表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/12

第2話「これって異世界転生だよね?」②

 ――何いってんの?

 てのが、みんなの心の声だろう。


 その言葉の意味を噛み砕くのに、いったいどれだけの時間が必要だろうか?

 もはや、子供の高圧的な言葉に違和感を抱く余裕なんてない。


 まぁ、俺は正直マジか! と良い意味で胸がざわついた。

 異世界転生といえばアニメやライトノベルでは定番のアレだ。


 知らないこともない、むしろ良く知っている方だ。

 今、俺はその異世界転生を追体験できるらしい。


 てことはやっぱり夢? いや、そんな感じはしないけど……。


 また耳打ちをされた右の子供が口を開く。


「貴様らのようなゴミは焼却炉へ直行でも良かったのだが、特別にチャンスを与えよう」


「チャンス?」


 俺からようやく出た言葉だ。


 耳打ちをされた子供が直後に首を傾げると、左の子供に耳打ちをする。

 少し考えた左の子供は軽く微笑むと、右の子供へ耳打ちを返した。

 

「何をヒソヒソと話してるんだ?」


 近くにいた男が訊ねると、右の子供が肩を震わせながら一人の老人を指差した。


「あのジジイ。この中で一番禿げている。ウケる」


「は、はぁ……」


 と、老人は声を出すことで精一杯みたいだ。無理もない。

 この状況で冗談を返せる人間がこの中にどれだけいるだろう?

 いないな。


 すると左の子供がようやく口を開いた。


「皆さん。今回は同時に沢山の人数で死んで頂き、誠にありがとう御座います」


 なんだ、左の子供は礼儀正しいぞ。話の内容はブッ飛んでるけど。


「皆さんが思われている通り、皆さんは東京スカイツリーの暴発に巻き込まれてお亡くなりになられました、2624人の異世界転生者です」


 そんなに死んだのか!? あの爆発で。メチャクチャだ……。

 しかも2624人の異世界転生って、アニメやラノベでも見たことがない人数だぞ。


 俺の感覚では異常だ……。


「そう、異常事態です」


 俺の目を見ながらそう言われた。やっぱり、心の中が筒抜けだ。

 この子達の前では隠し事なんて出来やしない。ていうか隠すようなことなんてないけど。


「とはいえ、今回はこれくらいの人数は受け入れるつもりでしたので、想定内といえば想定内なのです」


 ようやく勇気ある一人の若い男が前へ出た。

 辞めとけ、アイツ等は危険だぞ! という俺の視線なんて、男にはまるで伝わらない。

 心を読まれる以上の何かがあるかも知れない。


「これからどうなる? 異世界転生ってなんだ?」


「異世界転生とは……」


「貴様らは新しい世界で生きる。以上」


 右の子供が話を遮ると、左の子供は少し不満そうな表情を浮かべ再び話し始めた。


「これより皆さんには、イースターエッグ選定の儀を行って頂きます。この宮殿に隠されたエッグを見つけ出すのです。それが異世界での皆さんを救う力になる……かも知れません」


 ニコリと笑うと、双子は向かい合い互いの手の平を合わせた。

 そして詠唱を始めると、地面が振動を始める……。


 また地面が揺れた!

 床のタイルの継ぎ目が解ける。まともに立つのがやっとだ。


 再び響めきや悲鳴が起こる中、大聖堂のような空間がトランスフォームを始めた。


 俺の目の前の床が突然上に伸びて壁ができる。今度は逆に後ろの床が降下し、俺はミツキの手を掴んで引き寄せた。


 落ちたらひとたまりもない。

 その間、翻弄される人々が散り散りになる。


「みんな離れるな!」


 それを見た父さんの言葉を聞いて、俺達は互いに身を寄せ合い、固くいスクラムを組んだ。

 絶対離すもんか!


 俺達が立っている床は、旋回や回転、上昇しようやく動きがとまる。


 ゆっくりと目を開き、辺を見ると俺は思わず息を飲んだ。


 緑の臭いがした。

 鳥のさえずりや、水面の揺れる音が聞こえる。


 幾層にも歪なフロアが出来上がり、草木が実り、水が溢れ泉となっているフロアが見えた。

 縦横に果てしなく広がる幻想的な迷宮がそこにあったのだ。


「何だコレ……」


 俺は思わずそう言葉を漏らした。


 蠢く地面によって大勢いた人々――いや、転生者達が各フロアに分散している。

 はぐれることのないよう固まっていた俺達は、双子の次の言葉を待った。


「さぁ、イースターエッグを見つけるのです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ