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魔法少女っているよね ☆初期版*  作者: ににん(ni-ning)
第3章 二回目の異変と謎の子犬
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44 (3-12) イエローキティ VS 現場猫ロボ班

 話し合いで平和的に解決をしようという流れから一転して、急にロボット達の態度が好戦的になったため、敵の来襲に備えて戦闘態勢に入ったマジカルキティ達だったが、頭に一本の赤い線が入った現場猫ロボットが号令をかけると、一体の現場猫ロボットが突然蛍目がけて突進してきた。


「えー! なんで私?」


 蛍は、なぜか自分に向かってまっすぐに襲い掛かってきた現場猫ロボットにビックリしながらも、それでもロボットの突進を難なくかわした。すると、残りの二体のロボット達が続けざまに蛍に襲い掛かってきた。


「えー! また私?」


 三体のロボット達は、連係のとれた動きで効率よく左右に動き回り蛍を包囲すると、時には左手のドリルやハンマーなどを蛍目がけて発射したり、蛍に向かって突進したりしてきたが、その度に蛍は、ハンマー攻撃を片手で軽く跳ね返したり、ピョンと空中にジャンプしたりしてロボット達の攻撃をかわしていた。


 そして、蛍以外の二人のマジカルキティはというと、三玖は腕を組みながら落ち着いた様子で、南美は蛍の活躍に少し興奮ぎみに拳を握りしめながら、蛍とロボット達との戦闘を傍らで見守っていた。ところで南美と三玖の二人は、三体のロボット達の相手を蛍一人に任せてしまってもいいのだろうか? それどころか、なぜ蛍の元に手助けにいこうともせず、蛍の戦闘をただただ見学しているだけなのだろうか? 実はそれがなぜかというと、南美と三玖の二人共、マジカルキティとなった自分達が、その魔法の力も、その身体能力も含めて、信じられないほどの途方もない能力を手に入れてしまったことを心身で認識しており、そして自分達マジカルキティとロボット達との間の、あまりにもかけ離れた実力の差にすでに気づいていたからであった。そのため、二人は蛍の手助けをする必要性をまったく感じなかったので、蛍とロボット達の動きをまずは観察することにしたのである。そして、実はそれは蛍も同様だった。


 蛍はビクビクしつつ、三体のロボット達の攻撃を次々にピョンピョンとかわしながらも、自分とロボット達との明白な実力差には最初から気づいており、もし自分が反撃してしまったら、魔法を使っても直接打撃で反撃しても、ほんの軽い攻撃一つで簡単にロボット達を破壊できることがわかっていたので、逆にその加減が難しく、どう対処していいのか困っていたのである。


 それでは逆に、ロボット達はなぜ蛍に目標を絞って攻撃をしかけてきたのだろうか? それは、ロボット達も南美達マジカルキティを見た時に、三人の中で蛍が一番弱そうだと判断し、まずは弱い奴から順番に片づけて、敵の戦意を喪失させていこうと判断したためであった。確かに五色の魔法子猫達の中だと、もしかするとイエローキティの蛍は一番弱いのかもしれない。そういう意味では、ロボット達の判断は間違っていないのかもしれない。だが、それは五色の魔法少女という規格外の実力者の中に限っただけの話である。


 蛍は、ロボット達の攻撃をかわしながら、もうしょうがないイチかバチかだと思って、空中で右手を広げると、蛍の右手からはイエローキティの武器であるシストラムが出現した。蛍は右手でシストラムをしっかりと握ると、空中に大きく振りかぶった。


「キロライト!」


 蛍はそう叫んで、シストラムの狙いを三体のロボットに向け、イエローキティのもつ最弱魔法を放った。シストラムから解き放たれた黄色い閃光は、先端で三本に枝分かれすると、そのまま三体のロボットに直撃した。


 ボゴン!!!


 蛍のキロライトが直撃し、ロボット達の体の周りが一瞬白く光り輝いたかと思うと、その直後、強烈な破裂音とともに、ロボット達は少し後方に退いた。そしてロボット達は、体の節々からプスプスと弱い煙を吐きながら、体中の合金のパーツの表面が黒く焦げて、ピクピクとしてその場から動かなくなった。


 蛍は、そんなロボット達の様子を見て、これでもかなり手加減して魔法を放ったはずなのに、少しやりすぎてしまったと魔法を放ったことを深く後悔した。


 だが、少しすると、ロボット達はまるで何事もなかったかのように、ゆっくりと活動を再開し始めると、


「ガシャガシャガシャ」


 と余裕の笑みを浮かべた。ロボット達は、蛍の魔法を全身に浴びて、一瞬感電してしまったようだが、なぜか理由はわからないが、ダメージ自体はほとんど受けていないようだった。すると、唯一戦闘に参加していなかった現場猫ロボット班長が、三体の現場猫ロボット達の前に歩み出ると、


「ガシャガシャガシャ。俺達がお前達との戦闘に備えて何もしてこなかったとでも思ったか? 前にここに来た14班の奴が、お前の雷の魔法にやられたと聞いていたので、俺達四体は全員体中に耐電コーティングをばっちりと施工済だ。それに俺達28班は前の土木工事班の奴とは違って電気工事班だ。お前の雷魔法なんて怖くもなんともないぜ。」

 と、ガシャガシャと得意げに語った。


「えっ?」

 蛍は、班長の発言に対して、驚いた表情で反応した。


「今さら謝っても許してやらんぞ。俺は仲間にケンカを売ってきた奴を決して許さない。それが俺だ。」

 班長は、蛍の驚いた顔を見て、ますます得意になっていた。


(よかった。)

 先にケンカをふっかけてきたのはロボット達の方だったのだが…。だが、実は蛍も、内心ではロボット達が全員無事のようでホッとしていた。


 蛍と現場猫ロボット達の様子を光の塔のすぐそばで観察していた(それは、すぐにでもガイアに逃げられるからである。)クスは、第28班現場猫ロボット班が魔法子猫の攻撃を受けても平気だったので


(あれ? これはもしかするとワンチャンあるかも?)

 などとは、露とも思わなかった。


 相手はあの伝説の五色の魔法子猫。もし五人が揃えば、惑星の一つを救ってくれるといわれるほどの実力者である。クスは、自分に対してだけでなく、あの伝説の五色の魔法子猫達に対しても舐めきった態度をとり続けている第28班の連中を見つめながら、一人思いつめていた。


(これだから都市開発部門のロボットはキライだ。奴らは単細胞で、自分に与えられた業務のことよりも、常に自分のつまらないプライドなんかを優先させやがる。しかも、それがかっこいいことだなどと誤解している。都市開発部門のトップからしてああなのだから、末端のロボット共もトップの姿勢を見習ってしまうのだ。あの連中、今日研究所に来た時も、現場で働いているのを見て労いの声を掛けたのに、誰一人返事すらしない。無視だ。むしろ私を見て、明らかに見下しているように見えた。それが私一人だけに対してならまだ我慢もできるが、ネコ型ロボ実現室にいる職員全員に対しても同様なんだから我慢ならん。今日この連中を連れて行くと決まった時は、こいつら果たして私の命令を聞いてくれるのだろうかと疑問に思っていたが、やはり考える限り最悪の結末になってしまった。)


 ここで、この現場猫ロボット第28班が一体どこから来たのか、その説明をしておこう。実はこの第14班とか第28班というのは、惑星ガイアの各建設現場で働くロボット達に与えられた班番号のことであり、彼等第28班の現場というのが、現在大規模拡張工事が絶賛実施中の「光の塔異次元転送技術応用総合研究所」の第124期開発プロジェクトなのであった。そして、光の塔を伝って地球にいる子猫を捕獲するにあたって、戦争がないため、純粋な戦闘行為を行うロボットがいない現在のガイアにとって、とりあえず身近にいる力だけはあるロボットでも派遣しておこうかということで、研究所内で働いていた都市開発部門の現場猫ロボット達が、一時的な戦力として前回より駆り出されていたのである。そして、都市開発部門に所属するロボット達、第28班現場猫ロボット班としては、自分達が常に格下だと見下しているネコ型ロボ実現室の指揮の下で働く、ということがたいへん面白くなく、決してクスには協力的ではなかったのである。

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