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魔法少女っているよね early access version  作者: ににん(ni-ning)
第5章 子犬の魔法少女と子猫の魔法少女
76/81

新1話 まよう少女とまどう少女(予告)

本話、新規投稿予定の

「魔法少女いるよね?ね!~Magnificent Girl is NoWHere~」の第1話です。

2026年1月1日より毎日朝8:00に投稿します。

 穏やかで木漏れ日の心地よいある日の午後、ありふれた郊外の街中を若い夫婦が幼い子供を連れて歩いている。


 父親の手にはエコバッグが握られているので、おそらくスーパーかどこか近所での買い物帰りなのだろう。父親の背には、かわいらしい赤ん坊がスースーと気持ちよさそうな寝息を立てている。母親は、見るからに活発そうな幼い少女の手をしっかりと繋ぎながら、呑気な笑みを浮かべている。少女も大好きな家族に囲まれて幸せいっぱいな様子である。


 そんな少女だが、わずか数年前この世に生を受けた時、いざ目を開けると、多くの赤ん坊と同様に、見るものすべてが意味不明で不安しか感じなかった。少女は思った。なぜ自分はこの世界に生まれてきたのだろう? 


 しかし、彼女自身がこの世界を構成する一部となって、同じ刻を積み重ねていくうちに、自分が属しているこの世界というものがいかに素晴らしいものであるのか、それが徐々に彼女の中で鮮明になっていくと、今では周りのすべてが自分の味方で、見るものすべてが愛おしく感じられるようになった。この世界に生まれてきた意味はいまだによくわからないが、そんなことはもうどうでもよくなって、少女は今この素晴らしい世界で皆と生きる喜びを謳歌していた。


 まあ、実はそんなことはどうでもいいのだが、現在少女の元気と好奇心の容量は常に100%の状態で、両親が目を離すと、その隙にすぐどこかに飛んでいってしまっては、しょーもない問題を起こしてしまうことがあったので、外に出かける時は、両親は注意して少女の手を強く握っていなければならなかった。


 だが――


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「うりゃー!」

 目の前にいつも見覚えの景色が近づくと、テンションがMAXになった少女は、母親の手を強引に振りほどき、意味のない叫び声とともに一人前へと駆け出した。


 このどうでもいい一歩が、少女にとって人生を変えるくらいの大きな一歩になるとは、この時は誰にもわからなかった。


――ここを曲がったら私のうち。私が一番好きなとこ。

 少女は喜び勇んだまま通りを直角に曲がった。


 そして、それはまさに少女が通りを曲がり終えたその時だった。


 少女は突然今まで経験したことのないゾッとする寒気を全身に受けると、恐怖のあまり思わず目をつぶった。その後、少女は恐ろしい寒気が消え去るまで、その場にじっとしていたが、おぞましさを感じさせる寒気はいつまでも消える気配がなかった。


 ――少女は勇気を振り絞って両目をゆっくりと開いてみた。


「えっ? なんで?」

 そこには少女の大好きな家も近所のワンちゃんも何もなかった。


 その代わり、少女の眼前にはまったく異質で見たことのない奇妙な景色が広がっていた。


 それまで少女が暮らしていた、生の喜びに満ちあふれ見るものすべてが鮮やかな彩りに装飾された世界は、ほんの目を離した隙に、それとは対照的な、何もが無機質で殺伐として生命の息吹が感じられない一切の彩りが排除された灰色の世界へと変貌していた。


 少女は突然それまで住んでいた世界から一方的に拒絶されたみたいに感じた。


 ――あれ? パパ達が来ない。

 少女は、自分のすぐ後ろを歩いていたはずのパパとママが、いつまで経ってもこっちに来ないことに気がついた。


 少女は早く両親の元に戻ろうと今来た道を急いで引き返した。

 少女が通りを曲がると、そこにはいるはずの両親も妹の姿もなかった。


 ――そんな……。パパもママもうちに向かってたはず。


 それから、少女は必死になって両親を捜した。


 少女は不安と怖さで泣きたくてしょうがなかったが、今の少女にそんなことをしてる余裕はなかった。だがどこを歩いても、両親はおろか一切の生命と出会わず、少女の前には灰色の景色だけが延々と続いた。


 ――もしかして……私がいつもパパとママの言うことを聞かないから……パパとママに捨てられたのかも……


 少女はその後もあちこち歩き回ったが、すでに披露困憊で、ついにその場から一歩も動けなくなってしまった。そして、心もそれ以上耐えられなくなると、とうとう大声で泣き出してしまった。


「わーーん! わーーん!」


 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「――えっ、何? ……これって、もしかして女の子の声?」


 魔法少女が敵との戦闘に向かって走っていると、遠くからなぜか女の子の泣き声のようなものが聞こえてきた。彼女は何かの空耳だと思いつつも、一応泣き声がする方へ駆けつけてみた。すると、そこには本当に幼い少女がギャンギャン泣いていた。


「うっそー? 本当にいるし! えっ? でも……なんでこんなところに女の子がいるわけ?」

 魔法少女は、この世界にいるはずのない子供が本当にいるのでビックリした。


 彼女は魔法少女としての本来の任務があったが、それはひとまず後回しすることにして、不思議に思いながらも、まずは少女が泣き止んでくれるよう必死にあやすことから始めた。


「――??」

 少女はとにかく泣くのに一生懸命で、初めの頃は魔法少女の慌てふためいた声など少女の耳にまったく届いてなかった。だが泣くのに疲れて、魔法少女のやさしい声が徐々に聞こえてくると、少し気持ちが落ち着いたのか、涙で閉じ切ったまぶたをゆっくりと開けてみた。


「大丈夫?」

 少女の前には、どこかで見たことのある制服を着た自分よりいくつも年上のお姉ちゃんが、心配そうな顔で少女を見つめていた。


「お姉ちゃん……誰?」


 ――えっ? 誰かって聞きたいのはこっちの方なんだけど……


「?」


 ――でも……この子、どうみても普通の女の子にしか見えないし。……だったら……もしかするとこの子。よくわかんないけど、間違えてこっちの世界に飛ばされちゃったとか? ……でも、そんなことってあるんだろうか?


「??」


 ――でも、それ以外特に考えられないしな。うーん。この子も私と同じ世界の人間なんだとしたら、私、この子に自分のことなんて説明しようか? ……面倒だし、まんま魔法少女だって言っちゃう? これくらいの年頃の女の子だったら素直に信じてくれるかもしれないし。……でも、こんないたいけな女の子に、コスプレ好きのイタイお姉ちゃんだなんて思われたらどうしよう? なんかいやだなーそれは。


「???」


「――あっ! ごめん。お姉ちゃんのことだよね? お姉ちゃんは至って普通の高校生なんだよ。……けど、こっちでは一応魔法少女……だったりして……」


「えっ? 魔法少女?」


 彼女が5色の魔法少女であるのは、この世界にいる時の限定した話であって、少女と同じ世界にいる時は、彼女もただの高校生でしかなく、振り返ってみると、今まで「私は魔法少女です。」なんて自己紹介もしたことがなかったので、改めて自分で言ってみてなぜかすごく気恥ずかしい気持ちになった。それから少女に不思議そうにまじまじと見られると、合ってるしそれ以外他に説明のしようもないんだけど……でも、言うにしても、もう少し言葉を選んで言うべきだったと反省した。


「――あっ!」

 少女はその時彼女の制服が最近TVで観るようになったアニメ「5色の魔法少女」と同じなのに気がついた。


「な何!?」

「お姉ちゃん、魔法少女なの?」

「えっ? う、うん。まあそうだけど……」

「魔法少女って本当にいるの?」

「えっ? うーん、私もよくわかってないんだけど……実はいるんだよね。ほら。」

 魔法少女は照れくさそうにさっとポーズを決めてみせた。


「わー☆☆☆」

 少女の目はぱっと光り輝くと、魔法少女に対し羨望の眼差しを送った。

現在25話+αくらいまで仕上がってます。予定通り1月1日8:00から連載開始しますので、よろしくお願い致します。

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