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第十九幕 豚のしょうが焼きはウマイ

「美味しい! このお肉美味しい!」


「そうか、良かったな。うん、だからもっと行儀よく食べなよ……」


コマは豚のしょうが焼きにがっついていた。


程よく火の通った豚肉(安物)、滴る肉汁、香ばし香り。


ちなみに今日の夕食は白米に味噌汁、豚のしょうが焼きにホウレン草のおひたし。


「う〜ん、特にこのタレ! このタレが美味しい!」


しょうが焼きのタレ―――それはエ〇ラ。


箸についたタレをキレイに舐めとるコマさん。


そして、豚肉を箸で掴み、口の中へ入れる。


「美味しい!」


満面の笑み。

白米をこれでもかと口にほうばり、ほっぺはパンパン。


「さあ、どんどん食べなさいね。おかわりはたんとあるから」


コマの素晴らしい食べっぷりをみて、母も笑顔に。




……うん、今ここウチのリビング。


うん、今僕は母とコマとの三人で食事中。


うん、なんでこうなったんだ?














事の発端はさっき、獣の呪いの話を終えて、帰宅しようと玄関へと降りてきたコマ&見送りの僕。


そしてコマ(帽子着用、尻尾は隠し中)が靴を履こうとしたその時、リビングから母が出てきて。


「あら、もう帰るの?」


と、コマを足止めし、一言。


「もし良かった、一緒にお夕飯なんてどう?」


僕、フリーズ。

コマ、顔を輝かせる。


「あなた、和也のお友達なのよね。お名前は何て言うの?」


「あ、アタシはコマ……じゃなかった。こ、高麗麻琴です。コイツ……じゃなくて、和也くんとは同じクラスで……」


などと言う、いつから用意してたか分からんような設定に僕は呆気にとられてしまい、


「あら、和也のクラスメイトさん? 初めまして、和也の母です。いつも和也がお世話になってます」


などと母が低姿勢で挨拶し、


「はい、お世話しています」


と、殴りたくなるような対応をしやがったコマ。


「で、高麗さんはこのあと用事は?」


「あ、いえ、特には……ないかな」


「じゃあ、迷惑でなければ夕飯でも食べていきませんか?」


「え、いいんですか?」


「ええ。今日は夫も帰って来ませんし、それに和也が家に女の子を連れ込んでくるなんて初めてで……高麗さんさえよければ是非」


「あー、じゃあ、お言葉に甘えて……」


「え、何っ? 母さんそれ冗談だよね? ってかコマも冗談だよね?」


「あら、いたの和也?」


「いたよ最初から!」


「アタシ、ご飯食べてく!」


「コマも何言ってんだ!?」


「今日は豚のしょうが焼きだけど、高麗さんはお肉大丈夫?」


「大好きです!」


「母さんもコマも何もうフレンドリーな関係になってるの? 適応早いよ!」






こんなやり取りが今から10分前にありまして。


「コマ、くれぐれも耳と尻尾には気をつけろよ」


「分かってるって。そんなヘマはしないわ!」


四人がけのテーブルに、僕とコマは隣り合って座り、向かいには母。


ちなみにコマは帽子かぶったまま食事中。

だから僕は帽子越しに小声で耳打ち。


で、母は最初帽子をしたままのコマの食事に不思議がっていたのだが、

「これが今どきの食事スタイルなんだよ!」

と、適当に嘘をついたら、

「あらそうなの? 最近の子は変わってるのね」

と、あっさり信じてしまった。


我が母ながらなんと無垢なんだ。


「すみません、ご飯おかわりもらえますか?」


コマ、食事開始5分で茶碗一杯のご飯完食。


恐るべき食事速度。


「はいはい。たくさん食べてね」


そう言って母はコマから茶碗を受け取り、ご飯を盛っていく。


「ありがとうございます!」


コマは終始笑顔だった。

















「しょうが焼きって本当久しぶりだったなぁ」


食事後。

僕はコマを白犬神社へ送るべく外出。


時刻はもう夜9時過ぎ。


月が明るい。


僕達は神社のある山沿いの道を二人並んで歩いていた。


「……そういえば、コマはいつも何食べてるの?」


「え? あ、あぁ。神獣は別に食べなくても生きていけるの」


「……え?」


初耳。


「うん。アタシ達神獣は存在に必要な神通力ってものがあって、それさえあれば生きていけるの」


「……何それ便利すぎ」


なるほど。

神獣にとっては食事は趣味みたいなモノなのね。


「でもさ、またに肉食べたいなぁとか、蟹食べたいなぁとか思う事もあるよ?」


「贅沢は敵だぞコマ」


肉も蟹も僕だって食べたいさ。






そんなこんなで、白犬神社到着。


僕はとりあえず境内まではついていく。


いつもの段差の高い階段を昇る。


「……そういやさ」


その時、ふと思った。


「なに?」


「お前、世間では高麗麻琴って名前で通ってんのか?」


さっき、母と会話した時、コマは自分の事を高麗麻琴って名乗っていた。


「ん? あぁ、あれはあの場で即興で考えた名前よ。アンタと同じクラスだってのも即興で考えた設定」


「凄い判断力だね」


あの一瞬で考えたのか。


「ちなみにリィゼは羽石理世って名乗ってたっけ」


「羽石理世ねぇ……」


多分、直江が考えたんだろうなぁ。


ってかリィゼ、あんな羽あるんだからむやみに外出出来なくね?


「でね、アタシの友達のスピカは……」


……さっきからよく聞く名前、スピカ。


コマと同じ神獣で、大の仲良しだと言う。


「姉小路友姫って名乗ってるの!」


「へぇ〜」


いや知らないし。


……ん?


姉小路?


「スピカはね、猫の神獣でね、アタシより前に人間に見つかって神通力を失った神獣なの」


僕はコマの話を聞きながら、ちょっと頭の中を整理。


姉小路……あれ?

どっかで聞いた事のあるような……


「でもスピカは凄く器用で、自分を見た人間と二人三脚で今でも神社を切り盛りしてるんだって! 神通力もないのに凄いよね!」


「あ、うん……」


「だからさ、ウチも神通力なくても、呪いがあっても、なんとかなるよね?」


そのコマの問いかけに、僕は我に返る。


「あ、うん。大丈夫大丈夫! きっと白犬神社も繁栄するよ」


僕の答えに、コマは優しく微笑んだ。


「だよね!」














「最近、エロチックな事してないなぁ」


白犬神社からの帰り道。


僕はエロチックな事を考えていた。


タイガーから借りた女の子ビデオもまだ見てないし、お宝水着写真集も買ったままでビニールすら破ってないし。


最後にエロチックな事をしてたのは……あ、今日の朝だ。

真田から電話がくる前。


「……なんだ、意外と最近ムフフしてたんだな、僕」


家に帰ったら借りた女の子ビデオでも見るか。


あとお宝水着写真集でも見るか。


そして、ムフフでもするか。


「……うへへ」


いつものエロ魔神、復活の時!

キャラクター設定紹介のコーナー!




ファイルNo.8


直江凪沙(ナオエ ナギサ)


佐薙中学校3年4組、出席番号20番。

身長:150センチ

体重:44キロ

誕生日:6月3日

血液型:A型


リィゼの相方的存在で、佐薙中3年4組のクラス委員長。


性格は物静か&無口クールで、感情が豊かではない感じ。


ちなみに中学2年の時の勉強の総合成績は学年のベスト10に入ったほど。

つまり、バカみたいに勉強が出来る。


運動も得意で、とある剣道道場が実家の従姉妹から剣術の指南を受けていたり。




直江はそもそも登場時点ではモブキャラになる予定でした。


普通に真田の友達みたいな感じで。


凄いそもそもの話ですが、初期の予定だと私神は全11話完結のストーリー構成になる予定でした。


リィゼとか聖獣とか獣の呪いとかもナシで、11話で真田の願いを市沢くんが叶えて終了。

これが本来の予定でした。


しかし、書いてて楽しくなってきたり、読者の皆様からの評価を頂き、もう少し書いてみようかなと思い出したのが最近。


そしてストーリーを広げるために、リィゼや直江といったキャラを登場させ、少しストーリーがややこしくなるのです。




私神、まだ当分終わる予定はありません。


多分かなりの長期連載になります。


作者自身、まだ市沢くんを書きたいので。




って事で、皆さん直江凪沙を今後ともよろしくお願いします!

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