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ー旅の出発点ー「龍の娘と旅の決意」

登場人物

・リュカ (女・12歳) 主人公で龍と人のハーフ(龍人)

・母   (女・不明) リュカの母(人間)

・村の皆 (不明・〃) リュカと母の住む村の住人達(人間)

・謎の龍人(不明・〃) 森の奥深くで暮らしていた強い龍人。色々と謎が深い人物である。

ー旅の出発当日1時間前

思い出と共に黒く焼き焦げてボロボロとなった家…今までありがとう。そう言って私は家を背に故郷を去った。

ー半年前(朝)

私は小さな村の小さな薬屋へ向かっていつも通り歩いていた。

そしていつも通り通る人も店の人も皆、私を冷たい目で見てくる。

きっと私が龍人だからなのだろう。黒い角に尻尾、強い魔力と身体能力。でも違いはそれだけだ。なのに何故私を皆嫌うんだろう…

まぁ、でも大丈夫!

だって私には母がいるから、待ってるから。

私は一階建ての小さな家のドアを開けて、すぐに母のベッドへ向かう。

母は一年前から病にかかり寝たきりだ。なのでいつも痛み止めの薬を買いに行っている。

「お母さん。帰ったよ。体調大丈夫?」

「………」

いつもなら「うん。いつもありがとうね。」と弱い声ながらも温もりのある優しい声が聞こえる。

でも今日は聞こえない。

(寝てるのかな?)

母がこの時間になっても起きていないのは珍しいことだが、まぁそんなときもあるだろう。

…寝てるなら魔法の練習に行こうかな。

私は母に小さいころから言われていた。

「あなたは魔力も身体能力も凄いけど、自分の思うように、使うべきときに使えなければ意味がない。そして使うべきときとは守るものがある時のこと…絶対に復讐のために使わないようにね…ということで!今から練習してしっかり使えるようになっておきましょう!」

と、だから私は毎日欠かさず練習を行ってきた。

今日も練習をまだしていなかったのですることにした。

練習は村でやると危険なので森でやることにしている。

森は無駄に遠いので面倒くさいが仕方がない。

ー半年前~森にて~(昼)

私は風魔法が好きなので風魔法を中心的に練習してきた。何故風魔法が好きなのかはよくわからないが…

まぁそんなことはどうでも良いだろう。

今回練習するのは風魔法と火魔法の複合魔法"トルネード"と"ファイアーボール"を組み合わせた"ファイアデビル"だ。

相手を斬り刻みつつ、燃やすことまでできるこの魔法はなんかかっこいいので練習することにした。

「ファイアデビル!!」

ー巨大な竜巻に火が燃え移った瞬間竜巻は赤へと変貌し、ただでさえ凄い迫力がさらに増した。

リュカはそれに圧倒されると共に、火が木に燃え移っていることに気づいた。

まずい!!どうしよどうしよ、あっ"ファイアデビル"よりもさらに強い風魔法で吹き飛ばせばいいんだ!

…私が集中すると瞳の中に刻まれた謎の模様が赤色に光った。指の先には小さな竜巻…それを勢いよく"ファイアデビル"に向かって放つ。すると一瞬にして、"ファイアデビル"は消えた。しかしそれと一緒に森の木が数十本犠牲となった。

(あぁ…私またなんかやっちゃいました?)

切りが良いので家へ帰ることにした。

ー半年前~村へ帰還~(夕方)

家へ帰ると母はまだ寝ていた。おかしい。帰ってから何時間経ったと思ってるんだ。母は昨日から起きていないと考えるとどう考えてもおかしい。母を起こすことにした。

「お母さん?お母さん?お母さん!」

おかしい。

何度揺らしても起きない………

私はあることに気づいた。

…息、してない…?それに体も冷たい。

私はすぐに村の医師の元へ向かい、息をしてないことを伝える。

しかし「もう、遅い」と言われた。 

待ってください!と引き留めたが話もしてくれなかった。冷たい目だ。こんな時までそんな目をするのか?

その後も何度も話を聞いてほしいと言ったが黙ったままだ。

まるでハエを見ているかのように私を見てくる。

くそ……

ー半年前~家に帰る~(夜)

帰ってから私は泣いた。この調子なら母を連れていっても、追い出されるだけだろうと確信したから。まだ母が死んだと信じたくなかったのに……

泣いた、とにかく泣いた。

そして森の近くにある丘に静かに埋葬した。

ー母の死から1週間後

私はただただ悲しかった。今まで毎日やってきた練習もどうでもよくなっていた。食欲もわかなかった。何もかも今の私にはきつかった。何よりも心のよりどころのないこの状況で、村の皆が私を罵倒してくることが一番きつかった。石を投げられたり、とにかく死ね、消えろなどの言葉を浴びせられたり…

今までは母の顔があったから私は冷たい目で見られるだけで済んできた。

でも今は違う。

母はいない。皆の罵倒はまるで母がいないという現実を突きつけているかのようで…

もう……耐えられそうになかった…

ー母の死から二週間後

ある言葉が聞こえた。

「あの汚らわしい龍人の親を殺したのはやはり正解だったな。」

そんなが言葉が聞こえた。その瞬間、母への悲しみは村の人間への怒りへ変わった。私は自分の魔力なら村の人間を殺せるという確信がある。だから…

そんなとき母の言葉が脳裏に過ぎる。使うべきときに使いなさい、復讐に使ってはいけません。と、

もしかしたら母は自分が殺されることが分かっていたのかもしれない。そして、それに私が怒ることも…

(お母さん、ごめん…)

それからも村の人間の罵倒は続いた。そして母の死から半年が過ぎた。

ー旅の出発前日の朝(母の死から半年後)

朝起きると辺りは真っ赤だった。そして暑くて焦げ臭かった。ここはどこだ。一番に思ったのはそれだった。でもすぐに理解した。ここは私の家で燃やされたんだ…思い出が全部消されたんだ、と…それと同時に自分には居場所がないということを改めて思い知らされた。今、家は燃えていて火に囲まれている。

でも私は火傷1つついていない。

無傷だ。

おかしい。

こんなの普通の人間じゃない。

ただの人の皮を被った"化け物"だ。私は人間とは違う。龍人という化け物の種族でしかない。だから母も殺された。だって化け物の仲間なのだから…

「お母さんごめんなさい。本当に…ごめんなさい…私なんかといたせいで…ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…

私が人だったらこんなことにはならなかった。私が私が私が私が…私がぁあ!…こんなだから…そぅ…そうだ…私がここで死ねば……そしたら……そし…たら…」

そんなことを考えているにもかかわらず、体というのは正直なもので気づけば家の裏口から逃げていた。

そして村から逃げた。逃げて逃げて逃げて逃げまくった。

気づくと森の方まで来ていた。はぁはぁと息を切らしながら一度、私は自分を落ち着かせようとした。

だが、ショックが大きかったのかまだ気持ちはざわついていた。

その状態でこれからどこへ逃げようかと考える。

そうして考えていると思い出した。

あの村のある伝承を。

それは森の奥深くに強い龍人が住んでいたとされる家があり、そこは呪われているため、近づくと呪われると言ったものだった。何を思ったのか私はそこなら大丈夫だと考えた。呪われないと言う確証があったからだ。自分でも何故そう思ったのかは分からない。でもそこへ向かうことにした。

ー森の入り口にて

(結構雰囲気あるな…)

入り口は異様に暗く、奥が見えない。

止まっていてもしょうがないので歩き始めた。森と聞いたので家を探す気だったが案外道が整備されていてすぐ見つかった。ツタが絡まっている二階建ての家。すぐ近くに小川があり、花が咲いている。そして光が照っていて、とても綺麗なところだった。

(入り口はあんなだったのに…想像と違うな…)

さっきまでの気持ちとは裏腹に森に入ってからというもの何故か気持ちが落ち着いていた。例えるのであれば実家のような安心感と言うやつだろうか。

と言っても、実家から離れたばかりなのだが…

トントンとノックをするが反応はない。家の外見を見たときから分かってはいたが、やはり誰もいないのだろう。

「誰も住んでないなら、もう入っていいよね。」

ー家の中に入る

「おじゃましまぁす」

家の中に入るとまず、机と椅子があった。そしてあるものが置いてあった。それは一冊の本だ。

「これは…」

不思議だ。私は本が好きな訳ではないのにこの本を見たいと思っている。気づけば本を開いていた。

ー「来たるべき君へ」ー

君がこの本を見ているとき、私はきっといないだろう。だからこの本を書いた。きっと君は今、龍人であることを憎らしく思っているだろう。だから君に良いことを教えよう。それは龍人の特性(角、尻尾、強力な魔力)を消す薬の存在だ。ただ、これには材料がいる。その材料は全部で20個だ。

材料の場所は………以下の通りだ。私は君のことを応援しているよ。頑張ってくれ。

ー本を閉じる

これがあれば…私は…今までのことが走馬灯のように流れてくる。この半年間だったけど、私にとってどれだけ辛かったことか…でもこの薬があれば私は人として皆といられる。受け入れられる。そうと決まれば明日から旅に出よう。お金はないが、この半年間で魔法をうまく利用して、生きるすべを身につけてきたから大丈夫だ。だから…天国にいる母が安心して私を見れるように…人となるために…材料を探す!

ーその夜

家の外見があんなだったので中はホコリまみれと思っていたが、魔法がかかっているのか意外と綺麗だった。そしてその夜。もう一度今ままでのことをゆっくりと思い出しながらリュカは静かに涙し眠りに着いた。

ー旅の出発当日1時間前

旅に出る前に一度母と家に挨拶していきたいので、村を立ち寄った。村の皆は祭りをあげていた。それほど私がいなくなったのは嬉しかったのだろう。

昨日の夜泣いたのでもう泣かないがやはり悲しい気持ちはある。

…そんなことはどうでも良いのだ。

私は一歩一歩ゆっくりとした足取りで家へ向かった。

思い出と共に黒く焼き焦げてボロボロとなった家…今までありがとう。そう言って私は家を背に村を去った。次に母を埋葬している丘へ向かった。そして母に『ありがとう』と『行ってきます』を伝えた。これでもう悔いはない。

さぁ…旅に出よう。

目指すは…

「水の都 アクリス」

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