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就職が、そんなにおかしいんですか!?

先に百合奈が陰になっているような?

修学旅行の行き先:北海道の留寿都。

日程:1月13日から1月16日の3泊4日。代休:修学旅行後2日間。

2日間スキー学校。初日は札幌市の観光、4日目は函館市の観光。

「それで、部屋割りの方なんだが自由に選んで欲しいんだが宿泊先の関係で2つだけ5人部屋になる。

部屋割りを始めてくれ。修学旅行委員」

「はいっ」

藤枝に促がされる様に修学旅行委員の武井木葉と八島義也の2人が教卓に向かって歩き始め黒板の前に立つ。武井の方は教卓の前で手を置き、八島は黒板にホテルの部屋の紙を貼り付ける。

「それじゃ!部屋割り始め!!」

武井の盛大な声を上げると途端に皆が席を立ち上がりあちらこちらで「一緒に泊まろう」やら「ゲームとかやろうな」と各々勝手に話している。誠は誰とも話してはいない。部屋割りなどどうでもいいと考えている。欠伸を見せていると突然お声が掛かった。声の主はもちろん須藤。

「なぁ久瀬君。部屋一緒になろうぜ?」

「あぁ…、別にいいけど」

「久瀬君、俺以外男子で仲良い奴いないと思ってな」

図星。確かに誠に仲の良い男子は須藤くらいしかいない。逆に女子の方は3人ほどいるのだが、

女子と男子とでは一緒に部屋に入ることは出来ない。

「そいじゃ。武井に伝えてくるわ」

そう誠に言い残すと須藤はさっさと武井に部屋割りの班の名前と班長の名前を伝える。

班長は須藤。副班長が誠である。他の班員に戸川と檜山がいる。教卓から戻ると須藤の席の周りには、戸川と檜山が待機していた。誠と話していたところを見て不安になったからだ。

「なぁ、須藤。久瀬と同じ部屋なのか?」

「そうなった。今さっき」

「マジかよ…」

戸川と檜山の声は震えている。不良としての誠に怯えているのだ。ところが須藤は微笑を見せて

2人の誤解を解こうとする。前にも誤解だとは言ったもののやはりピンと来ていないらしい。

「彼と接していれば分かる話さ」

「そりゃ、接しているお前だから分かる話だろ?俺等にはわからん」


一方の里佳子の班の方は百合奈と前沢と後は昼休みブチギレの乱の火付け役の陽菜と唯であった。

ヤケに陽菜と唯は怯えている。昼休みブチギレの乱がまだ忘れられないからだと思う。

「陽菜と唯、聞いてるの?」百合奈が2人に問いかける。

「えっ!??」

「だっ、大丈夫大丈夫…でもないか…」

「?ホエ?班長決めなんだけど里佳子で良いかの採決。副班は私だけど」

「「おっ!里佳子で決まり決まり!!」」

陽菜と唯の適当過ぎる反応。それを見て面白がる前沢と里佳子。百合奈の方は疑問符がいっぱい浮かんでいる。怯えている側の2人は冷や汗をかいている。

「そいじゃ、里佳子が班長と…それじゃ木葉にその旨伝えてくるぜ!」

意気揚々と武井の方に班員と班長を伝えに言った百合奈。その間に前沢が怯えに怯えまくっている

2人の元に近付き、耳元にそっと囁く。

「そんなに怯えなさんな、怯えた顔は女の子にはマイナスなのだぞ?」

それだけ言うと前沢は自分のイスに座り陽菜と唯を一瞥し前の黒板をボーっと見つめる。


「班が決まったらもう解散してくれ」

後ろに置いてあるイスに座ったまま担任が適当な発言をする。適当発言に乗じたクラスメートの何人かは

すぐに立ち上がり教室を出て行き始める。誠もそれに便乗して出て行こうとする。

「おいっ、久瀬」

呼び止めたのは藤枝であった。立ち上がった藤枝は自分の手を誠の肩に置いて職員室まで来るように指示する。恐らく、進路調査の事なのだろう。

「お前、就職希望なんだよな?」

廊下を歩きながら藤枝が尋ねる。子の前出した進路調査票に誠は“就職”に○をしたのだ。

「はいっ。大学は行く気なんてありません」

「お前は、頭が良い。大学に行った方が」

「だから、行く気はありません。頭が良くたって選ぶのは自由じゃないですか」

「そりゃそうだがな。入れ」

職員室に着くなり誠は職員室に招き入れられ藤枝の席に連れてこられ作業机のイスを借りて誠は座らせられる。藤枝がそれを確認すると誠が提出した進路調査票を彼に渡す。

「経済的な理由とかじゃなくてか?」

「確かに、経済事情は人並みよりちょっと下ですけど…」

「じゃあ、奨学金とか借りてでも大学に入ったらどうだ?頭が言い分援助される可能性だって」

「就職が、そんなにおかしいんですか!?」

藤枝に怒鳴る。何度も何度も同じ話をする藤枝に痺れを切らしたからだ。

「おかしくはないが、お前みたいな人材滅多にいないし世間が見逃す訳が無いだろう」



そこを良く考えておけ。




誠が帰途に着くと百合奈、須藤と前沢が待ち伏せをしていた。そして、強制的に連行。

無理矢理連れてこられたのはあのコーヒーショップ。

「ふぅ、温まるねぇ。誠君」

「おいっ、なんで俺はここでコーヒーを啜っているんだ?」

「そりゃよ、俺達もう“友達”だろうからその交流会的な?そうメアド交換!」

「まぁ、里佳子は陸上部忙しいからパスって言われたけどね。里佳子のアドくらい教えれるし」



強制的にメアド交換実施。



「これで、逃げられなくなったぞ?久瀬君??」

「………」


メアドを無理矢理交換された誠は何も言わないままコーヒーを飲み干した。



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