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一部の読む人にとっては、気分を害する内容かもしれません;;

「百合奈が?犯人なのか?」


‐“アレ”の…。


百合奈は言葉では言わなかったもののゆっくり頷いて誠が言った言葉を肯定した。静まり返る2人の座るテーブル席。暫く沈黙が続いたが誠は沈黙を破る。

「どうしてだ?」

出来るだけ彼は優しく目の前に居る“犯人”に声を掛け彼女の返答を待つ。百合奈が黙り込んでも誠は深くは追求しない。百合奈の口から離されるのを待っているのだ。それを悟ったのか百合奈は重たそうな口を開ける。

「私さ、前にフラれたって言ったよね?覚えてる?」

「あぁ…、でもそれが」

「フラれた理由、相手が里佳子の事を好きになったからだよ」

「へっ??」

「里佳子が私とソイツとの関係を終わらせた原因だったんだよ…」

「じゃあ、里佳子が言って相手の元カノって言うのが…」

「そう、私の事。アイツが里佳子と出会わなければ私達が分かれる事も無かったんだよ」

「じゃあ、お前そのこと根に持って…」

「ううん、その事自体は落書きとはまだ直結していない。その後なんだよ。里佳子がその相手と付き合っていた事も、妊娠してたことも…、それから万引きの常習犯って事も知ってた」

「それじゃあ、なんであんな酷い事を??」

「誠君だよ」

「俺??」


突然話の中に飛び出した自分の名前。


「君が里佳子と近付いていくとさ、私が妙に寂しくなるんだ…。詩も須藤君とうまく行っているし…、周りを見ていると自分だけ浮いて感じた…。一体なんで私だけ別れなきゃいけないんだ?って…。ゴメンね。私1人の“ヤキモチ”のせいで…、ごめん、ごめんね。久瀬君」

「………」

いままで自分の事を“誠君”と呼んでいた百合奈が突然“久瀬君”と呼び方を変えた。きっと百合奈自身も後悔しているのだろう。わざわざ自分から名乗り出てくれたのだ。しかも犯人として。黙っていればバレなかったのに…だ。

「感謝するよ、百合奈」

「えっ???」

「俺は里佳子がやっていた万引きをもみ消しにした…。それを百合奈が止めてくれたんだよ?だから俺はお前を責めたりしない」

「でっでも…」

「あーーっ、もう終わり。この話は終わり」

「久瀬君…」

「気持ち悪いよ、その呼び方。じゃあな」

そう言い残すと誠はカバンを手に持ってテーブル席から立ち上がってコーヒーショップを出て行く。その後を百合奈が追いかけるがもうそこに彼の姿はなくなっていた。




里佳子は次の日から学校に来なくなっていた。その次の日も…。里佳子は姿を現すことはなかった。メールを入れても彼女は反応してくれなかった。電話を入れても『お掛けになった電話番号は現在電源が入っていないか、電波の届かないところにあるため掛かりません』と帰ってくるだけだ。

カラーマーカーのあとが微妙に残っている黒板で毎日授業を受けている。あの告白を誠は誰にも話していない。


そして、百合奈とは全くの疎遠となりかけていた。


「起立!礼!」

「ありがとうございました!」

帰りのSTが終わり生徒達が教室を次々出てゆく。教卓で荷物を整理している藤枝を見て誠は彼に近付いた。

「どうした?久瀬」

「先生、ちょっと話を聞きたいんですが」

「おう??」

「少しでいいですから」


廊下を歩きながら誠は質問をすることにした。里佳子の事についてだ。

「沢か…、本当は口止めされていたんだがな…」

「???」

「あいつは…、アメリカの大学に飛び級で飛んだんだよ。あの落書きがあった次の日に」

「えっ??飛び級?アメリカ??」

「いつかお前に話したことが合ったよな?頭がいい奴は世間の目が逃す訳が無いって」

「はいっ…」

「沢が正にそれだったんだ。聞いた話だがあいつの両親の知り合いが沢の存在を知って『それなら是非』とばかりにあいつにテストをさせたんだ。その大学の」

「でもそんな話…」

「本人が内緒にしてと言ったんだ。冬休みの中頃にテストを受けて合格通知が来たのが修学旅行の3日目の話だ」



‐私…、もうちょっとバカに生まれたかったかな?



そう言う事だったのか…。里佳子が修学旅行の4日目に言ったあの言葉は…。

「それで…3年にあがる必要も無くなったんだ。なにせ大学に飛び級出来る権利が出来たからな」



‐私このまま3年上がれるかなぁ。



「………」

「本人は嫌がったんだが…、落書きのあった日に『行きます』ってな。急に」

「…そうだったんだんですか…」

「お前にも秘密にしてたのか、あいつは表向きは『転校にしてくれ』と言っていたから明日言うつもりでいたんだ」



里佳子が俺の傍から消える。そんなこと全く考えたことが無かった。

「………」


‐久瀬君って、里佳子の事どう思っているの?


「………」


‐君は里佳子の事どう思っているの?


「………」



あぁ、そうか。そう言う事か。



俺はあいつの事が好きなんだ。



それでフラれた。情けないな…。本当なら傍に居てやらなければいけなかったのに、俺はあいつの事を拒絶した。


ケータイを開いて、アドレス帳を開いて“沢 里佳子”のアドレスを開く。




削除。



すみませんすみません。


こんな展開にしちゃって;;

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