは結構真面目に勉強しているのだが……
「なぁたけし、この後暇ならサッカーしねぇか?」
「おう、いいぜ!」
……真田家の前を男子小学生が通ると。
まず、声が聞こえたらビクッと反応。
で、何気ない感じで視線を自宅前の道路に。
そして、小学生を視界にとらえると……
「……ごくりっ」
唾飲み込む。
目がにやける。
ちょっと顔が赤くなる。
……そして観察していると、1つの共通点を発見した。
真田がハァハァするのは、カッコいいって感じよりも、可愛い系の男子小学生に集中しているという事。
……他称変態の僕ですが、さすがに引きました。
いくらムフフ大好き市沢くんでも、幼さという観点としてみて女子小学生には欲情しませんしね。
小学生に欲情するくらいなら、その小学生の10年後に期待っすよ。
僕は妹キャラより姉キャラ萌えですから。
ってな話はどうでもよくて。
真田は小学生見てハァハァして、小学生が通り過ぎた後に毎回盛大なため息をつく。
もうそりゃ、すげぇ暗いため息。
真田も薄々実感しているのかな?
自分の好みが社会的にマズイって事を。
「……つまり、真田の性癖とは幼き男子に欲情してしまうと言う、男の僕には全く分からないショタなるものだったのだよ!!」
「……しょたって何?」
無垢な狛犬少女の頭にはでっかい?マーク。
現在白犬神社の境内。
で、先ほど掴んだ真田情報をコマへ流し……
そう、殉職回避!!
やっほぉっ!!
毎日が楽しくなるぞ!
ムフフっ!!
「……とにかく、あとは真田が直したい性癖が本当にそのショタなのかを確認して、もしそうならそれを何とかする」
これが今回の目的。
「ねぇ、しょたって美味しいの?」
コマが僕の服の袖をつんつんしてくるが気にしない。
「まずは、真田の本音を何とかして聞き出す事が大切だ!」
「ねぇ、しょたって何味? ってか美味しいの?」
……ふふっ、読者の諸君は今、疑問を抱いている事だろう。
そう、何故僕がこう真田の願いを叶えるのに積極的なのかと。
僕に会えば開口一番
「車に引かれて、ぶっ飛んだ先に毒蛇がいて、噛まれてのたうち回っていたら空からヘリコプターが落ちてきて、下敷きになって苦しみながら2回死ね変態」
とか言ってくる真田。
そんなヤツの願いを何故叶えるのか。
「ねぇねぇ、しょたって何? スーパーとかに売ってんの?」
それは実に簡単な事だ。
……真田穹音の願いを叶えてあげる。
つまり、うまくいけば僕の株が上がるんじゃね?
以下、僕の妄想
「これで……君の社会的にアウトな欲望はなくなったよ。これからは普通のムフフを楽しみな」
「い、市沢くん……」
「僕は……当たり前の事をしただけさ。君は小学生という名の呪縛に捕らわれ苦しんでいた。僕はただ、その呪縛を解いただけさ」
ニコッ
「……ありがとう市沢くん。今まで悪口言ってきて……ゴメン」
「気にするな。それよりも、普通にムフフが出来るこれからの人生、悔いなく楽しみな」
キラリンっ!
「市沢くん……」
キラキラ!
つまり、好感度アップ。
ついでに神様のおかげとか何とか言ってれば、神社の評判もアップ!
アップアップバストアップッ!!
「ふっふっふ……いいぞぉ……いいぞぉっ!」
「ねぇ、しょたってスーパーのお惣菜コーナーにあるの?」
とにもかくにも、株は大事よ!
「とりあえずは真田の幼児欲情を何とかする作戦を立てよう!」
「あ、わかった! しょたってコロッケとかの1種でしょ? 違う?」
その日の僕は、1日中笑っていた。
ニマニマが止まらない。
株アップ=女の子からの評判もアップ!!
翌日、学校。
え? 定期テスト?
ナニソレオイシイノ?
とにかく、現在朝7時!
まさかの早朝登校!
他の生徒はまだ誰もいない!
「ふっふっふ……真田の机の中に……これを入れてみましょう」
誰もいない教室、真田の席。
僕はカバンからある本を取り出す。
昨日神社帰りに書店で購入した1冊。
「小学生アイドル盛りだくさんっ!」
なる本。
……まぁ、あっち系の本でございますな。
マニアァァックッ!!
そしてそれを真田の席の中にイン!!
これで真田の様子を見て、直したい性癖が本当にショタなのかを探るのだ!!
「ふっふっふ……さあ、どういうリアクションを取るんだ真面目クラス委員長っ!?」
「……あんた、そこで何してんの?」
「あ? お前、何って真田の幼児欲情の真意を探り……」
……え? 人の声?
「……ひっ!」
悲鳴?
「……あ」
僕、咄嗟に振り返る。
で、何故か後ろに真田穹音がいた。
超わなわな震えているクラス委員長さん。
……え?
顔真っ赤よ?
……え?
今7時よ?
……え?
なんか、もしかして今……修羅場?