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家庭訪問

テスト休みは、10日間ある。

10日間のテスト休みを終えると待っているのはテスト返却と修学旅行の説明。

1年生は、球技大会、3年生は、就職戦争あるいは受験戦争。


今日はそのテスト休みの3日目。


市橋駅。誠の通う高校の最寄り駅塚口駅から一駅隣。

その駅から通っている生徒の中に里佳子がいる。彼女に呼び出された誠は、ちょっと憂鬱になりかけていた。わざわざ里佳子に呼び出されてしまったのである。駅の改札口を出るとそこで彼女は待っていた。

「誠、こっちこっち」

手を大きく振りキラキラとした笑顔を放っている。眩しいと同時にどこか鬱陶しい。

「やめろよ」

「来てくれたんだ、ちょっと嬉しい」

「お前が無理矢理呼び出したんだろうが」

別に里佳子とのデートとかそういう理由で誠はここにいる訳ではない。

「じゃあ、行こうか、私の家」

別に里佳子の家に、上がりこんであれやこれやする訳でない。誠にしか相談できない事があって里佳子は彼を家に呼び出したのである。その理由は後でよく分かる。

駅からしばらく歩くと住宅街に差し掛かりそこを抜けると今度はマンション群に景色が変わった。

そして、一つのマンションの前で里佳子が立ち止まりそれに応じて誠も止まる。

「ここだよ」

「ここは…」

そこで建てられていたマンションは明らかに新築マンションであった。築は3年らしい。

セキュリティは万全、早速マンションの中に潜入。

「凄いよな、ここ」

「でしょ?」

と、里佳子の顔からは自信ありげな笑顔が浮かばれる。

「じゃあ、私の部屋行くよ?エレベーターへGO!」

「おぅ」

里佳子のテンションが異様に高い、教室と言うか学校では見かけない明るさであった。

エレベーターに乗り込むと彼女は迷いなく6階のボタンを押して高速エレベーターは6階にたどり着く。

「こっちだよ~、早く早く」

「おいっ」

里佳子の足は速い、さすがチーター。誠はすぐに置いてけぼりになる。

彼女の走っていった廊下を歩いていると里佳子がすでにドアの前で待っていた。

「遅いよぉ???」

「お前が速過ぎンだよ」

「プッ、なにそれ???」

苦笑する里佳子、ちなみに彼女の顔を見て誠の顔が赤くなったのはここだけの秘密である。

里佳子の苦笑した顔は結局はしばらくは直らずに黙って彼女は扉を開く。

「お邪魔しまーす」

不意に誠が言い放った言葉、日本人なら必ず一回は言ってしまう言葉だ。

例えそこに家の主がいようがいなかろうが。

「いらっしゃーい」

里佳子が誠の「お邪魔しまーす」に反応し「いらっしゃい」を言い放つとまた里佳子が苦笑する。

「なんか、他人行儀」

「実質他人だろが。俺とお前は」

キレイに整理整頓されているリビングまで続く廊下とリビングルーム。


しかし、そこには誰もいない。


「家族は?」

「2人とも留守。本当におバカな両親だよね。年頃の可愛い可愛い娘を1人置いてけぼりなんて」

「親は、仕事かなんか?」

「うん、なんかIT企業の会合かなんかでお父さんが幹部で、お母さんも幹部の1人って」

「エリート中のエリートじゃないか…」

全く想像できない次元の話。IT企業の幹部ってどんだけ金持ちでどんだけエリートなのだろうか?

「で、今はアメリカ…、嫌今はインドだったかな」

「どんだけだよ。そんなの漫画とかで十分じゃねぇか」

「ホント、嘘みたいな家族構成。それでその嘘みたいな両親の子どもは“非行少女”なんだよね。

嘘みたいな事実の上に更に“嘘みたいな事”を重ねている」

「・・・・・・・」

「そろそろ、本題に移ろうか?」

「あぁ」



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