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デリヘル

 ピンポーン。

 チャイムが鳴り、予約した女が来る。思った通り、ネットに掲載されていた写真とは違う女。

「年齢は?」

「21」

 たとえサバをよんでいても、歩よりずっと若い女だった。その張りのある肌がそそる。

「どうしたんですか? 何かあったんですか?」孝一の身体を洗いながら、女は言った。

「えっ? ああっ、すいません……」

 孝一は女の裸に反応しない下半身を情けなく思った。

「いや、そうじゃなくって」女は優しく微笑んだ。

「なんか辛そうな顔してるから」

 なんでだろう。なんで俺は辛いんだろう。孝一は不思議に思う。若くて美しい女を妻にし、平穏な生活をおくっていると言うのに。

 でもその答えは分かっている。孝一は平穏で、満ち足りて、どこにも行き場のない、退屈な日々にすっかり飽きていたのだ。

 女は余計なことを言うまいと事務的にベッドまで孝一を導いてくれた。その気遣いがありがたかった。

 女を抱き寄せると、香水の良い匂いがした。歩は香水なんてつけたりはしない。

 胸や尻にしっかりとした膨らみがある。歩にはないものだ。

「アアッ、ハアッ……アッ、アアッ」

 舐めると、触ると、抱きしめると、吐息を漏らす。歩は演技でもそんな反応はしない。

 歩とは違うそれら全てが、不義を働く孝一を責めているようだった。でもそれでよかった。孝一の下半身はしっかりと屹立し、唾液まみれの女の口の中で行き果てた。

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