80. 2年A組の放課後
一日の授業が終了したばかりの2年A組。教室にはしばらく友達との会話を楽しむ生徒もいれば、すぐに部活へと向かう生徒もいた。
その中でいち早く帰宅の準備を済ませた三玖は、南美の席へ向かった。教室の後ろにいた子猫のミカも三玖の後についていった。
「ねえ、今日は少し話したいことがあるんだけど、この後時間あるかしら?」
「えっ? 生徒会はいいの?」
「さっき常磐さんから連絡があって。放課後生徒会室を使わせてほしいって。常磐さんのお願いだから……私達断ることはできないの。」
「でも……常磐さんはそんなに融通が利かない娘じゃないと思うんだけどな。」
校内で常磐さんと過ごす時間が一番長いミカは、他の生徒とは常磐さんに対するイメージがまったく違うみたいだった。
「あら、そうかしら?」
「でも、なんなんだろう? 常磐さんの用事って? うーん……。だったら三玖の家でってのはどう?」
「えっ? 私の家?」
「うん。三玖の家ってなんかすごく立派だって聞いて。私行ったことがないし、一度お伺いしてみたいなと思って。」
「私も行ってみたいな。」
三玖と南美が話してると、少し遅れて蛍も南美の席に合流した。
「そう? まあ、あれを立派だといえば立派といえなくないのかもしれないけど……。でも……」
「もしかして今日は都合悪そう? だったら……」
「ごめんなさい。私個人だったら、あなた達のことぜんぜん歓迎なんだけど……実は私の家に入るには事前に入館許可が必要になるの?」
「入館許可?」
南美と蛍は、他人の自宅を訪問するにはあまりにふさわしくない単語に、思わず口をぽかんと開いた。
「そう。別にあなた達を家に入れたくないからウソをついてるわけじゃないのよ。」
「いやいや、ウソだなんて思わないよ。」
「私も……」
「私の家に入るには、最低でもだいたい2週間か3週間前には入館許可を申請しておく必要があるの。でも、それでも申請が許可されることはほとんどないんだけど……。私自身の特別なイベント、たとえば私の誕生パーティを開くとか、遠方から知り合いが遊びに来るとか、そんな用事では、まず許可はおりないの。」
「えーっ!?」
「それに、私が家に入るにも家族専用の入館許可証が必要になるの。もし私が入館許可証を忘れたりしたら、家族であろうが入館不可になってしまうの。」
「そんな……。でも、なんでそんなに厳しくしてるの?」
「おそらく私の家族の仕事の関係でしょうね。」
「仕事の関係って?」
「さあ。」
「さあ?」
「実はね、私家族がどんな仕事をしてるのか、両親から一切知らされてないの。だから、本当はあまりわかってないの。でも、私は今はそれでいいと思っている。だって、今の私の生活には必要がないものだし、それに必要な時がきたら、いやでも知ることになるでしょうしね。……でも、誤解しないでほしいの。だからといって、別に人様にいえない裏社会の稼業をしてるとか絶対にそういうのじゃないからね。」
「……ふーん。三玖は三玖で大変なんだね。」
「色々と面倒くさくてごめんなさいね。でも……あなた達はいつか必ず私の家に招待するから。」
「うん。ありがとう。楽しみにしてるよ。……うーん。だったらどうしよう? ……じゃあ今日は蛍の家でする?」
「うん。私の家だったら別にいいけど。」
「よし! そしたら今から蛍の家に向かおう。ミカ、行くよ。」
「うん!」
それから、南美はさっさと帰宅の準備を済ますと、蛍達とともに2年A組の教室を後にした。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
昼休みが終わって、常磐さんに強制的に2年D組の教室に戻されたひばり達は、常磐さんから授業の合間に5色の魔法少女のことを話すことも、メグのことを話すことも一切禁止にされていた。ひばりは授業中も5色の魔法少女のことを話したくてうずうずし、プル達もメグのことをみんなで話したかったが、ひばりに聞いても、多分何もわかってないだろうし、余計に混乱する可能性が高かったので、後で常磐さんからの説明を待つことにした。
そして午後の授業が終了に差し迫った頃、ひばりのスマホに常磐さんから着信があった。
「ねえ、常磐さんから授業が終わったら生徒会室に集まってってさ。」
「えっ? ひばり、常磐さんと連絡先交換してるの?」
「あれ? そういやなんで常磐さん私の連絡先知ってるんだろう?」
それから一日の授業が終了し、放課後、ひばり達は生徒会室へと向かった。
ひばり達が生徒会室に入ると、常磐さんもメグも約束通り教室にいたが、二人の様子は明らかにおかしかった。常磐さんはなぜか恍惚の表情を浮かべうっとりしてるし、一方メグは逆に顔面蒼白で何かにショックを受けているのがありありの様子だった。
「やあ、ようこそ。よく来てくれたね。」
常磐さんがひばり達に気づくと、四人を温かく生徒会室に迎え入れた。
「うん。……ところで、メグ一体どうしたの?」
「…………。」
メグはショックのためか、下を向いたままひばりの問いに一切反応しなかった。
「ああ。……実は困ったことになってしまってね。これを見てもらえるかい?」
そう言うと、常磐さんは緑色のフィロソファストーン(PS)をポケットから取り出すと、四人に見せた。
「あれ? 何これ?」
ひばり達がPSを見ると、PSの輝きがおかしくなっていた。PSが、なぜか警報みたいにピコピコと点滅している。まるで中の電池が切れかけてるかのようだった。
「いやー、主様から6色の魔法少女のことを聞いて、先ほど試しにこのフィロソファストーンに電気を充ててみたんだけど、そしたらこういう状態になってしまってね。」
本編の新作としての初投稿は1月1日から毎日8:00に投稿を予定しております。
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