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第二十幕 体育委員代理の宿命

「明日は体育祭だ! だから今日は体育委員は放課後集合して、体育祭準備を行う」


6月のとある金曜日。


僕、市沢和也は昼休み、教室の端っこでタイガーとお宝的ムフフな水着大全集なる本を鑑賞していた。


あ、こんにちは。

主人公の市沢和也です。


皆さん、水着っていいですよね。


ほぼ半裸の姿でうろうろする女の子。


目の保養だね。


で、今水着の写真集見てる訳なんだけど、これがまたイイ! きわどい!


もうすぐ夏だしね。

水着の季節だしね。


ハメ外したくなるよね。


で、周りの視線なんかお構い無しにタイガーと本を見ていた僕。


本の中には可愛い女の子達が貝殻ビキニでキャッキャウフフ。


僕ムフフ。


周りの視線痛い。


「……あれ? なぁタイガー、僕達は今、何かを失っているような気がするんだけど?」


「大丈夫だエロ魔神。もう俺達に失うものなんざ何もねぇよ! それよりもほら、このページからスク水特集だってよ!」


あ、タイガーはロリペドさんです。


で、僕も自称オールラウンドなので、いざタイガー期待のページに目を向けようとしたら。


「……市沢はいるか?」


……教室の前の入り口がピシャッと開き、


ガタイの良い筋肉質の肌黒野郎が入室してきて、


僕の姿を確認するなり即行で近よってきて、


「市沢、明日は体育祭だ。今日の放課後は準備があるから予定を空けておけよ」



と、一言言って帰っていった。


ここまでの時間、約15秒ほど。

普通のテレビコマーシャル1個分。


「…………え?」


僕、スク水の事なんか忘れてポカーン状態。


「ああ、そういやウチのクラス、体育委員の眞中が入院中だから代わりにお前が体育委員代理になったんだっけ」


……タイガーの言葉が悲しく脳裏に響く。


詳しくは本編第十一幕参照。


「…………は?」










「これより、体育委員とクラス委員合同で体育祭の準備を執り行う。皆、心して準備するように」


体育委員会の顧問の教師が、拡声器越しにドデカイ声を放ちやがった。


……僕は今、学校の校庭にて気をつけの姿勢。


周りには他のクラスの体育委員や、クラス委員の姿も。


あ、もちろんクラス委員ってことで、真田や4組クラス委員の直江もいます。


皆体育着にハーフパンツ姿。


見て分かる、これから肉体労働が行われますよの図。


イヤだぁ〜。


「よう市沢。これから共に爽やかな青春の汗を流そうではないか」


そう言いながら、こちらに向かい大内接近。

うわこっち来るな汗臭い。


「……僕はこんな肉体労働よりも、ムフフで汗を流したいよ」


「そうかそうか、肉体労働で汗を流したいか! 分かるぞその気持ち!」


やべぇ、こいつ難聴の疑いあり。


「俺も体育委員として、明日の体育祭は是非とも成功させたい。だから今汗水流して準備して、爽やかな気持ちで明日の本番を迎えたいのだ!」


「いや知らないし、だったら1人で頑張ってなよ」


「そうかそうか、お前も共に汗水流して準備をしたいのか。いやぁ、頼もしいな!」


「いやだから言ってないし。そもそも準備したくないし、体育祭イヤだし」


「お前も楽しみなのか体育祭? 俺も楽しみでしょうがないのだ」


「大内、キミは1回耳鼻科行って耳を診てもらう事をオススメします」


本当にオススメします。


……その時。


「……あ、祥弘君! こんな所にいたの?」


校庭の北側、朝礼台の方から1人の女子生徒がこちらに手を振りながら接近。


色素の薄いウェーブがかった髪、おっとりとした瞳、平均より少し小柄な体型。


手には数枚のビニール袋に軍手。


「おお友姫、どうかしたか?」


一方の大内はやって来る女子生徒にむかい、手を振りかえす。


……何コレ?


「祥弘君、1組の担当は校庭西側のゴミ拾いだよ? 早く行こう!」


笑顔で大内の前まで行き、ビニール袋と軍手を渡す女子生徒。


「ああ、そう言えばそうだったな。すまん、忘れていた」


……さっきあんなに準備準備言ってたヤツが忘れるなよ。


「うん、じゃあ早く行こ!」


女子生徒は相変わらずのほっこりスマイルを維持しながら大内の手を取り、校庭の西側へ。


ちなみに大内無表情。


「市沢、準備を怠るなよぉ!」


そう叫びながら、大内は女子生徒と共に遠くへ行ってしまった。


僕、ポカーン状態。


……何?


いま女子生徒、大内のことを祥弘君って言ってたよね?


下の名前で呼んでたよね?


凄い笑顔で手を握ってたよね、祥弘君と。


心なしか、桃色オーラ出してたよね?


大内、無表情だったよね?


……何これ?


大内は筋肉バカの無神経人間だぞ?


何だい?


そんなヤツに今、もしかして春でも到来してるの?


何これ? 何の罰だよ?


僕、何だか涙出てきた。


何? 僕よりも先に筋肉バカ大内に春が来たのかい?


……何故だろ。


負けた気がするよ、涙が止まらないよ。


「……なんでだよ」


僕はボソッと呟いた。






一方、そんな僕と大内のやり取りを遠目から見ていたヤツが1人いた事に、僕は気付いてはいなかった。


「…………」


「あ、凪沙。どうかした?」


校庭の真ん中に目を向けていたのは、3年4組のクラス委員直江凪沙。


そして、そんな彼女に声を掛けたのは3年3組クラス委員真田穹音。


「……今、ケダモ……いや、市沢が大内と会話しているのを見てた」


「……え?」


「そしたら友姫が来て、談笑中の大内をさらって行った」


「な、何? どうしたの凪沙?」


「そしたら、突然市沢が涙を流し始めた」


「……凪沙?」


「……これ、もしかして……もしかして」


「…………」


「大内が友姫にさらわれ、市沢が泣く。つまり大内を取られて泣いたって事。すなわち大内を失った事による悲しみ、大内を奪った友姫への嫉妬……って事は」


「……凪沙、変な事言ってないで早く準備しちゃお?」


「……つまりはウホって事?」


変な誤解が生まれた瞬間だった。

キャラクター設定紹介のコーナー!




ファイルNo.9


大内祥弘(オオウチ ショウヒロ)


佐薙中学校3年1組、出席番号6番。

身長:169センチ

体重:63キロ

誕生日:2月28日

血液型:B型


筋肉バカ。

とにかくバカ。

いっぱいバカ。

うんとバカ。


基本我を行くって感じで、自慢は小麦色の筋肉。


好きな食べ物はピロシキとボルシチ。


コイツ、後々とんでもない重要キャラになる可能性大。

ってか今話で盛大にフラグ立てたからね。

もう分かるよね。


あと今話にて立ったもう1つのフラグ。

直江はこの後、どういう勘違いをしていくのか。


とりあえず新章は体育祭関係です。


無難に行きたいと思います。




以下、オマケ企画。






祝20(そんなにめでたくはないけど)到達記念!!


後書きスペースにて不定期連載開始、もしも〇〇だったらシリーズ!


第1回

もしも自分が学校の生徒会長になったら。


市沢

「体育の授業にてブルマ復活(ちなみに今佐薙中は男女ハーフパンツ)&プール授業は男女一緒にします!」


タイガー

「通学カバンはランドセル限定にしますよ!」


真田

「えーっと……か、家庭科の授業での保育実習の時間を増やす……とか?」


直江

「……いや、特には……今まで通り?」


達知

「……授業でアニメ製作&アニメ視聴の時間を設ける」


大内

「給食の飲み物はプロテインにするぜ!」




結論。


ロクな学校にならねぇ。


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