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第十六幕 黒い翼と遭遇した日

「……なんでお前がここでリィゼを襲っているんだ?」


「なっ……ちょ、別に襲ってる訳じゃねぇよ!」


「……嘘だな」


「嘘じゃねぇよ! ってかそもそも、真っ昼間の公園に空からリィゼが……」


「黙れケダモノ」


「え!? なに、僕には弁解の余地すら与えられないのッ!?」


「死ねケダモノ」















公園のトイレの裏の茂み。


その中で、僕は直江凪沙と熱い討論(ある意味僕の生死がかかった)を繰り広げていた。


お題は、リィゼ。


「……つまり、リィゼが人前に現れて、翼が見られてはマズイと思い、咄嗟に茂みの中に隠れ、そして襲っていたと?」


「うん、最後の1文以外全部正解」


「……全文正解の間違いでは?」


「直江、僕を信じろ!」


「無理」


「…………」


心が傷付く。


ちなみに、一方のリィゼは……


「きゃうっ!」


翼が茂みの枝に引っ掛かったらしく、なんか暴れていた。


「痛いっ! は、羽がぁ……」


……案外翼も不便だな。


「リィゼ、とってあげるから動かないで」


そこへ、直江が救いの手を差し出す。

枝に手をかけ、慎重に枝を取っていく。


「……全く。クロウからリィゼがいなくなったって言われて、いざ探しに来てみたらコレなんだから」


……直江、今なんでこっちチラッて見た?


「だって……早く禊しないと、朱雀様が神社に……」


リィゼはしょぼんとしていた。


「……禊なら人のいない湖とかですればいい」


「えぇ〜、湖には噴水ないよ! しゅぱぁっが無いよ!」


「わがまま言わない。もうすぐにでも朱雀ノ神は来るんだから、早く湖行って禊しないと」


「ん〜……」


「……そんな顔しない。明日にでもクロウと湖行こ」


「……分かった」


リィゼはしぶしぶといった様子で頷く。


……何か、親子みたいだな。


「……何見てるのよ」


「ん? あ、悪い」


ついつい見とれてしまった。

いかんいかん。


僕は咄嗟に視線を反らす。


その時だった。















「……あ、市沢いた!」


茂みの向こう、約20メートル。


そこから手を振り、この僕を呼ぶ人物が。


「……ハッ!?」


僕は、その人物を見てフリーズ。


……アカン。


「まったく、アンタ今までどこに……」


近よってくる、真田。


僕の隣には、直江とリィゼ。


アカン。


「のわあああぁぁぁっ! 悪い直江、僕ちょっと用事思い出したから一旦帰るわ!(早口)」


「……ん?」


僕はとっさに茂みからジャンピング!

ダッシュで真田の元へ。


「悪い真田っ! ちょっと今こっちの方で鍵探してて……」


「……アンタねぇ、私の腕にはまだブレスレットがあるのよ! ちゃんとフォローする時はしなさいよ!」


「……フォローって、そもそもお前がチビッ子に興奮さえしなければ」


「うるさいっ!」


僕は真田の拳骨をスルリとかわしながらも、背後の茂みをチラ見。


……直江、リィゼ。間違っても今出て来るなよ!!


「……待ってケダモノ!」


アウゥトォ!


「なっ、バカ! リィゼ……」


茂みの中から、リィゼが出て来ました。











黒い翼を広げ。


本当に和むかのような満面の笑みで。


愛くるしい雰囲気を出した。


リィゼが、茂みから出て来ました。


「…………」


僕はもう、手遅れだと悟った。


「ケダモノ、茂みの中でコレ落としたぞ」


リィゼの手には、僕の携帯が。


ああ、落とし物を届けてくれたのね。


うん、リィゼは優しい子だなぁ。


「……ねぇ市沢」


本当にリィゼは優しいし、無垢だし、笑顔可愛いし。


「……市沢、あ、あの子の背中……」


ウチのぺちゃぱいワンワンとは大違いだよ、まったく。


「は、はは羽が……」


いやマジで、コマもリィゼくらい素直でいい子だったらなぁ。


「うそ……な、なんで翼の生えた人間が……」


こんな無垢で純粋ならさ、いろいろと吹き込めるよね、ムフフ。

でもまぁ、神獣相手にゃやらないけど。


「…………」


そもそも僕は獣っ娘萌えぇ〜な人間じゃないんだよね。

犬耳とか、正直どうでもいいんだよね。


「……と、とりあえず110?」


ムフフするならナチュラルな人間がいいよねぇ。


「……いや、ここは動物愛護団体に電話?」


……そろそろ。


そろそろ、さすがにコイツにツッコミでも入れるかな。


「え〜っと、動物愛護団体の電話番号は……」


「……おい、とりあえず落ち着けショタコぐはああぁぁッ!!」


何故だか、とんでもない瞬発力で真田に殴られた。


「……黙れ変態」


「真田さん……アンタ将来いいボクサーになれるよ……ガクッ」


僕はどっかのジョーよろしく燃え尽きていた。




……この時の僕は気付いていなかったんだけど。


この時点で、実は既にリィゼはいなくなっていた。


そう、僕達の目の前から。














「……あれは幻覚だったのかなぁ?」


夕方、公園からの帰り道。

結局鍵は見つからず、真田が沢山ビリビリしただけで僕達は公園を後にした。


「多分幻覚だろ。そんな翼が生えた人間なんて二次元じゃあるまいし」


僕は内心ヒヤヒヤ。

あの後すぐにリィゼがいなくなったおかげで、真田は幻覚か何かで翼っ娘を見たんだと勘違いをしていた。


「う〜ん……私もしかしてキテるのかなぁ?」


「そうじゃね? あんないっぱい電流流れたなら、脳がおかしくなるのもわけないって」


「……それ、遠回しに私の頭がオカシイって言ってるのよね?」


「……あ、いや……べ、別に?」


うわっ、めっちゃ睨まれとる僕!






「……はぁ」


その時、真田は盛大なため息をついた。


「……本当、何もかも上手くいかないなぁ」


「…………」


僕はその言葉にドキリとした。


そうだ、早く真田の願いを叶えてあげないと。


僕は―――神様なんだから。

キャラ設定のコーナー




ファイルNo.5


眞中貴司(マナカ キシ)


佐薙中学校3年3組、出席番号32番。

身長:170センチ

体重:58キロ

誕生日:4月3日

血液型:A型


佐薙中エロス四天王で、大の熟女好き。

そして本人もそこそこイケメンのため、特に高年齢の方からモテる。


もはやモブキャラ。


親父が大人のおもちゃ的なモノを製造する工場に勤めているためか、家庭内の環境は悪い。


そして眞中自身、機械いじりが得意なためか、よくムフフ方面での使用が目的となる機械を造ったりもしている。


ビリビリさんを造ったのもコイツ。


現在は学校内でのちょっとしたトラブルから記憶がなくなり、病院に入院中。

実はコレ、リアル設定なんですよ。




以下、それほど眞中には関係ないようなどうでもいい話。


最近私神を読み返してみて、真田とコマの性格が若干かぶっている事に気が付いた作者。


まだ本編は16話とそれほど進んでいないため、今からちょっと、いやほんのちょっとだけ手直ししても大丈夫なんじゃないか? と、思ったり思わなかったり。


……なので今後、ちょっとキャラの言い回しとかが変わるかもです。


いや、そんな露骨には変えません。


ただ、ちょっとした仕草や、気持ちの変化なんかに個性をつけようかなと。


そして、コマの出番が相変わらず少ねぇなぁ……と、ストーリー構成が下手な事を改めて反省した作者なのでした。

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